【意外な事実】歯が健康だと寿命が延びる?

松川 眞敏
松川 眞敏
この記事の監修者
医療法人社団「朋優会」理事長。歯科医師・インプラント専門医。国際インプラント学士会(I.C.O.I.)メンバー。米国インプラント学会(A.O.)アクティブメンバー。欧州インプラント学会(E.A.O.)メンバー。O.S.I.アドバンスドトレーニングコース 講師。
https://e-implant-tokyo.com/smile-implant/

みなさんは、自分が60代、70代になっても「歯がすべて残っている」という自信はありますか?

 

もし現在、虫歯や歯周病を放置しているなら、自分の歯を残し続けることが難しくなってしまいます。「歯が数本ないくらいなら、とくに困ったことにならないのでは?」と考える方もいらっしゃるかもしれませんが、近年の研究をみてみると、そう楽観視もできないようです。

 

今回のテーマは、歯の健康と体の健康の関わりについて。「何歳になっても一人で自立して生活できるような自分でありたい」「寝たきりの介護状態になりたくない」「認知症はいやだ」という方は、ぜひご一読ください。

目次

(1)認知症リスクが低減?歯の健康と寿命の密接な関係について

(1-1)平均寿命と健康寿命の違い

歯の健康と寿命の重要な関係性についてお話をする前に、まずは「健康寿命」という考え方を知っておく必要があります。

 

さて多くの方は、「寿命」と聞くと、「出生してから亡くなるまでの平均年齢」をイメージするかと思います。医療の進展と共に延命技術が発達すれば、それだけ平均寿命は延びることになるわけです。

 

しかし、平均寿命を延ばすだけでは、本当の意味で生活の質(QOL:Quality of Life)を図ることはできません。今日では、別の観点から定義された寿命の概念があるのです。

 

その名も「健康寿命」。WHO(世界保健機関)が提唱した概念で、健康的に自立して生活することができる平均年齢のことを意味します。違う表現では、「平均寿命から介護状態の期間を差し引いた期間」と捉えることも可能です。

 

健康寿命は、介護を必要とせず、自分一人で生活を完結できている状態を「自立」と定義します。厚生労働省は、2016年時点の日本で男性の健康寿命が72.14歳、女性が74.79歳と報告しています。

 

健康寿命を延ばすことが、平均寿命と同じくらいに極めて重要な社会全体の課題として認識されている現代社会。

 

三大疾病にならないために生活習慣の改善を図るのはもちろんですが、実は「歯の健康を維持すること」もまた、健康寿命に大きく貢献することが判明しています。

(1-2)歯が不健康な人は要介護になるリスクが高い?

会社を勤め上げ、「これからのセカンドライフを目いっぱい楽しむぞ」と思っていたのもつかの間、がん・心疾患・脳血管疾患などの思わぬ病気に見舞われ、そのまま要介護になってしまった――といった悲劇は、決して他人事ではありません。

 

さらに怖いのは、脳卒中や認知症といった、高齢化に特有の諸症状です。加齢に伴い、健康寿命を損なうリスクは常につきまといます。

 

そして驚くべきことに、今日の研究では、重大な疾病・認知症・自立歩行困難といったリスクは、「残っている自分の歯が少ない」「歯を失ったまま放置している」という人のほうが、そうでない人よりも高いというデータがあります。

 

わかりやすく言い換えると、「自分の歯であれ、人工歯であれ、食べ物をしっかり噛むことができない人は、要介護状態になりやすい」ということです。

(1-3)食べ物を噛めないと認知症のリスクも高まる

ここで特に気を付けたいのが、認知症のリスクです。近年の研究では、歯の健康寿命(食べ物をしっかり噛むことのできる口腔環境)と認知症の相関関係が数多く指摘されています。

 

たとえば、歯周病。老若男女問わず、歯を失う理由には、歯周病が挙げられます。若い方でも歯周病になりやすいですが、歯周病の重症度でいえば、やはり年配の方が割合的に多くみられます。

 

既に歯周病で抜歯になってしまったことは仕方のないですが、最大の問題は、失った歯をそのまま放置してしまうということ。

 

あるいは、入れ歯などで対処したはいいものの、満足なかみ合わせで食べ物をよく噛むことができないのがわかっているにもかかわらず、その状態を放置していること。

 

研究では、食べ物をしっかりと噛むことができなくなると、脳の活性化が停滞し、結果的に認知機能の低下を招いてしまうといわれています。

 

食べ物を噛むと、その刺激は記憶を司る「海馬」という重要な部位へと伝達し、記憶機能が活性化するといわれています。しかし、歯が抜けた状態のまま長らく生活を続けていると、必然的に食べ物を噛む頻度や強度が減っていきますよね。それが災いして、認知症やアルツハイマー病の発症につながってしまうわけです。

(2)歯の健康寿命を短くしてしまう原因を知って対策をしよう

(2-1)食べ物をよく噛まないで飲み込む

昔の人に比べ、咀嚼回数が減っているといわれている現代人。「よく噛んで食べる」は、歯の健康のみならず、体全体の健康に非常に関わっています。

 

しっかりと咀嚼された食べ物は、消化のしやすい大きさ・柔らかさになり、胃の負担を軽減することが可能です。脳を活性化させたり、早食いを防止したり、メラトニン分泌による睡眠の質の向上にも貢献したりします。

 

歯の健康に直接的に関わってくるのは、「唾液分泌」の効果です。しっかり食べ物を噛むことで分泌される唾液には、酸性気味になった口内のpH(ペーハー)を中和する機能があります。

 

また、唾液の殺菌効果も非常に重要です。虫歯を予防する・石灰化を防止するなどの働きがありますので、歯の健康を日常的に維持するなら、日々のブラッシングだけでなく、よく噛んで食べるという習慣を身に着けることが推奨されます。

(2-2)虫歯を放置する

みなさんは、治療中の虫歯を放置していませんか?あるいは、「虫歯になったけど、放っておいたら痛くなくなった」と楽観視していませんか?

 

虫歯の放置は、歯の健康寿命を著しく損なう理由の一つ。若いうちは虫歯の恐ろしさを実感しにくいかもしれませんが、加齢に伴って、歯がボロボロになったり、口臭がひどくなったりしてきます。

 

虫歯は必ず完治させましょう。そして、できるだけ虫歯を増やさないように、日々のブラッシングや歯科医院での定期健診を心掛けてください。その積み重ねが、歯と体の健康寿命を延ばすことにつながるのです。

(2-3)歯周病を放置する

数百種類の細菌が潜む、私たちの口内。ブラッシングが十分に行き届いていなかったり、歯に付着した歯垢(プラーク)を除去できなかったりすると、細菌のかたまりが歯肉に害をなし、炎症を引き起こしてしまいます。それが歯周病の正体です。

 

歯周病は、老若男女問わず、誰でもかかります。症状も軽度から重度までさまざま。誰でもかかりやすいという意味では、虫歯と同じくらいに注意が必要のはずなのですが、しばしば虫歯よりも軽視されがちです。

 

というのも、歯周病は「サイレントキラー」と呼ばれるほど、痛みを感じることがないからです。

 

軽度~中度なら、せいぜい「歯磨きをしていたら血が出た」「歯と歯の間に食べ物が詰まりやすい」といった自覚症状があるだけで、「すぐに対処しないと!」という緊急性をいまひとつ感じにくいのが現実です。

 

しかし、歯周病の放置は非常に危険です。歯周病が進行すると、最終的には歯を支えている骨を溶かしてしまい、抜歯を余儀なくされてしまいます。

 

高齢者の多くが健康な歯を残すことができないのは、虫歯や歯周病の放置に原因が見出されます。みなさんも、自分自身の歯のトラブルと真剣に向き合い、できるだけ速やかに適切な治療を受けるようにしましょう。

(3)いつまでもお口の健康を維持するためにインプラントがいい理由

事故・虫歯・歯周病などで歯を失ってしまった場合は、人工歯が必要です。主に「入れ歯」「ブリッジ」「インプラント」の3つが選択肢に挙げられます。

 

入れ歯は保険の範囲内で製作でき、ブリッジやインプラントといった他の人工歯よりも比較的リーズナブルです。

 

しかし、お手軽であるがゆえに、「使いにくさ」という点も看過できないポイント。「使いにくいし手入れが面倒」「噛み合わせがすぐに合わなくなって、そのたびにクリニックに通うのが面倒」という理由で入れ歯を使わなくなってしまう方も決して少なくはありません。

 

またブリッジも、見た目がキレイでリーズナブルというメリットがありますが、「壊れやすい」「歯周病になりやすい」というデメリットが気になる点です。

 

そもそもブリッジは、歯の抜けた部分の両端にある歯を削り、そこに人工歯を被せる方法ですので、「健康な歯の寿命を損なう」「健康な歯を失うリスクが高まる」というのが非常にネックだといえます。

 

では、人工の歯根を埋め込むインプラントはどうでしょうか。インプラントは、「ものをうまく噛むことができない」という入れ歯の弱点と、「他の健康な歯を損なうリスクがある」というブリッジの弱点を克服した方法です。

 

つまりインプラントは、「歯を失っても、まるで自分の歯のようにものを噛むことができる人工歯」ということです。

 

入れ歯もブリッジも、長期的に使用が難しい、あるいは長期的な使用で不具合が生じてしまうという点で、歯や体の健康寿命を延ばすにはあまり向いていないといえます。

 

しかしインプラントなら、一度装着してしまえば、あとは定期メンテナンスをするだけで長期的に安定して使い続けることが可能です。

 

とはいえ、インプラントは外科手術を伴いますから、それが理由で選びたがらないという方もいらっしゃいます。まずはインプラントに対する恐怖心や苦手意識を取り除くために、専門の歯科医師に相談してみましょう。

(4)まとめ

・健康寿命とは健康的に自立して生活することができる平均年齢のこと

・歯がない人は要介護状態になりやすい(たとえば認知症になりやすい)というデータがある

・健康な歯を残すことと健康寿命を延ばすことには密接な関係がある

 

理想はいつまでも自分の歯を残し続けることですが、誰しもがそれを実現できるとは限りません。その場合は、限りなく自然の歯に近い噛み心地を再現できるインプラントがおすすめです。

 

万が一、歯を失ってしまった場合は、ぜひ一度、インプラントを検討してみてはいかがでしょうか。

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