20代で歯がボロボロになった方におすすめの治療法とは?

松川 眞敏
松川 眞敏
この記事の監修者
医療法人社団「朋優会」理事長。歯科医師・インプラント専門医。国際インプラント学士会(I.C.O.I.)メンバー。米国インプラント学会(A.O.)アクティブメンバー。欧州インプラント学会(E.A.O.)メンバー。O.S.I.アドバンスドトレーニングコース 講師。
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虫歯や歯周病、または転倒事故などが原因で、20代と若いのに歯がボロボロに…

これからの食事のことや、見た目のことなど考えると、不安になりますよね。

しかも、まだ年齢が若ければ若いほど、“入れ歯”を入れることに抵抗がある場合もあるでしょう。

インプラントも大掛かりな手術となることから、不安を覚える方もいるかもしれません。

 

しかし、失った歯をそのままの状態にしておくのも、様々なデメリットが生じます。

そこで今回は20代で歯を失った方に、おすすめの治療法をご紹介していきます。

目次

1.歯を失ったまま放置はダメ?歯がないまま放置することのデメリット

歯を失ったけれど、治療は怖い、恥ずかしいなどの理由から、そのまま放置する方もいます。

しかし、そのまま放置していると、歯の問題、食べることの問題以外にも以下のようなデメリットを被ることがあります。

しかも20代のように若ければ若いうちに歯を失うほど、そのデメリットが長く続くことになりますよ。

1-1.噛み合わせの悪化

歯を失うと、まず上下の歯の噛み合わせに支障が出ます。

そこにあった歯がなくなるのですから、上手く嚙み合わず、噛み合わせが悪化します。

噛み合わせは食べ物を食べるときだけでなく、力を入れるときや、身体のバランスを保つために重要なものです。

噛み合わせが悪くなると、肩こりや頭痛などの全身症状に繋がることもあります。

1-2.残存歯への影響

また、残っている歯へも影響があります。

抜けているところがある分、噛む力などが分散せず、残存歯への力の負担が大きくなるからです。

その結果、残っている歯も失うことに繋がりかねません。

1-3.印象への影響

歯がないと、やはり見た目の印象も変わります。

どちらかというと良い印象を与えることは少ないでしょう。

1-4.発音への影響

また、歯がなければ、発音にも影響が出ます。

発音しづらい音が出てきたり、発音できたと思っていても相手にとっては聞き取りづらい音などがあり、何度も聞き返されることが増えるかもしれません。

2.歯を失った20代におすすめの治療法

20代という若さで歯を失った場合、治療法にはどのようなものがあるでしょうか。

今後の生活に大きな支障を出さないためにも、以下のような治療をおすすめします。

2-1.入れ歯

まずおすすめの治療法は入れ歯です。

入れ歯というと、高齢者が使うものというイメージを持っている方も多いため、印象だけで嫌煙される方もいます。

また、噛みにくい脆い、すぐ外れるなど、使いやすさが心配な方も多いかもしれません。

 

しかし、最近では入れ歯の種類も増え、従来の物とは違ったタイプのものも多く、見た目に目立ちにくく、噛みやすさなどは自分の歯と変わらないものも多いです。

 

若い方に特におすすめのものは、「ノンクラスプデンチャー」という審美性の高い入れ歯です。

ノンクラスプデンチャーは、いわゆる金属のバネがない入れ歯のこと。

部分入れ歯では、金属バネが口を開けるとよく見える場所にあり、目立つことが気になったり、そもそも金属アレルギーの方は使用できないこともありました。

その点、金属バネの代わりに、歯肉の色に合わせたピンク色の樹脂製のものを使用しているノンクラスプデンチャーなら、安心して目立たせずに使用できます。

ただし、ノンクラスプデンチャーは自費診療です。

何を一番に重視して治療をするのかを明確にし、どの入れ歯が自分の要望に合っているのか、医師に相談してみましょう。

 

【入れ歯のメリット】

入れ歯治療を行うメリットには次のようなものがあります。

 

①費用負担が少ない

まずは他の治療法に比べて費用負担が少ないことが挙げられます。

全ての入れ歯ではありませんが、材料によっては保険適応となる場合もあるので、まだ学生の方、就職したばかりの方も気軽に行える治療だと言えるでしょう。

ただし、先述したように入れ歯には種類があり、全ての治療が保険適応になるわけではないので、その点も医師と相談するといいでしょう。

 

②手術が不要

入れ歯治療の場合、手術は不要です。

歯型を採り、歯型に合わせて入れ歯を作るだけなので、患者側の負担も少ないです。

また、手術が必要でない分、通院期間も短く済みます。

 

③歯を削るリスクがない

ブリッジ治療の場合は、周囲の歯を削り、その部分にブリッジを取り付ける治療。

入れ歯の場合は、このように歯を削るリスクがありません。

 

歯を失った方の中には、周りの歯も虫歯や歯周病等で脆くなっている方もいるため、削ることすらできないという方もいますが、その場合も入れ歯治療であれば可能です。

 

【入れ歯のデメリット】

反対に入れ歯のデメリットを挙げるとすれば、次のようなものがあります。

 

①取り外しが面倒

入れ歯は取り外してケアをします。

そのため、入れたり取り外したりというのが面倒だと思う方がいるかもしれません。

装着した後も違和感があると言う方も。

しかし、取り外しもコツをつかめば簡単にできることも多く、ケアにも慣れてくることもあるでしょう。

 

②目立つ

部分入れ歯の場合は、金属部分が目立ち、審美的に良くないということもあります。

しかし、最近では先ほど紹介したような、金属部分が樹脂製で目立たないタイプの入れ歯もあります。

 

③顔の雰囲気が変わる

入れ歯を入れていると、顔の雰囲気が変わるということをよく言われます。

特に左右どちらか片方だけ入れ歯の場合、自分の歯の方と比べ、入れ歯の方の筋肉や顎骨が衰えてしまうので、顔の雰囲気が変わって見えることがあります。

しかし、最近ではさまざまな種類の入れ歯がありますし、他の治療法もあるので、顔の雰囲気が変わることが不安な場合は担当の歯科医に相談し、その不安を少しでも減らせる入れ歯、または治療法を選ぶといいでしょう。

2-2.インプラント

歯を失った時の治療法として挙げられることが多いのが、インプラント治療です。

インプラント治療には年齢的なイメージも少ないため、入れ歯のように治療に抵抗があると言う方は少ないかもしれません。

 

インプラント治療とは、顎骨に馴染みやすい材料を使ったインプラント体というものを歯根代わりに埋め、その上に人工歯を装着するという治療です。

自分の歯のようにしっかりと噛むことができるのが、インプラントの最大の魅力です。

 

【インプラントのメリット】

インプラントのメリットには次のようなことが挙げられます。

 

①自分の歯のように噛める

先述したように、インプラント治療では歯茎にしっかりとインプラント体を埋め込みます。

そのため、自分の歯と同じように顎の力も使いながら、しっかりと食べ物を噛むことができます。

入れ歯とは違い、取り外しもできないので、人工歯が浮いてくる、外れたなどの違和感もありません。

 

②高い審美性

高い審美性もメリットの1つです。

人工歯も自然な歯の色に近い、セラミックやジルコニアの素材を使ったものが作られることが多いので、歯を失う前よりも美しい歯を手に入れられることもあります。

 

③他の歯に負担をかけない

部分入れ歯を使ったり、ブリッジ治療を行うと、周りの自分の歯にバネをひっかけたり、周りの歯を削ったりすることが必要になることがあります。

その点、インプラント治療は手術こそ必要ですが、他の残存歯には負担をかけないため、自分の歯を守りつつ、抜けた部分だけを自然に治療することができます。

 

【インプラントのデメリット】

反対にインプラントのデメリットは次のような点です。

 

①治療費が高額

インプラント治療は治療費が他の治療法と比べても高額です。

保険適応外なので、歯科医院によっても治療費は異なります。

 

②治療期間が長い

インプラントの治療はすぐできるものでもないですし、手術後も仮歯で様子を見るなど、様々な過程を得ての治療になるため、治療期間が長くかかります。

症状にもよりますが、下顎で約6ヶ月、上顎で約1年が目安です。

 

③メンテナンスが必要

インプラントは人工歯を装着しても、その後の定期的なメンテナンスが必要です。

インプラント体の定着状況や、周りの歯茎に炎症を起こしていないか、噛み合わせのチェックなどを定期的に行うため、通院する必要があります。

2-3.ブリッジ

欠損した歯の両隣の歯と連結して人工歯を作る方法がブリッジという治療法です。

周囲にある歯を削って、そこへ被せるように連結したブリッジを付けます。

最近では接着ブリッジという治療法もあり、その場合は周りの歯を削らず、周りの歯を削らない、もしくは削る部分を最小限にする治療もあります。

 

ただし、全ての歯を失った際には、ブリッジを装着する支えがないため、ブリッジ治療はできません。

 

【ブリッジのメリット】

ブリッジ治療のメリットは、次のようなものがあります。

 

①自分の歯のように噛める

ブリッジ治療は入れ歯とは異なり、周りの歯にブリッジを被せて固定するので、自分では取り外しはできません。

そのため、ずれたり、装着時に違和感があったりということはなく、しっかりと噛む感覚を味わえるでしょう。

 

②外科的処置がない

歯を削ることはありますが、インプラント治療のように麻酔を使うなどの大掛かりな外科的処置はありません。

その点、患者側の負担を減らせます。

 

③取り外しの手間が不要

入れ歯の場合はケアのために取り外したり、また装着したりという手間があります。

ブリッジ治療の場合はその手間が不要です。

 

【ブリッジのデメリット】

デメリットももちろん存在します。

 

①歯を削らなければいけない

部分入れ歯なら、隣の歯の根元に金具で固定する方法で装着するので、健康な歯質を削る必要はありません。

ブリッジも最近は削らない、削る面積を最小限に抑える治療も増えてはきましたが、一般的なブリッジは歯を削る治療が多いです。

 

②全部の歯を失った場合はできない

先述したように、ブリッジ治療は周りにブリッジを被せられる、自分の歯がなければ、治療ができません。

自分の歯はあったとしても、その歯の治療が不可能な程度の虫歯であったり、歯周病があったり、斜めに生えていたりする場合も治療が適応されません。

ブリッジを望んでもできないケースもあることを知っておく必要があります。

 

③寿命が短い

ブリッジには寿命が短く、その平均寿命は7~8年と言われています。

20代の方がブリッジ治療を行ったとしても、今後何度かは再度ブリッジ治療をする必要があるということです。

もちろんインプラントや入れ歯も寿命はありますが、使う材料や手入れ次第でブリッジよりは長く使えることが多いです。

2-4. オールオン4

全ての歯を失った方の中で、総入れ歯には抵抗があるけれど、多くのインプラント体を埋め込むのは怖い…または顎骨がやせ細ってできない…

そんな時はオールオン4という治療法もあります。

 

オールオン4は最少4本のインプラント体を埋入する治療法のこと。

(全部の歯を失った場合、通常のインプラント治療では8本から14本。)

奥側はインプラント体を斜めに埋入し、インプラントにかかる力を広く均等に配分して歯をしっかりと補綴します。

比較的新しい治療法で、患者の治療費用、期間、または身体への負担を必要最低限に抑えることができます。

顎骨がやせ細っている場合は、インプラント体の本数は4本よりも多くなることはありますが、それでも通常のインプラント治療よりも本数が減らせる治療法です。

 

【オールオン4のメリット】

オールオン4のメリットは次のような点です。

 

①抜歯からインプラントの仮歯の装着までが1日

オールオン4の場合、全ての歯を失ったときでも、1本失った時と同じように、仮歯の装着までをその日のうちに終わらせることができるのがメリットです。

 

②手術の負担が少ない

埋め込むインプラントの本数が少ない分、精神的な負担や身体の負担を減らすことができます。

また、通常のインプラントよりも手術にかかる時間等も短いため、費用や通院回数も減らせます。

 

③顎骨の痩せるのを防げる

入れ歯の場合は歯の無い部分の骨が少しずつなくなっていくことがあるのですが、オールオン4やインプラントの場合は、それを防げます。

 

【オールオン4のデメリット】

オールオン4にはデメリットもあります。

 

①オールオン4の知識と技術を持った医師でないと治療できない

オールオン4は比較的新しい治療法のため、どこの歯科医院でも、どの歯科医でもできる治療ではありません。

知識と経験がなければ、この治療ができないので、治療を受ける歯科医院を選ぶ必要があります。

 

②保険適応外である

オールオン4の場合は、どのような理由で歯を失ったとしても、保険適応外です。

そのため、費用的な負担があります。

3.これからも長い人生だからこそ、妥協しない治療法を選ぼう

20代はこれまでの人生よりも、これからの人生の方が長いです。

歯を失った後、そのまま放置しておくと健康へのリスクが大きいので、歯の代わりとなるものを作る治療を、前向きに検討していくことをおすすめします。

また、治療が完了したからと言っても、口の中は変化していきます。

定期的なメンテナンス、また寿命を迎えれば再治療が必要となることもあります。

そのことも踏まえ、歯科医師と相談をしながら、自分の納得のいく治療法を選択しましょう。

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