
- この記事の監修者
- 医療法人社団「朋優会」理事長。歯科医師・インプラント専門医。国際インプラント学士会(I.C.O.I.)メンバー。米国インプラント学会(A.O.)アクティブメンバー。欧州インプラント学会(E.A.O.)メンバー。O.S.I.アドバンスドトレーニングコース 講師。
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インプラント治療を終えて、ほっと一息ついた頃・・・
急にインプラントが外れてしまったら、驚いて、どうしたらいいのか戸惑ってしまいますよね。
できればそのような事態にならないのが一番ですが、万が一を考えて、対処法を知っておくといいでしょう。
今回は、インプラントが外れてしまった時の対処法について紹介していきます。
目次
- 1.インプラントが外れる原因は?
- 1-1.インプラント体が外れる原因
- 1-2.アバットメントが外れる原因
- 1-3.被せ物が外れる原因
- 2.インプラントが外れた場合の対処法
- 2-1.インプラント体と顎骨の結合に問題がある場合
- 2-2.インプラント周囲炎が問題である場合
- 2-3.アバットメントのネジが緩んで外れた場合
- 2-4.被せ物が外れてしまった場合
- 3.インプラントが外れたら、できるだけ早く受診を
1.インプラントが外れる原因は?

インプラントは主に、次の3つの部分からできているものです。
・顎骨に埋め込むインプラント体(人工歯根)
・被せ物(人工歯)
・被せ物とインプラント体を繋ぐアバットメント
この中のどの部分が外れたかによって、外れる原因は異なります。
1-1.インプラント体が外れる原因
顎骨へ埋め込んだインプラント体が外れてしまう場合、時期によって考えられる原因が異なります。
【治療後数ヶ月で外れた場合】
インプラント体を埋め込む手術の後、数ヶ月で外れてしまった場合は、顎骨とインプラント体が結合していないことが原因であることが多いです。
数ヶ月すると、骨性癒着といって、インプラント体が骨と結合し、しっかりと結合するのが通常ではありますが、何らかの問題があったことが考えられます。
その問題とは、インプラントを埋めた部分の骨の状態や医師の手術の技術、衛生上の問題などが挙げられます。
【治療後数年経って外れた場合】
インプラント治療を終えて、数年経った際にインプラント体が外れたという場合は、インプラント周囲炎が考えられます。
インプラント周囲炎とは、インプラント周辺に歯周病のような症状が現れること。
最初は歯茎の炎症や腫れの症状が出ますが、酷くなると歯茎が膿んだり、骨吸収が起きてしっかり骨と結合していた部分に隙間ができ、インプラントがぐらついたりすることがあります。
その結果、抜け落ちてしまうことがあるのです。
1-2.アバットメントが外れる原因
インプラント体(人工歯根)と被せ物(人工歯)を繋ぐ部品であるアバットメント。
ここが外れてしまう原因には、インプラントを固定しているネジにゆるみが出た、もしくは破損しているということが考えられます。
アバットメントとインプラント体はネジで固定されていますが、このネジに何らかの負担がかかると、ネジが緩んでしまったり、破損してしまったりすることがあります。
その結果、インプラント体からアバットメントが離れ、外れてしまうのです。
ネジが緩む、破損するのは、インプラント部分に過度な力が加わり、負担となるのが要因だと考えられます。
インプラント治療をする際には、インプラントに負担がかかりすぎないよう、噛み合わせも考慮して治療されているはずですが、口内環境の変化などによりインプラントに負担がかかってしまっているのかもしれません。
また、歯ぎしりや食いしばりなどの癖がある場合も、インプラントに負担がかかりやすいです。
1-3.被せ物が外れる原因
インプラントとして見える部分である被せ物が外れてしまう原因には、インプラント治療ならではの理由があります。
通常ブリッジ治療などで現存する歯に被せ物をする場合には、しっかりと被せ物を固定するために固めのセメントを使用します。
隙間に虫歯菌が入ると、天然歯が虫歯になってしまうリスクもあるので、隙間ないように固めるのです。
一方、インプラント治療ではアバットメントのネジの緩みなどをメンテナンスしやすいよう、しっかりは固めず、あえて柔らかいセメントを使い、固定します。
人工歯は虫歯になることはないので、隙間が空いていても問題はないからです。
そのため、被せ物が外れてしまうことは、実はよくあります。
しかし、しょっちゅう外れてしまうことが普通というわけではありません。
基本的には必要な時に外しやすいようにしておくだけなので、外れやすくしているわけではないのです。
もし頻度が高く外れてしまうという場合には、噛み合わせの問題で、インプラントに余計な負担がかかっていることが考えられます。
2.インプラントが外れた場合の対処法

インプラントが外れてしまった場合には、できるだけすぐに対処をするのが望ましいです。
それぞれの部位に対する対処法をご紹介します。
2-1.インプラント体と顎骨の結合に問題がある場合
インプラントの手術後、数ヶ月してもインプラント体と顎骨が結合せず、抜け落ちてしまった場合には、すぐに歯科医院へ連絡し、受診しましょう。
もう一度インプラントを埋め込む手術をする必要があります。
再手術の前には、結合しなかった原因をはっきりさせるために、精密検査を行い、その原因を取り除いてから手術しなければ、また同じように外れてしまうリスクがあります。
治療している医師のスキルや治療方針に不安があれば、他の医院での再手術も検討しましょう。
2-2.インプラント周囲炎が問題である場合
インプラント周囲炎はある日突然重症となるわけではありません。
歯周病と同じようにまずは歯茎の腫れ、炎症などから始まります。
インプラント治療後も定期的にメンテナンスへ通っていれば、インプラント周囲炎も軽いうちに進行を止めることもできます。
しかし、インプラント周囲炎が進行して重度となり、インプラント体が外れた場合には、まずインプラント周囲炎を治療します。
そして再度、インプラントが埋められるだけの骨の回復を待ちます。
骨は骨造成術などで、量を増やすこともあります。
2-3.アバットメントのネジが緩んで外れた場合
アバットメントのネジは定期的なメンテナンスにて、緩みを確認し、緩んでいれば締め直します。
しかし、事情が合ってメンテナンスに行けなかった場合などで、ネジが緩んだまま放置していると、外れてしまうケースが見られます。
インプラント体は埋まったままだけれど、アバットメントと被せ物が外れてしまった場合にも、外れたネジや被せ物を持って、すぐに歯科医院を受診しましょう。
ネジを締め直し、被せ物を再度被せれば元通りになります。
アバットメントが破損している場合には、新しいアバットメントが必要になります。
ただし、インプラントは世界中にたくさんのメーカーがあり、アバットメントの形状や材質などはそのメーカーの商品によって異なります。
どのメーカーのインプラントを扱っているかは歯科医院によっても違います。
そのため、新しいアバットメントが必要になった時には、インプラント治療を行った歯科医院に行く、もしくは同じメーカーのものを扱っている歯科医院を探してから受診する必要があります。
2-4.被せ物が外れてしまった場合
被せ物が外れてしまった場合には、外れた被せ物を確認し、破損等がなければ被せてもらうだけで元通りになります。
しかし、なぜ外れたのか、原因を明らかにしてもらってから戻してもらうといいでしょう。
もし原因がはっきりしたら、外れないように気を付けたり、メンテナンス時に原因であったことを重点的にチェックしてもらうようにしましょう。
破損があったり、被せ物をなくしてしまったりした場合には、また新しく作製してもらう必要があります。
3.インプラントが外れたら、できるだけ早く受診を

インプラントがもし外れてしまったら、まずは冷静にどこが外れたのかを確かめ、外れた部分が残っているか、破損していないかを確かめましょう。
部品は保管しておき、できるだけ早めに歯科医院を受診してください。
外れた部分や状態によっては、すぐに元通りになることもあります。
しかし、何度も外れるのが繰り返される場合には、しっかりと外れた原因を見極めることが大切です。
外れるのを予防するためにも、定期的にメンテナンスへ通い、異常がないかチェックしてもらうと安心です。









