
- この記事の監修者
- 医療法人社団「朋優会」理事長。歯科医師・インプラント専門医。国際インプラント学士会(I.C.O.I.)メンバー。米国インプラント学会(A.O.)アクティブメンバー。欧州インプラント学会(E.A.O.)メンバー。O.S.I.アドバンスドトレーニングコース 講師。
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目次
- 1 入れ歯安定剤の「2つのメリット」
- 1−1:痛みを改善できる
- 1−2:入れ歯が外れにくくなって会話がしやすい
- 2 入れ歯安定剤の「4つのデメリット」
- 2−1:入れ歯のお手入れがしにくい
- 2−2:細菌が繁殖する
- 2−3:適切な噛み合わせにならない
- 2−4:入れ歯安定剤に依存するようになる
- 3 入れ歯に安定剤は必要ない?
- 4 入れ歯安定剤を使う前に歯科医院へ
1 入れ歯安定剤の「2つのメリット」

入れ歯安定剤を使うことで、次の「2つのメリット」があります。
1−1:痛みを改善できる

入れ歯安定剤は、入れ歯の硬い部分が歯茎に直接当たらないようにできるので、痛みが和らぐ効果があります。
入れ歯安定剤には、クリームタイプ、粉状タイプ、シートタイプの3つがあります。
特にクリームタイプの安定剤は、クッション性が高く痛みを感じにくくすることが可能です。
1−2:入れ歯が外れにくくなって会話がしやすい

入れ歯が歯茎にピッタリと合っていない形では、外れやすい傾向があります。
入れ歯安定剤を使うと、入れ歯の粘着性が増すため歯茎にピッタリとくっつくようになるので、会話がしやすくなります。
3つの安定剤の中ではクリームタイプは粘着性が強く、外れにくい製品が多いです。
2 入れ歯安定剤の「4つのデメリット」

入れ歯安定剤を使うことで、次の「4つのデメリット」があります。
2−1:入れ歯のお手入れがしにくい

安定剤の種類によっては、入れ歯のお手入れがしにくくなります。
安定剤は、入れ歯と歯茎の間に入れて密着させる必要があるので、粘着性が強いタイプの場合には裏側に残りやすく、こびりつくことがあります。
入れ歯の裏側に塗った安定剤が取りきれないまま、新たな安定剤を付けてしまうと入れ歯がガタガタになってしまい、食事の時に噛めなくなる可能性が高いです。
2−2:細菌が繁殖する

入れ歯安定剤によっては口の中の水分を吸収するのを利用して、歯茎に密着するタイプがあります。
水分を吸収するタイプの安定剤は、口の中の水分を奪うので、ドライマウスになりやすいです。
ドライマウスとは、口の中が乾燥した状態のことです。
ドライマウスの状態が長く続くと細菌が増殖して、歯周病や誤嚥性肺炎が発症するリスクが高くなります。
特に、入れ歯を使っている高齢の方の場合には、食べ物を飲み込む機能が弱っていることがあります。
食べ物を飲み込む時には、口で噛んでから食道を通って、胃に運ばれるのが基本的な流れです。
しかし、嚥下(飲み込む)機能が弱っていて、上手く食べ物が飲み込むことができない場合には、口から肺や気管支の方へ食べ物や細菌が流れてしまいます。
食べ物や口の中にいた細菌が、肺の中に運ばれるのを繰り返してしまうと、肺や気管支に炎症が起きて肺炎を引き起こしてしまいます。
2−3:適切な噛み合わせにならない

入れ歯は、噛み合わせのバランスを考えて設計して作られているので、しっかりと噛めるようにできているはずです。
しかし、入れ歯安定剤を使うことで、噛み合わせのバランスが崩れてしまう可能性があります。
噛み合わせの位置が変わってしまうと、入れ歯を支えている歯や歯茎などに負担がかかってダメージを与えることになります。
例えば、総入れ歯の場合、安定剤を痛みのある部分だけに付けたとします。
痛みのある部分だけに安定剤を付けたことで、部分的に厚みが出るので、今までの噛み合わせの位置とは違って、ズレた位置で噛んで癖になりやすいです。
ズレた位置で噛むようになると、一部分だけに噛む力が強くかかるようになり、入れ歯を支えている歯茎に過度な力がかかるようになります。
歯茎の中には顎の骨があって、継続的に力が歯茎にかかり続けると、骨の細胞が壊れてしまい骨が細くなりなくなってしまいます。
骨がなくなると同時に歯茎の位置が下がって、凹んだような形になり見た目が悪くなり安いです。
また、部分入れ歯の場合には、歯を支えとしているので、金属やシリコンのバネを使用していて、安定剤がバネの部分に入ると上手くハマらずに、使えなくなってしまうことがあります。
他にも、安定剤を使用して噛み合わせの位置がズレた状態で入れ歯を使い続けてしまった結果、顎関節症を引き起こす可能性が高いです。
顎関節症とは、耳の横あたりにある関節や筋肉などに負担がかかることで、口が開けにくくなったり、痛みが出たりする症状のことです。
噛み合わせのバランスがズレや状態で負荷がかかると、下顎を支えている耳の横の関節や周辺の筋肉などが、緊張した状態になり上手く機能しなくなります。
特にクッション性の高い入れ歯安定剤では、自分で噛み合わせの位置を決めることになるので、噛み合わせのバランスが崩れて、どこかに負担が大きくかかるようになります。
2−4:入れ歯安定剤に依存するようになる

・痛みが消えた
・入れ歯が外れにくくなった
といった症状に今まで悩まされていたのに、一度良くなった経験すると手放せなくなるのが人間です。
「入れ歯安定剤のない状態では、また痛い思いをしそう…」「会話をしていて外れるのが嫌だ」などといった不便な状態になるのが怖くて、痛みや外れるといったトラブルが起きる前に、安定剤を使用するのが癖になる場合があります。
一時的な使用ではなく、長期的に安定剤を使用するようになってしまい、噛み合わせが安定せず、通院回数が増えたり、入れ歯を何回も作り直したりする原因になります。
3 入れ歯に安定剤は必要ない?

入れ歯が口の状態にしっかりと合っている作りであれば、安定剤を使わず快適に過ごすことは可能です。
入れ歯が完成するまでの工程が精密であるほど、自分にあったオーダーメイドの入れ歯になって、歯茎への馴染みやすくなります。
特に、入れ歯作りで重要なのは、型取りのやり方です。
上下の入れ歯を作る場合には、上と下で分けて入れ歯の型取りをする歯科医院がほとんどです。
しかし、上下の型取りを別々に行うと、型取りの時に位置がズレてしまい完成した入れ歯の噛み合わせが合っていない可能性があります。
例えば、総入れ歯を作るケースは、粘膜の状態や舌や頬の筋肉などを記録するのが重要です。
なぜなら、総入れ歯は口の内側では舌、外側からは頬や唇などの筋肉で支えられているからです。
上下で分けて型取りをするやり方では、総入れ歯を作るために必要な筋肉の情報を十分に記録することができず、痛みが出たり、外れやすかったりする入れ歯になってしまいます。
そのため、上下の総入れ歯を作製する時に、上下いっぺんに型取りをしてくれる歯科医院は、入れ歯作りが得意と言っても過言ではないでしょう。
その他にも、入れ歯製作時にゴシックアーチや咬合器などの道具を使用していることも自分に適した入れ歯になる大事な要素の一つです。
口の状態にピッタリの入れ歯を作ることができれば、安定剤を使用する必要はありません。
ただ、新しい入れ歯が歯茎に馴染むまでは、数回の調整は必要です。
安定剤は使うほど、安定しないガタガタの入れ歯にしてしまう恐れがあります。
つまり、入れ歯を作る時には、信頼できる歯科医院を選ぶようにしましょう。
ガタガタになった入れ歯を使い続けると、歯茎がどんどん痩せて入れ歯を作るのが難しくなっていき、それこそ安定剤に頼らないと入れ歯が使えないような口の状態になってしまいます。
4 入れ歯安定剤を使う前に歯科医院へ

歯科医院に行くまでの一時的な対処法として、入れ歯安定剤を使うのは良いかもしれません。
安定剤を長期間使いすぎると、入れ歯の裏側にくっついて外れにくくなってガタついた入れ歯になって、歯茎や顎の骨にダメージを与えてしまう可能性があります。
安定剤を使う前に一度、担当医に入れ歯の状態を診てもらうのがオススメです。
ただ本来、入れ歯に安定剤は必要ありません。
そのくらい口の状態に合った、入れ歯を使うことが前提だからです。
入れ歯を作ってから期間が経っているのにもかかわらず、痛みや外れやすい状態が続く場合には、他の歯科医院に相談することも考えましょう。
安定剤を使いすぎて歯茎や骨が細く痩せた状態になった後に、ピッタリの入れ歯を作るのは難易度が高くなります。
そんな状態になる前に、入れ歯が全然合わないと思ったら、なるべく早めに別の歯科医院で入れ歯の相談をすると良いでしょう。









