摂食障害で歯がボロボロになった方へ。

松川 眞敏
松川 眞敏
この記事の監修者
医療法人社団「朋優会」理事長。歯科医師・インプラント専門医。国際インプラント学士会(I.C.O.I.)メンバー。米国インプラント学会(A.O.)アクティブメンバー。欧州インプラント学会(E.A.O.)メンバー。O.S.I.アドバンスドトレーニングコース 講師。
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摂食障害の影響で、歯がボロボロになってしまった。

ボロボロになってしまった歯、失った歯は元に戻ることはありませんが、元あった歯のように治療をすることはできます。

 

前向きに歯の治療を検討したいと考えている方に、どのような治療法があるのか紹介します。

目次

1.なぜ摂食障害で歯がボロボロになる?

まずはなぜ摂食障害が原因で歯がボロボロになってしまうのか、原因を知っておきましょう。

1-1.酸蝕症(さんしょくしょう)

摂食障害で嘔吐したことにより、胃液が出ると口の中が酸性になります。

歯はph5.5以下の酸で溶けますが、胃液の中に含まれる胃酸はph1~2と比較的強い酸で、またしばらく口の中に残っていると、じわじわと歯を溶かします。

それが長期間続くと、歯が著しく溶けてなくなったり、ボロボロの状態になったりします。

 

このような歯を溶かす病気のことを酸蝕症と言います。

摂食障害の方、特に過食嘔吐をされる方はこの酸蝕症になっている方が多いです。

 

酸蝕症の症状には次のようなものがあります。

・歯が欠ける、先端がギザギザになる

・歯がすり減る

・歯が薄くなる

・歯の裏が窪む

・歯が短く、小さくなる

・歯の象牙質が露出する

 

これらの結果、歯がボロボロになったり、虫歯になりやすかったり、知覚過敏になることがあります。

痛みを感じ、更に食べることから離れたり、物を噛まずにただ食べるようになることも。

1-2.虫歯

過食性の摂食障害の方は、食べる時間が不規則だったり、糖分を過剰摂取したりする傾向にあり、その結果虫歯になりやすいです。

拒食症の方も食事量は少ないものの、飴などを1日中なめているなどすると、虫歯になりやすい傾向があります。

虫歯も進行すると歯を失う原因になります。

 

また、繰り返す嘔吐や摂食障害で服用している薬の影響で、口内の唾液量が少なくなり、ドライマウスの状態だと虫歯になりやすいこともあります。

 

虫歯が進行すると歯はひどく痛むので、苦痛に感じるでしょう。

2. ボロボロになった歯の治療方法は?

摂食障害が影響で歯がボロボロになってしまった場合、どのような治療法があるのでしょうか。

自分の歯を元通りにすることはできませんが、次のような治療で自歯と同じような見た目に戻し、かつ痛みの原因を治療することが可能です。

2-1. コンポジットレジンによる修復

コンポジットレジンとは、レジンと無機質フィラーの複合素材のこと。

そのコンポジットレジンを歯が溶けて歯牙が出た、欠損しているところに充填し、歯を修復していく治療法があります。

 

従来の虫歯治療に使われていた銀歯の詰め物などと違い、自歯は削らずに保存が可能な点が、この治療の特徴。

ホワイトニングしたような白い歯も実現でき、審美性も両立できるところが魅力です。

保険診療内でできる範囲であれば、気軽に安価で治療できます。

2-2.入れ歯治療

歯が溶けて、抜歯する必要になった場合は、その代わりに入れ歯を入れるという選択肢もあります。

入れ歯というと高齢者が使うものと思われる方もいるかもしれませんが、審美性の高いものもあり、若い方の治療としても使われる例はあります。

 

中でも満足度の高い入れ歯が“テレスコープ義歯”というものです。

ホワイトニングをしたような色の歯を入れ歯としても入れることができますし、歯の形も理想の形を自由に作ることができます。

自分の歯に金具をかけて固定しますが、口を開けたときに見えないところに付けるので、入れ歯であることが周りからは気付かれにくいというメリットもあります。

就寝時にも外さなくても問題ないので、自分の歯のように使える入れ歯と言えるでしょう

 

ただし、テレスコープ義歯は患者一人一人に合わせて義歯を作成するため、少し治療費は高くなります。

入れ歯治療の中には保険診療内で治療できるものもありますし、テレスコープ義歯よりは安価で作れるものもあるので、どれが良いのか歯科医師と相談し、比較するといいでしょう。

2-3.セラミック治療

歯の欠けた部分にセラミックの詰め物をして補ったり、セラミック製の被せ物をして本来の歯の形を取り戻す治療もあります。

これらをセラミック治療と言いますが、セラミック治療のメリットはその審美性です。

金属やレジンと比べて変色しづらく、自然の歯のようなツヤを実現できます。

また、安全性も高く、汚れにくいのもメリットと言えます。

3.摂食障害でも歯の治療は可能?

摂食障害が原因で歯を失ってしまった、ボロボロになったとしても治療法はあると分かりましたが、実際に治療に行くまでに躊躇してしまう方も多いです。

歯がボロボロになっているのを見られるのが恥ずかしいと思う方、ここまで放置していたことを怒られないかどうか心配な方もいるでしょう。

現実問題、残念ながら摂食障害について理解不足の歯科医師の方もおり、治療を諦めた、途中で通院をやめてしまったという摂食障害の方もいるようです。

3-1. 歯の治療が摂食障害の治療につながることも

しかし、治療ができないわけではありません。

もし歯の痛みや見た目の問題が、ストレスを感じる要因の1つになっているのであれば、その原因を治療によって解消した方が良いでしょう。

 

摂食障害に悩んでいる方は女性では10人に1人と、決して少なくはありません。

摂食障害に理解を持ち、歯の悩みを治療してくれる歯科医院はあるはずなので、まずは歯科医院を探しましょう。

 

歯科医院のWEBページや口コミから、摂食障害の方の歯科相談、歯科治療を行っている歯科医院を探してみるのがおすすめです。

また、心療内科や精神科など、摂食障害の治療を受けている病院がある場合は、その医師に「歯の治療を受けたい」と相談し、歯科医院を紹介してもらうのでもいいでしょう。

3-2.まずは歯科相談・カウンセリングから

歯科医院を探したら、まず自分の歯の状態には、どのような治療があっているのか相談し、カウンセリングを受けてみてください。

相談したからと言って、必ずその歯科で治療を受けなければならないわけではありません。

気軽に相談し、カウンセリングを受けてみて、そのやりとりの雰囲気を見ながら、安心して治療を任せられる歯科医院で治療を受けましょう。

4.嘔吐後の対応

歯科治療を受け始めたとしても、摂食障害で嘔吐してしまうことがすぐになくなるわけではないでしょう。

嘔吐した際、歯がボロボロになるのを防ぐために、治療以外でも自分でケアできることはないでしょうか。

4-1.うがいをする

嘔吐まではしていなくても、胃酸が逆流したと感じたときや、糖質の多いもの、炭酸飲料や梅干し、レモンなど酸が強い食べ物を食べた後には、できるだけすぐにうがいをする習慣を持つといいでしょう。

口の中の味がなくなるまで、うがいを繰り返し、口の中を中性に近づけると、歯が溶けたり虫歯になったりするのを防げます。

 

また、フッ素の入ったうがい薬でうがいをすると、更に効果的です。

4-2.歯磨き

歯磨きは歯の健康を保つためには大切なことです。

しかし、嘔吐してすぐの胃酸が溜まった口内では歯が溶け始めていて、ごしごし磨くと歯が削れてしまうこともあるので、30分以上経ってから磨くのがおすすめです。

それまではうがいをしたり、お茶を飲んだりしておきましょう。

歯磨き粉もフッ素入りのものを使うと、虫歯や歯周病の予防につながることがあります。

4-3.マウスピースを使用する

頻回で嘔吐をしてしまう場合は、歯を覆うようなマウスピースを使用するのもいいでしょう。

胃酸が歯にかかり、溶け始めるのを防げます。

マウスピースの製作を歯科医院で相談してみましょう。

5.摂食障害による歯の問題は治療で解決できる

摂食障害の影響で歯がボロボロになったり、失ってしまったとしても、治療をすれば元の歯のように違和感のない口元を取り戻すことができます。

歯がボロボロなせいで、人目が気になり、それもストレスになっている方、マスクが手放せなくなっている方は歯の治療を行うことで、少し前向きになれるかもしれません。

治療を検討している場合は、まずは歯科医師に相談してみてください。

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