- この記事の監修者
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医療法人社団「朋優会」理事長。歯科医師・インプラント専門医。国際インプラント学士会(I.C.O.I.)メンバー。米国インプラント学会(A.O.)アクティブメンバー。欧州インプラント学会(E.A.O.)メンバー。O.S.I.アドバンスドトレーニングコース 講師。
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程度に個人差はありますが、「口臭がゼロの人はいない」といっても過言ではありません。というのも口臭は、「生活習慣」「生理現象」「心理的要因」「口内トラブル」によりどうしても生じてしまうものだからです。
しかしとくに気を付けなければならないには、“口臭の二大原因”ともいわれる虫歯と歯周病です。これらが引き起こす口臭は強烈なもので、市販の口臭ケア用品では対処しきれません。できるだけ速やかに歯科医院で治療をする必要があります。
本記事では、口臭の原因として考えられる様々な要素や改善方法を一つひとつ解説していきながら、歯周病を早期に発見するヒントをご紹介します。
目次
- (1)口臭の原因
- (1-1)ストレスや心理的負担が引き起こす口臭
- (1-2)食べ物や喫煙が原因で起こる口臭
- (1-3)生理現象が引き起こす口臭
- (1-4)口呼吸をしている
- (2)口内トラブルが引き起こす口臭
- (2-1)歯垢(プラーク)または歯石
- (2-2)舌苔(ぜったい)
- (2-3)虫歯
- (2-4)歯周病
- (3)口臭のセルフチェック方法
- (3-1)ビニール袋に息を吐いて臭いをかぐ
- (3-2)マスクをしながら息を吐いて臭いをかぐ
- (3-3)フロスで歯垢(プラーク)の付着具合を確かめる
- (3-4)口臭チェッカー
- (4)まとめ
(1)口臭の原因
まずは以下に、普段のブラッシングや市販の口臭ケア用品で十分に対策・改善できる
口臭の原因を4つご紹介します。
(1-1)ストレスや心理的負担が引き起こす口臭
大勢の前で喋る、大事な商談にのぞむ、上司と話す、スポーツの試合に出場する、心配事が山積しているなど……精神的に不安になったりストレスがかかったりしているときは、「交感神経」が優位に働き、唾液の分泌量が減ってしまいます。
みなさんも緊張時に、口の中がネバネバ・ニチャニチャして不愉快な思いをした経験がありますよね。それは紛れもなく、口臭が発生しているサイン。こまめに水分補給したりガムを噛んだりして、口内を潤すようにしましょう。
またその他にも、過去の辛い経験やトラウマが口の渇きを引き起こし、口臭に繋がってしまう場合もあります。
例えば、知り合いに「口が臭い」と言われたときのショックが忘れられず、以降、人前で話すたびに「口のニオイが気づかれたらどうしよう……」という不安とストレスで緊張してしまうケースが典型的です。
このような心理状況をしばしば「自己臭恐怖症」「自臭症」と呼びます。厄介なのは、本当は口臭がほとんどないにも関わらず、「自分は口臭がひどい」という思い込みによって、結果的に口臭が強くなってしまうことです。
対策として、「口の中がネバネバ・ニチャニチャしていなければ口臭はしないはずだ」「誰でも口臭はするものだ」という考え方で前向きに捉えたり、「常にガムを噛んで口を潤す」などのルーティンを取り入れたりして、心理的なストレスを和らげるようにするのがよいでしょう。
(1-2)食べ物や喫煙が原因で起こる口臭
にんにく、ねぎ、にら、納豆、お肉、乳製品などは、体内で化学的に分解される際に、口から嫌な臭いを発する原因物質になり得ます。
焼き肉を楽しんだあとは、おそらく誰しもが口臭ケアをすると思いますが、実はヘルシーな野菜もまた口臭を引き起こしやすいため、注意が必要です。
対策はとても簡単です。食事のあとの歯間ブラシ(フロス)やオーラルケア液を使用して口内を清潔に保ち、胃の中から臭いがすると思ったらブレスケアを食べるようにすれば、ほとんどの場合は口臭を改善できます。ランチをした後の歯ブラシも非常に効果的ですよ。
一方で気を付けなければならないのは、喫煙習慣のある方です。タバコのタールやニコチンが歯石を形成し、不快な口臭の原因となってしまいます。普通の歯ブラシ程度では歯石を除去することはできませんので、必然的に口臭改善の難易度が上がるということを理解しておきましょう。
また喫煙をしていると、ニコチンが血行のめぐりを悪くするために唾液の分泌が滞り、慢性的なドライマウス状態に陥ってしまう可能性もあります。今後も喫煙を続けるなら、常に喫煙後の口臭ケアは欠かさないようにしましょう。
(1-3)生理現象が引き起こす口臭
どれだけ万全に対策をしていても、生理現象によって口臭は発生します。わたしたちの体は、睡眠中や空腹時の唾液分泌量が減ってしまう仕組みになっているため、口臭は避けられないのです。とはいえ、「口内を潤す」というのが基本的な対策ですので、とくに心配する必要もないでしょう。
(1-4)口呼吸をしている
「病気でもないのに常に口が渇いている」「昔から鼻炎を持っている」という方は、もしかすると「口呼吸」の習慣があるかもしれません。
口呼吸では口を開きっぱなしにして息を吸ったり吐いたりしますので、必然的に口内がカラカラに渇きやすくなります。いくら唾液を分泌しても乾燥するため、ネバネバ・ニチャニチャとした口内環境を維持してしまうことに……。
渇いた口内は「喉を傷めやすい」「風邪を引きやすい」「虫歯や歯周病になりやすい」といった副次的なトラブルも引き起こしてしまいますので、口呼吸にお心当たりのある方は、歯科医院に相談をすることをおすすめします。
(2)口内トラブルが引き起こす口臭
生活習慣や心理的要因だけでなく、何らかの口内トラブルが口臭を引き起こすこともあります。そのようなケースでは、雑菌や腐臭が原因となっていますので、市販の口臭ケアでは対処できません。早めに歯科医院で治療を行うことをおすすめします。
(2-1)歯垢(プラーク)または歯石
ブラッシングが不十分だと、歯や舌の表面に細菌が付着し、かたまりを形成します。これがいわゆる「歯垢(プラーク)」と呼ばれるものです。これが除去されずに放置されていると、どんどん堆積していき、やがて頑固な「歯石」へと成長します。
口臭の原因となるだけでなく、虫歯や歯周病を引き起こしてしまいますので、定期的に歯科医院でメンテナンスを行い、清潔な口内環境を心がけるようにしましょう。
(2-2)舌苔(ぜったい)
みなさんは歯磨きをする際、「舌みがき」もしっかりと行っていますか?舌の表面に白っぽい汚れが付いていないかどうか、鏡の前で確かめてみてください。もし付着しているのを見つけたら、それは「舌苔」と呼ばれる細菌のかたまりです。
舌みがきを入念に行えば口臭の大部分は改善されますので、起床後や就寝前の歯磨きで心がけるようにしましょう。
(2-3)虫歯
歯垢(プラーク)を放置していると、それをエサにして虫歯が繁殖します。虫歯菌は取り切れなかった食べかすを発酵させる性質があり、それが腐臭の原因になってしまいますので注意が必要です。
虫歯が進行すると、神経までをも腐らせ、さらに強烈な悪臭を引き起こします。重度の虫歯患者の口内が臭うのは、まさにそれが大きな要因となっているのです。
(2-4)歯周病
虫歯に続いて“口臭の二大原因”といわれているのが、歯周病です。歯周病は、初期の段階ではほとんど自覚症状がなく、出血などの深刻なレベルにまで進行してからようやく気付くことが多いため、非常に厄介です。
しかし「歯周病が口臭を引き起こす」という特徴を逆手にとることで、早い段階で歯周病に気づくことができる可能性もあります。これまでに紹介してきた口臭の様々な原因をふまえたうえで、「もしかしたら歯周病かも……」と思ったときは、すぐに歯科医院で診てもらいましょう。
歯周病の簡易チェック項目
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口の中 | ・ネバネバする
・常に渇いている
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口臭 | タマゴやネギが腐ったような臭いがする(硫黄化合物のような臭い)
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歯 | 根本からグラついている
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歯間 | 食べかすが挟まりやすい
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歯茎 | ・出血する
・腫れている
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(3)口臭のセルフチェック方法
「どうすれば自分の口臭を確かめられるの?」「手早くチェックできる方法が知りたい」という方のために、誰でも簡単にできるセルフチェック方法をご紹介します。
(3-1)ビニール袋に息を吐いて臭いをかぐ
ビニール袋(紙袋でも可)に呼気を溜め、数十秒から1分くらい経ってから臭いをかいでみましょう。気になる臭いがしたら、口臭が発生しているかもしれません。
(3-2)マスクをしながら息を吐いて臭いをかぐ
やや大雑把なやり方ではありますが、マスクをしているときの呼気もまた簡易的な臭いチェックとして最適です。「今日は口の中が渇きやすい」「口臭がきついかもしれない」と思ったときに試してみましょう。
(3-3)フロスで歯垢(プラーク)の付着具合を確かめる
口臭を限りなくゼロに抑える方法のひとつが、歯垢(プラーク)の除去です。みなさんは普段から、歯ブラシの他にデンタルフロスを行っていますか?
歯間にデンタルフロスを通してみると、歯垢(プラーク)がたくさん付着していることがあります。その付着している量を確認すれば、自分がどれくらいの口臭を放っているか予測することが可能です。
(3-4)口臭チェッカー
「もっと客観的に判断できるようにしたい」「出先で口臭を手軽に確かめられるようにしたい」という方には、口臭の度合いを数値化する口臭チェッカーがおすすめです。
息を吹き込むだけでチェッカーが自動で口臭を判定してくれます。出先のトイレなどでこっそり使うこともできますので、人前で恥ずかしい思いをしなくて済みますよ。
口臭チェッカーには、口臭をあえて数値化することで精神的な安定効果を得るという副次的なメリットもあります。「自分で臭いをかぐだけでは安心できない」という方にはぴったりのツールだといえるでしょう。
(4)まとめ
生活習慣、心理的ストレス、虫歯や歯周病など……口臭を引き起こす原因は、その人のライフスタイルよって様々です。
そのなかでも、“口臭の二大原因”の一つに数えられる歯周病は、自覚症状なく進行していく「沈黙の病気」です。自然治癒することはないため、気づき次第、ただちに歯科医院で適切な治療を受けなくてはなりません。
しかし歯周病は、普段から口臭に気を遣うことによって、結果的に早期発見につながる可能性もあります。
今回みなさんにご紹介した口臭の原因をふまえたうえで、「もしかしたらこの口臭は歯周病が原因になっているかもしれない」と思ったときは、すぐにかかりつけの歯科医師に相談してみましょう。