【意外な関係】タバコと歯周病の関係性

松川 眞敏
松川 眞敏
この記事の監修者
医療法人社団「朋優会」理事長。歯科医師・インプラント専門医。国際インプラント学士会(I.C.O.I.)メンバー。米国インプラント学会(A.O.)アクティブメンバー。欧州インプラント学会(E.A.O.)メンバー。O.S.I.アドバンスドトレーニングコース 講師。
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タバコは、歯の色を黒くして見た目を悪くするだけではありません。

歯周病になったり、症状を悪化させたりする原因にもなるのです。

 

また、最悪の場合には、抜歯になるケースもあり、知らないうちにタバコが歯を失うリスクを高めているのです。

 

とはいえ、タバコがどう歯周病に関係してくるのか、よくわからないという方もいると思います。

 

そこで今回はタバコと歯周病で、どんな関係性があるのかを紹介していきます。

目次

1 歯周病は歯を失う原因の第一位

2018年に全国で2,345の歯科医院で行われた「全国抜歯原因調査」では、歯を失った原因の第一位が歯周病で、全体の37%にもなることが報告されています。※1

 

歯周病は、虫歯以上に歯を失う原因になっているのです。

 

また、喫煙者が歯周病になる割合は、非喫煙者に比べて4倍にもなることが調査でわかっています。

 

この結果から、タバコを吸いながらも、しっかりと歯の予防をしていけば歯周病にならずに歯を失うリスクを避けられるのではないか?と考える方もいると思います。

 

しかし、喫煙者が歯の予防をしても、歯を失うリスクは高いままで低くなることはありません。

 

それほど、タバコの有害物質が歯や歯茎に与える影響が大きくなります。

 

他にも、タバコの煙を家族が吸うことで、歯周病のリスクが約3.1倍、高くなるという報告もされていて、重度歯周病を引き起こす原因になります。

2 タバコで起きる歯周病への影響

タバコは、口の中に次のような悪影響を及ぼします。

 

・歯周病だと気づきにくい

・歯周病を悪化させる

・傷が治りにくい

・プラークが溜まりやすい

・口臭が酷くなる

 

それぞれについて、詳しく解説していきます。

2-1:歯周病だと気づきにくい

健康に歯茎に歯周病菌が侵入してきた時には、炎症が起きたことを知らせるために、腫れたり、出血したりする反応が出ます。

 

一方で、タバコに含まれているニコチンや一酸化炭素が、血管を収縮させる働きをします。

 

血管が収縮することで、血管が細くなって、歯茎の腫れや出血といった症状の反応が悪くなりがちです。

 

タバコを吸っていると、歯周病になっていることが、見た目でわかりづらくなり、対処が遅くなる原因になります。

 

しかし、見た目が変わらないからといって、歯周病が進行していないわけではありません。

 

歯周病は、サイレントディジーズという名前が付いているくらい、痛みがなく静かに進行していく病気です。

 

タバコと歯周病が一緒になることで、さらに症状がわかりづらくなって、気づいた時には、歯周病が深刻化している可能性が高いです。

2-2:歯周病を悪化させる

タバコには、4,000を超える化学物質と200以上の有害物質が含まれています。

 

その中でも「ニコチン」「タール」「一酸化炭素」の3つが、タバコの三大有害物質といわれています。

 

ニコチンや一酸化炭素が、血管を収縮して血流の流れを悪くするだけではなく、歯茎に必要な酸素や栄養を抑制するため、歯茎が栄養不足の状態になりやすいです。

 

そうなると、歯茎の持つ免疫力が低下すると同時に歯周病菌の数が増えて、歯周病の症状が悪化しやすいです。

 

また、免疫力の低下は、老廃物を排除する能力も低下させるため、歯周病菌が排除されずに歯や歯茎の周りに多く溜まりやすい環境を作り出します。

2-3:傷が治りにくい

歯周病を改善するには、毎日の歯磨きと歯周病治療を行うのが効果的です。

 

歯周病治療は、歯茎の中に侵入した歯周病菌や歯の根に付着している歯石(歯垢が固くなった状態)を専用の器具で除去していきます。

 

歯の根の周りに付いている汚染物質や歯石を取り除くことで、ブヨブヨに腫れていた歯茎が少しずつ引き締まっていきます。

 

しかし、タバコに含まれているニコチンが、傷を治そうとする細胞の働きを抑制して、歯茎の回復が遅くなりがちです。

 

また、歯周病の進行が深刻化しているケースでは、フラップ手術を行うことがあります。

フラップ手術は、強く炎症を起こしている部分の歯茎を開いて、歯石や細菌に汚染された部分を取り除いていく手術のことです。

根の状態を直接見ながら汚れを除去できるため、歯周病を改善する効果的な方法になります。

 

ところが、タバコを吸っている場合には、傷口の治りが悪く、細菌感染を引き起こす可能性があり、積極的にフラップ手術を行わない歯科医院もあります。

2-4:プラークが溜まりやすい

歯の表面は、ツルっとしていて、プラークが残りにくい状態なのが基本です。

タバコを頻繁に吸う方は、ヤニが歯や歯茎の表面に沈着するようになります。

 

ヤニが歯の表面に付着すると、ザラザラしてプラークが溜まりやすい環境になります。

そうなると、歯周病菌がどんどん数を増やして、歯周病を引き起こしやすいです。

 

また、歯茎も赤黒い色になり、見た目が悪くなります。

2-5:口臭が酷くなる

歯周病が重度になってくると、口から卵が腐ったような独特なニオイがするようになります。

 

嫌なニオイの原因は、歯周病菌が出すガスです。

歯周病菌が発生させたガスが、口の中に広がって口臭として出ます。

 

さらに、タバコを吸っている場合には、歯周病菌が出すガスとタバコのニオイが混同して、悪臭を放つようになります。

 

タバコの成分の中には、汚物や糞尿に含まれる成分と同じものが入っていて、口臭がどんどん酷くなりやすいです。

 

また、ニコチンは、唾液出る量を減少させて、ドライマウス(口腔乾燥症)を引き起こします。

 

唾液には、口の中を洗浄したり、菌の増殖を抑えたりする役割があります。

 

口の中が常に乾燥した状態では、唾液の効果が発揮されず、歯周病菌が増殖してガスを大量に出すので、口臭が酷くなりがちです。

3 次世代のタバコは歯周病になりにくい?

近年では、煙がでないニオイが少ないといったメリットがある加熱式タバコや電子タバコが人気で、使用している人が増えています。

 

燃やさないタバコには、大きくわけて次の2種類があります。

 

・加熱

・電子タバコ式タバコ

 

それぞれについて、詳しく見ていきましょう。

3-1:加熱式タバコ

紙のタバコは、たばこの葉を燃やして使用します。

一方で、加熱式タバコとは、たばこの葉を加熱して使用するタバコのことです。

 

加熱式のタバコは、紙タバコに比べてニコチンや一酸化炭素などの有害物質の量が少なく、ドライマウスや強い口臭が発生しにくいのが特徴です。

 

とはいえ、加熱式のタバコでもニコチンが含まれているので、歯周病になるリスクや症状を悪化させることは、従来のタバコと変わりません。

3-2:電子タバコ

電子タバコは、たばこの葉を使用せずに、液体を電子加熱で発生させた蒸気を吸い込むタバコのことです。

 

日本では、ニコチンを入れると医薬品医療機器等法の許可が必要になるため、ニコチンを含まない電子タバコが一般的です。

 

電子タバコは、ニコチンが含まれない代わりに、他の有害物質が入っているため、歯周病を悪化させて、歯を失う原因になります。

4 タバコがインプラント周囲炎の原因になる

歯を失った時には、歯を補充する治療が必要になります。

その1つの方法として、インプラントがあります。

 

ただ、喫煙者はインプラント治療を断られるケースも少なくありません。

喫煙者は、歯周病になりやすいと同様に、インプラント周囲炎にもなりやすいです。

 

インプラント周囲炎とは、インプラントの周辺の骨が溶けていく病気のことです。

症状の進行が早く、最悪の場合にはインプラントを除去する処置が必要になります。

 

特にインプラント周辺は、自身の歯より細菌への抵抗力が弱くなっています。

タバコが原因で、インプラントが長持ちしない可能性が高いです。

 

そのため、ヘビースモーカーでタバコを一時的でも止めることができない方は、インプラント治療ができないケースも少なくありません。

5 禁煙は歯周病を改善する

禁煙は、口の中の組織の免疫反応を数週間で回復させる効果があります。

血流が良くなって、歯茎の色や反応機能がどんどん改善していきます。

 

ただ、タバコを吸っていない人と同様の歯茎の状態になるには、約10年の年月を必要とするケースが多いです。

 

禁煙を始めることは、歯茎の本来の機能を取り戻しながら、歯周病を確実に改善していきます。

 

6 タバコと歯周病は密接に関係しています

タバコには、次のような影響があります。

 

「タバコが歯周病を引き起こす」

「タバコが歯周病を悪化させる」

 

しかも、タバコを吸っている状態では、歯周病が改善しづらく、歯を失うリスクが高いです。

 

歯を失うと、見た目の問題だけではなく、健康面、ライフスタイルにも影響がでるようになります。

 

禁煙は、歯周病になるリスクが減る同時に、歯を失うリスクを低くします。

 

歯科医院によっては、禁煙指導や禁煙プログラムなどを行っているところがあるので、一度相談してみましょう。

 

あなたの歯を守れるのは、あなただけです。

できることから、少しずつ始めていきましょう。

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