
- この記事の監修者
- 医療法人社団「朋優会」理事長。歯科医師・インプラント専門医。国際インプラント学士会(I.C.O.I.)メンバー。米国インプラント学会(A.O.)アクティブメンバー。欧州インプラント学会(E.A.O.)メンバー。O.S.I.アドバンスドトレーニングコース 講師。
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インプラント治療は、人工歯を固定できる治療法で、天然の歯と同じように噛め、見た目もほぼかわりません。
インプラントの成功率は90%以上なので一度治療すると、多くの場合そのままインプラントの寿命が来るまで使えます。しかし、確率は低いものの失敗してしまう可能性も数%あります。
インプラントに違和感がある、痛みを感じる、グラグラする、抜けてしまったなど異変を感じた場合は、そのままにしておくのはリスクがあります。噛み合わせが悪くなったり、人工歯が取れてしまったりとトラブルの原因となるかもしれません。
この記事では、インプラントのやり直しについて解説します。
目次
- 1.インプラントはやり直しできる?再治療が必要な場合とは
- 1-1.インプラントが結合せずグラグラする
- 1-2.人工歯のトラブル
- 1-3.手術後に痛みや腫れが続く
- 1-4.インプラント周囲炎
- 2.インプラントのやり直しができない場合とは
- 2-1.あごの骨の量が少ない
- 2-2.ヘビースモーカー
- 2-3.健康状態が悪い
- 3.インプラントをやり直す費用・治療期間など
- 3-1.インプラントをやり直す費用
- 3-2.インプラントのやり直しにかかる期間
- 3-3.最初に治療を受けた歯科医院以外で再治療できるの?
- 4.インプラントの再治療をしてリスクを防ごう
1.インプラントはやり直しできる?再治療が必要な場合とは

結論から言うと、ほとんどの場合インプラントはやり直しができます。ここでは、インプラントのやり直しが必要な場合について解説します。
1-1.インプラントが結合せずグラグラする
あごの骨に埋め込んだインプラント体が骨と結合することにより、人工歯をしっかり支えられるようになります。インプラントと骨が結合しないと、インプラントがぐらぐらしたり、抜け落ちたりしてしまいます。
インプラントと歯の結合が上手く行かない原因としては、手術時に使用するドリルの熱によるあごの骨のダメージや手術時の細菌感染、必要な骨造成をしなかったことなどが考えられます。
1-2.人工歯のトラブル

人工歯のトラブルは、インプラントのやり直しの原因のなかでも特に多いと言われています。人工歯が外れてしまったり、人工歯とインプラントをつなぐ「アバッチメント」と呼ばれる部品がゆるんだり、接着に使用したものが溶けてきたりした場合は、インプラントのやり直しが必要です。
人工歯のトラブルがあると、かみ合わせが崩れてしまい、肩こりや頭痛などを引き起こしかねません。長期間、人工歯のトラブルを放置すると、人工歯の負担が大きくなり、破損の原因となります。また、かみ合わせが悪い状態が長く続くと、身体に強いストレスがかかってしまうでしょう。
1-3.手術後に痛みや腫れが続く

インプラント手術では、あごの骨にインプラントを埋め込むなどの外科的な処置をします。そのため、手術後に痛みや腫れ、しびれなどが出ることが少なくありません。
症状は手術後3〜4日目にピークを迎え、多くの場合は1〜2週間で身体が回復して、痛みや腫れ、しびれはおさまります。多くの場合は軽度なので、痛み止めの服用などで症状を和らげます。
しかし、時間が経過しても症状が続く場合は、下記のような原因が考えられるので、歯科医師に相談し早めに対処しましょう。
・手術によって神経や血管が損傷している
・手術箇所が細菌に感染し炎症が起きている
・インプラントが隣の歯の神経に接している
1-4.インプラント周囲炎

「インプラント周囲炎」とは、インプラント手術後に起こる病気で、歯周病のような症状が現われます。初期のうちは軽い炎症が起きて歯茎から出血がある程度ですが、少しずつ進行し、膿や腫れが出ます。
悪化すると、インプラントの周囲のあごの骨が溶けて、インプラントを支えられなくなり、抜け落ちてしまいます。
自覚症状が現われにくく、歯周病と比べて進行が速いので、知らないうちに重症化しているケースも少なくありません。インプラント周囲炎が悪化すると、インプラントの脱落以外にも、骨がやせて顔立ちが変化する、歯周病菌が身体に入り梗塞や糖尿病の危険性が高まるなどのリスクがあります。
インプラント周囲炎の原因は、歯周病と同じく歯茎に細菌が感染することです。歯磨き時のブラッシングを丁寧に行う、定期的に歯科クリニックで健診やクリーニングを受けるなどメンテナンスを行い、インプラント周囲炎を防ぎましょう。
2.インプラントのやり直しができない場合とは

インプラントが使用できなくなっても、多くのケースでやり直しできます。しかし、再治療は初回の治療よりも難易度が高いため、身体の状態などによっては、再治療が難しい場合もあります。主な3つのケースを紹介します。
2-1.あごの骨の量が少ない

あごの骨の量がインプラントに必要な骨量よりも少ない場合、再度インプラント手術を受けるのは難しいでしょう。
そういった場合、人工骨の移植手術や「エムドゲイン」といった再生療法によって、あごの骨量を増やしてから手術することも可能です。ただし、手術による身体の負担や骨が定着または増殖するまで時間がかかる、金銭的負担が大きいといったデメリットもあります。
「オールオン4」などあごの骨量が不足していてもできるインプラントもあるので、まずは歯科医師に相談してみましょう。ただし、骨量が不足している方も可能なインプラントは手術の難易度が高く、費用が高くなる傾向にあります。
2-2.ヘビースモーカー

喫煙者、特にタバコを吸う量が多いヘビースモーカーは、インプラント治療に失敗するリスクが多いため、再治療ができないケースが少なくありません。
タバコに含まれる「ニコチン」には、毛細血管を収縮する作用があるため、血流が悪くなります。そのため、骨が再生しにくくなってしまい、インプラントと骨の結合が上手く行かないリスクが高いのです。
また、血流の悪化に伴い、唾液量が低下します。唾液には殺菌作用があるため、量が減ると細菌が増えやすくなり、インプラント周囲炎や虫歯になる可能性が高まります。
さらに、ニコチンは免疫との関係が深い白血球の働きを低下させるため、タバコを吸うと免疫力が弱まり、インプラント周囲炎になりやすい状態になります。
再治療の条件として禁煙が必要な場合が多いので、インプラント治療をする段階で、禁煙をしておくのが望ましいでしょう。
2-3.健康状態が悪い

糖尿病・高血圧などの生活習慣病や、腎臓病や肝臓病といった機能障害を発症した場合、インプラントのやり直しができない場合があります。
服用中の薬の作用によって手術に悪影響が出る、免疫力の低下により細菌感染しやすいといったリスクが考えられるからです。
症状が軽ければ再治療ができる場合もありますが、まずは歯科医師に健康状態や飲んでいる薬を踏まえて相談しましょう。病気の治療をして症状を改善してから再治療をする場合もあります。
インプラントの再治療ができない場合は、入れ歯やブリッジなど他の治療法で失った歯を補います。
3.インプラントをやり直す費用・治療期間など

インプラントをやり直す前に知っておきたいのが、費用・治療期間・最初に治療を受けた歯科医院以外で再治療できるのかです。それぞれ説明します。
3-1.インプラントをやり直す費用

インプラントは保険がきかない自由診療です。そのため、歯科医院によって治療費は異なります。
多くの場合、インプラント治療には患者の負担を軽減するために保証がついています。そのため、保証期間内であればリーズナブルにやり直しができます。
歯科医院によって違いはありますが、治療後すぐの場合は保証期間内であれば無償、数年経過しても保証期間内であれば無償に近い費用で再治療できます。治療から10年以上経過した場合は、保証期間を過ぎている場合が高く、全額自費になる可能性が高いでしょう。
ただし、保証を受けるには「定期メンテナンスを受けている」など定められた条件を満たしていなければいけません。万が一の場合に保証が受けられず高額の再治療費が必要となるので、医師の指示に従いしっかり定期メンテナンスを受けましょう。
保証期間や保証条件は各歯科医院によって異なります。トラブル時に慌てないよう、書面などで確認しておくのをおすすめします。
3-2.インプラントのやり直しにかかる期間

インプラントの再治療にかかる期間は歯や歯茎などの状態や歯科医院によって異なります。インプラントを取り除いて入れ直す場合は、治療期間は3〜7ヶ月、通院回数は4〜6回が目安です。
あごの骨量が足りず、骨移植や再生療法を行ってからインプラントを再度埋め込む場合は、骨量が増えるのを待たなければいけません。治療期間は5ヶ月〜1年、通院回数は6〜10回が目安です。
ちなみに、インプラントの入れ直しをせずにかぶせものを交換するだけであれば、治療期間は1〜3ヶ月、通院回数は3〜6回ほどになります。
インプラントや歯周組織に異変がある場合、悪化すればするほど治療期間が長引き、治療費用も高額になります。異変を感じたらなるべく早めに歯科医師に相談しましょう。
3-3.最初に治療を受けた歯科医院以外で再治療できるの?

他の歯科医院で埋め込んだインプラントであっても、やり直しはできます。ただし、基本的には同じ歯科医院でやり直すのがスムーズです。
日本だけでもインプラントメーカーは30社以上あり、他の歯科医院では同じインプラントを取り扱っていない可能性があるからです。メーカーごとにインプラントの形状や大きさが違うため、埋め込むための道具も異なります。
再治療を受ける歯科医院で取り扱っていないメーカーのインプラントを取り寄せる場合、時間や費用がさらにかかるでしょう。
また、前回の手術のことを知らない歯科医師が担当するため、同じ歯科医師が担当するよりも、インプラントの状態などの確認に手間がかかります。
ただし、インプラントを何回も再調整しても問題が解決しない、再治療に対応してもらえない、引っ越してしまいインプラント手術を受けた歯科医院に行くのが難しいといった場合は、別の歯科医院で治療を受けるのも方法のひとつです。
4.インプラントの再治療をしてリスクを防ごう

インプラントがぐらぐらするなど異変を感じたら、インプラントのやり直しを検討しましょう。放置していると、インプラントの脱落・破損、歯並びの悪化、インプラント周囲炎になるなど、さまざまなデメリットがあります。
ただし、あごの骨の量が足りない、ヘビースモーカーである、糖尿病などの生活習慣病や腎臓・肝臓の機能障害があるといった場合など、インプラントのやり直しができない場合もあります。
治療費や治療期間は、インプラントの状態や歯科医院、インプラント治療の保証期間内かによっても異なるので確認が必要です。もしインプラントに異変を感じたら、早めに歯科医師に相談しましょう。









