自分の歯のように噛めるドイツ式「テレスコープ義歯」とは?

松川 眞敏
松川 眞敏
この記事の監修者
医療法人社団「朋優会」理事長。歯科医師・インプラント専門医。国際インプラント学士会(I.C.O.I.)メンバー。米国インプラント学会(A.O.)アクティブメンバー。欧州インプラント学会(E.A.O.)メンバー。O.S.I.アドバンスドトレーニングコース 講師。
https://e-implant-tokyo.com/smile-implant/

この記事はこのような方のために書かれています。

 

「入れ歯治療を検討している」

「保険適用の入れ歯をはめているが合わないし変えたい」

「歯医者で相談したらテレスコープをすすめられた。詳しく情報が知りたい」

 

もしあなたがこれらに該当するのなら、どうか最後までお読みください。

 

審美性と機能性を併せ持つ、ドイツ生まれのテレスコープ義歯をご紹介します。

ぜひ入れ歯選びの参考になさってください。

目次

審美性と機能性を両立する入れ歯とは

テレスコープ義歯の特徴は、見た目が本当に入れ歯なのか?と思うほどの「審美性」と、噛みやすく安定感が高いという「機能性」になります。

 

主に患者が入れ歯治療に求めるものもこの2つです。

テレスコープ義歯はまさにこの2つを満たしていますが、なかなか馴染みのある治療法ということになりません。

おおよそですが80万円~150万円ほどかかる場合があります。

 

他の入れ歯治療と比較すると以下の通りです。

 

 

種類 金額 特徴
通常の入れ歯(保険適用) 5,000~13,000円 プラスチック製。保険適用で安い。付け心地や見た目はイマイチ。
金属床の入れ歯 30万~80万円 素材による。コバルト、チタン、ゴールドなど。温度が感じられる、違和感が少ない。
ノンクラスプデンチャー 10万~40万円 クラスプ(金具)を使わない見た目が良い入れ歯。素材によっては耐久性がやや低い。
インプラント 1本あたり40~50万円 歯医者によってばらつきがある。総入れ歯要の治療だと100万円以上に。こまめなメンテナンスが必要。
テレスコープ義歯 80万~150万 主に3種類の治療法があり、見た目と安定性に優れている。

 

あくまで参考程度の目安です。実際には歯の本数、診察料、通う回数、治療後のメンテナンスまで考えると値段の振り幅はかなり変わります。

見た目と機能性を両立させると当然金額は高くなりますので、おおよそかかる費用のサンプルとしてください。

テレスコープ義歯治療をする意味

テレスコープ義歯にすると、歯の見た目や使い勝手の良さだけではなく、顔の変形を防ぎ、口の中を健康に保つためにも役立ってくれます。

その根拠となる理由として、以下の4つが挙げられます。

 

・他の歯への影響が少ない

・汚れにくい

・寝る時に外さなくてもいい

・修理しやすい

 

保険適用の部分入れ歯の場合、金具の留め具を隣の歯に引っ掛けて固定します。

そのため歯に負担がかかってしまい、歯が弱ってしまって抜けるということがあります。

残っている歯に負担がかからないことも、テレスコープ義歯の強みです。

 

特筆すべきは寝ている時にでも外さなくて良いという点にあります。

テレスコープのフィット感だと、通常の入れ歯と違って違和感がないので、付けたまま寝ても気になりません。

 

そしてこれには違和感だけではないメリットがあります。

口の中に歯がない部分があると刺激がいかずに周辺が萎縮してしまいます。

すると口周りの筋肉がなくなり、顔の見た目までが変わってきてしまうのです。

 

さらに唾液も出てこなくなることがあり、結果、口が乾燥し菌が繁殖しやすい口内環境になる可能性があります。

寝ている間も歯があることは実はとても大事なのです。

3つの治療法

テレスコープ義歯は残された歯を利用して安定した入れ歯を作るという構造です。

失った歯の前後にある歯に内冠とよばれる被せものを付け、テレスコープ義歯側の対となる外冠と合わせることで安定した装着ができます。

 

そんなテレスコープ義歯には、残った歯の本数や歯の状態に合わせて選択する治療法が3つあります。

 

・コーヌステレスコープ

・リーゲルテレスコープ

・レジリエンツテレスコープ

 

それぞれの特徴を解説していきます。

コーヌステレスコープ

コーヌステレスコープはほとんどの場合に適用できますが、歯の本数や位置で適さないことがあり、神経処置を施した歯の場合はできません。

残された歯を削って内冠を被せ、義歯側の外冠に合わせて組み込むという、もっともシンプルなテレスコープ義歯です。

 

何か食べ物を噛んだ際に、直接歯に対して衝撃が伝わらず内冠によって保護されているため、長期間使っていても歯がぐらつきにくくなっています。

リーゲルテレスコープ

リーゲルテレスコープは神経のない歯にも適応でき、入れ歯を支える1本1本の歯の負担が少ないタイプのテレスコープ義歯です。

 

歯を支える仕組みとして、内冠を棒のような金属を用いてつなぎます。

この部分をテレスコープ義歯に組み込まれた溝状の部分にはめ、レバーで固定するタイプになっています。

連結しているため負担を分散させることができ硬いものでも強く噛めるでしょう。

 

安定感が増すのが利点ですが、内冠の装着された歯の手入れが若干難しくなります。

レジリエンツテレスコープ

歯には本来「歯根膜」というものがあり、食べ物を噛んだ時の感覚を脳に送る役割を持っています。

できるだけ元の歯を残したほうがいい理由が、この「歯根膜」を残すためでもあります。

レジリエンツテレスコープは粘膜で支える作りなので、この「歯根膜」を残すことが可能です。

 

したがって歯の本数は少なくても問題ありません。

さらに、土台となる骨の量が少ない状態でも大丈夫です。

レジリエンツテレスコープは歯の本数が少ない方向けの治療法で、根本的に残っている歯の本数が極端に少ない方は、骨量も少ないという場合があります。

 

外科的な処置も特に必要ありません。

ほとんど使える歯が残っていない、状態が悪く他のテレスコープ義歯が使えない場合はレジリエンツテレスコープを提案されるでしょう。

少しでも自分の歯を残したい場合にもおすすめです。

テレスコープ義歯の注意点

テレスコープ義歯の技術はドイツで生まれ130年以上の歴史があります。

日本でも活用された結果、たくさんの患者が入れ歯による不便さに悩まされることがなくなりました。

 

そんなテレスコープ義歯は、長期間でも修理を行いながらであれば使い続けられるのが良い点で、中には30年を超えても使い続けている方がいた事例もあったようです。

しっかりとメンテナンスにも定期的に通い、途中で歯を失っても修理をしながら使い続けたからこそ使い続けられました。

 

テレスコープ義歯を長く使い続けるために注意しなければいけないことは、加齢とともに変化してくる口内に合わせてテレスコープ義歯を調整、修繕していくことです。

時には修理ではなく作り直すことも必要になります。

 

しっかりと噛める歯が手に入ったとしても、そこで終わらずに定期的なメンテンナンスに通い続けること。

そうすることで何十年も自分の大事な歯として役割を果たしてくれるでしょう。

まとめ テレスコープ義歯は外科手術もなく耐久性が高い入れ歯

テレスコープ義歯はインプラントのような外科手術が必要ありません。

痛みを伴う処置がなく、それでいて天然歯に近い審美性、機能性を備えた入れ歯です。

 

自己負担額の高さゆえに即決することは難しいですが、他のどの入れ歯よりも機能性を維持しながら長期的に使えるのは魅力的と言えるでしょう。

 

日本では入れ歯は外して寝るのが習慣付いていますが、テレスコープの本家ドイツでは「外さないで寝る」ことがスタンダードだと言います。

 

歯だけではなく、健康的な身体を維持するため総合的に考えると、テレスコープ義歯は決して高すぎる金額とは言えないのかもしれません。

テレスコープ義歯を検討される際は、歯のことだけではなく、身体全体の健康も考えて検討してみてはいかがでしょうか。

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