歯周病はキスで感染する?

松川 眞敏
松川 眞敏
この記事の監修者
医療法人社団「朋優会」理事長。歯科医師・インプラント専門医。国際インプラント学士会(I.C.O.I.)メンバー。米国インプラント学会(A.O.)アクティブメンバー。欧州インプラント学会(E.A.O.)メンバー。O.S.I.アドバンスドトレーニングコース 講師。
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歯周病は、自分に起きるだけでなく、誰かにうつしてしまう病気だと知っていますか?

 

キスは、お互いの唾液を交換する行為になり、歯周病を引き起こす可能性が高いと言われています。

 

かといって、無理にパートナーとキスをするのを止める必要はありません。

しっかりと予防することで、歯周病の発症を防ぐことができます。

 

そこで今回は、キスと歯周病の関係性や、予防法などについて解説していきます。

目次

1キスで歯周病に感染する?しない?

結論から言うと、キスで歯周病に感染する可能性は高いです。

歯周病は感染症で風邪と同じように、誰かにうつる病気になります。

 

また、歯周病は歯周病菌が増えて活発になることで、起きる症状です。

歯周病菌は、歯の表面についているプラークだけでなく、唾液にも含まれています。

 

ただ、キスをすることで、歯周病になるわけではありません。

唾液を介して歯周病菌をうつしているので、歯周病になる可能性が高くなるのです。

 

唾液には、何百種類という菌が存在しています。

そのため、たった1度のキスでも、歯周病に感染する確率は高いです。

 

次からは、キスが原因で歯周病に感染するのをケース別に解説していきます。

1−1:親から子へのケース

生まれたばかりの赤ちゃんには、歯周病菌は存在しません。

 

もし、子どもの歯茎が赤く腫れたり、出血したりする歯肉炎を引き起こしている場合は、親から歯周病菌をもらった可能性があります。

 

自分の子どもが可愛いからといって、唇にキスをしていませんでしたか?

親子のスキンシップが、歯周病菌をうつしてしまう原因になるのです。

 

また、最近では子どもの歯肉炎が増えている傾向があります。

 

平成17年に厚生労働省が行った歯科疾患実態調査では、歯茎の検査をしたところ次のような結果になっています。

この表から、歯茎からの出血があり、歯石がついている割合が5歳〜9歳は35.5%10歳〜14歳では45.3%15歳〜19歳は69.1%と高いことがわかります。

 

つまり、約4割以上の子どもが歯茎に何らかの問題があり、歯肉炎を引き起こしていることになります。

1−2:大人同士のケース

自分はしっかりと歯磨きをして歯周病の予防をしていても、キスをする相手が歯周病菌を持っていれば唾液感染によって、菌をもらうことになります。

 

また、逆に自分が歯周病菌を持っていれば、キスで相手にうつしてしまう可能性もあるということです。

2ペットとのキスもN G!

最近では、ペットと一緒に生活している方も多いと思います。

ペットが、飼い主の顔や唇をペロペロと舐めることもあるでしょう。

 

しかし、その愛情表現も唾液感染になります。

特に、犬や猫には人間と同じくらい強力な歯周病菌がいることがわかっています。

 

つまり、歯周病は犬や猫にも起きる病気なのです。

 

犬や猫とキスをするのは、人間からペットに歯周病菌をうつすこともあれば、ペットから人間に歯周病菌をうつしていることになります。

 

犬や猫が歯周病になると、人間と同じように口臭がしたり歯が抜け落ちたりと、全身の病気にも関わってきます。

 

また、ペットから別の病気をもらう可能性もあります。

 

家族同然のペットの健康や自分自身の健康のためにも、動物とのキスはオススメできません。

3歯周病はキス以外でも感染する?

歯周病の感染ルートは、唾液感染です。

キス以外にも次のような行動は、お互いの唾液を経由することになり、歯周病を発症する可能性が高くなります。

 

・自分や相手が使っている箸、スプーンなどで料理を食べる

・ストローを共有してドリンクを飲む

・うがいをするコップが同じ

 

上記の項目にひとつでも当てはまる方は、注意が必要です。

4歯周病の感染を防ぐ「4つの方法」

歯周病は常在菌といって、口の中に存在する菌です。

そのため、完全に歯周病菌をなくすことはできません。

 

しかし、歯周病を相手になるべくうつさない、菌の数を少なくすることは可能です。

自分や相手に歯周病を引き起こさせないようにするには、次の4つのことが効果的です。

 

・歯磨きでしっかりと汚れを落とす

・歯周病治療を受ける

・定期検診を受ける

・同じ食器を使わない

 

それぞれについて、詳しく解説していきます。

4−1:歯磨きでしっかりと汚れを落とす

歯周病菌は、歯の表面に付いているプラーク(歯垢)に存在しています。

 

毎日、何回も歯磨きをしていても、このプラークが取れていない場合には歯周病になるリスクは高くなります。

 

歯並びや歯の形は、人によってさまざまです。

 

しっかりとプラークを落とす正しい歯磨きをすることで、歯周病を引き起こすリスクを低くできます。

 

・磨き残しが多い

・正しい歯磨きの仕方がわからない

 

といった場合には、かかりつけの歯医者で歯磨きの仕方を教えてもらうのが、おすすめです。

 

自分に合った歯ブラシやその他の道具などを歯のプロから教わることで、効率的に歯磨きができるようになります。

 

4−2:歯周病治療を受ける

歯周病はサイレントキラー(静かなる病気)と言われるほど、痛みもなく進行していく病気です。

 

そのため、自分では気づかないうちに歯周病にかかっている可能性があります。

歯周病が進行している場合には、歯周病治療をしないと改善しません。

 

なぜなら、歯茎の中まで歯周病菌が侵入していることが多く、歯磨きだけでは除去できないからです。

 

歯周病と診断された場合には、歯周病治療を受けましょう。

4−3:定期検診を受ける

毎日しっかりと歯磨きをしていても、磨き残しが少しもなく完璧に歯磨きができる人はいません。

 

また、気づかないうちに歯周病を引き起こしていることもあり、定期的に検診を受けるのがおすすめです。

 

定期検診では、歯茎の状態を確認したり、普段の歯磨きでは取れない細かい汚れや歯石などを取ったりできます。

 

定期的にプロのクリーニングを受けることは、歯周病予防に効果的です。

4−4:同じ食器を使わない

自分や相手が使った食器を共有するのを止めると、歯周病になるリスクが軽減できます。

 

特に、子どもに料理を食べさせるときは、自分の使った箸やスプーンなどを使うのはやめましょう。

 

同じ食器を使うことは、親から子への唾液感染になり将来、子どもが歯周病になる可能性が高くなります。

5キスで歯周病は感染する

歯周病は、キスで感染する恐れがあります。

歯周病は感染症で、唾液に歯周病菌が潜んでいます。

 

キスをすることで、唾液を介して歯周病菌が自分や相手にうつり、歯周病になるリスクを高めてしまいます。

 

特に、子どもへのキスは将来、子どもが歯周病になる可能性が高くなるので注意が必要です。

 

また、歯周病を防ぐ4つのポイントは次の通りです。

 

・歯磨きでしっかりと汚れを落とす

・歯周病治療を受ける

・定期検診を受ける

・同じ食器を使わない

 

キスは、パートナーとの大切なコミュニケーションツールのひとつです。

 

「もうキスはしない!」と決断するのではなく、今回紹介した4つのポイントを参考にしっかりと予防をして、歯周病を発症しないようにコントロールしていきましょう。

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