- この記事の監修者
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医療法人社団「朋優会」理事長。歯科医師・インプラント専門医。国際インプラント学士会(I.C.O.I.)メンバー。米国インプラント学会(A.O.)アクティブメンバー。欧州インプラント学会(E.A.O.)メンバー。O.S.I.アドバンスドトレーニングコース 講師。
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歯を失った際の治療法として、メリットの多いインプラント治療ですが、オールオン4という治療方法を聞いたことがあるでしょうか。
オールオン4はインプラント治療の1つで、ふつうのインプラント治療とは治療法が少し違います。
簡単にいうと、通常のインプラント治療よりも、埋め込むインプラント体の本数が少ないのが特徴です。
オールオン4とふつうのインプラント、どちらの治療を受ける悩む方に、具体的なオールオン4の治療の特徴、またメリットやデメリットを紹介します。
目次
- 1.オールオン4とは?
- 1-1.オールオン4のメリット
- 1-2.オールオン4のデメリット
- 2.オールオン4とふつうのインプラント治療の違い
- 2-1.治療できるケース
- 2-2.体にかかる負担の大きさ
- 2-3.治療期間
- 2-4.費用
- 3.オールオン4とインプラント治療はさまざまな点で異なる!自分に合ったものを選択しよう
1.オールオン4とは?
ふつうのインプラント治療は、歯のない箇所にインプラント体という人工歯根を1本埋め込み、その上に人工歯を取り付ける治療です。
その治療に対し、オールオン4は顎の骨に最小4本のインプラント体だけを埋め込む治療。
12本の連結した人工歯をその4本のインプラント体に固定します。
つまり、歯が全てない、残っていたとしても抜いた方がいい場合の治療法として、オールオン4があります。
総入れ歯よりも、オールオン4の方が、人工歯根を埋め込む分、安定感があり、噛み心地が自分の歯と変わらないと言われています。
1-1.オールオン4のメリット
オールオン4のメリットとしては、次のような点があります。
【治療期間が短い】
まずオールオン4のメリットとして挙げられるのは、治療期間が短いという点です。
ふつうのインプラント治療では、インプラント体を埋め込む手術をし、傷口が治るのを待ってから仮歯を取り付けます。
その後、インプラント体と顎骨が結合するのを待ってから、人工歯を取り付けるのが一般的です。
骨が結合するまでに、個人差はありますが5ヶ月程度かかります。
「即日インプラント」と言って、インプラント体を埋入した日に仮歯の装着まで行う治療法もありますが、この治療法が適用されるのには条件があります。
一方、オールオン4ではインプラント体を埋め込む手術当日に仮歯を取り付け、固定します。
即日インプラントと同じですが、オールオン4の場合は細かい条件などはなく、ほとんどの場合に即日仮歯を入れます。
すぐに入れることができるので、見た目としても、歯のない期間を減らすことができるのです。
【体への負担が軽減される】
また、オールオン4はインプラント体を最小4本だけで、12本もの人工歯を固定させることができます。
ふつうのインプラントだと、人工歯1本につき、インプラント体1本を埋め込みます。
たくさんの歯がない場合、それぞれ1本ずつインプラントを顎骨に埋入するのは大変です。
手術時間もかなり時間がかかりますし、歯茎を切る回数も増えてしまいます。
数本入れるだけで良いオールオン4は、体への負担が軽減されると言えるでしょう。
【顎骨の量が不足していても治療可能】
インプラント体を埋め込むには、顎骨の量、厚みが十分である必要があります。
そのため、ふつうのインプラント治療では、歯がない部分の顎骨の量が少なければ、そこへインプラント体を埋めることができず、骨造成手術などを行う必要があります。
しかし、オールオン4は顎骨の量が多い部分を選んで、数本のインプラント体を埋めます。
顎骨の量が十分な箇所があれば、骨造成手術を行わなくても、治療ができるのです。
【治療費を抑えられる】
オールオン4は片顎に最小4本だけインプラント体を埋め込むので、ふつうのインプラント治療で1本1本埋め込むよりも、治療費が抑えられます。
1-2.オールオン4のデメリット
反対に、オールオン4のデメリットには次のようなものがあります。
【残っている歯がある場合、抜歯が必要】
オールオン4の治療を受けるには、片顎に歯が全てない状態であることが条件となります。
全ての歯を失った際に適用される治療だからです。
オールオン4が受けたくても、歯が数本残っていれば、抜歯が必要となります。
その残っている歯が健康な歯であれば、抜歯するのはもったいないですよね。
もし、虫歯が進行している歯で、抜歯する方が良い場合であっても、抜歯後は腫れて痛みが出ることもあります。
【治療できる歯科医院が限られる】
オールオン4は専門的な技術と経験が必要な治療です。
そのため、治療できる歯科医院が限られてしまうことも、デメリットの1つでしょう。
オールオン4を行ったことのある、経験豊富な歯科医師が在籍しているところ、また専用の設備や機器がある歯科医院でなければ受けられません。
精密検査ができること、安全に治療できる体制であることが前提です。
また、何かトラブルがあった際、実績の少ない歯科医院の場合は対処ができないこともあります。
持病がある方には内科などとの連携できるかどうかも重要となります。
オールオン4を受ける際には、歯科医院選びは慎重に、実績や医師の経験をしっかりと確認してから選ぶようにしましょう。
2.オールオン4とふつうのインプラント治療の違い
オールオン4とふつうのインプラント治療との違いをまとめます。
2-1.治療できるケース
まず、オールオン4と、ふつうのインプラント治療では、治療が適用となるケースが異なります。
オールオン4は片顎全ての歯がない状態が治療対象となります。
残っている歯があれば、抜歯を行わなければいけません。
ふつうのインプラント治療は、1本から治療が可能です。
失った箇所だけに、失った歯の本数分、インプラント体を埋め込みます。
片顎全ての歯を失った場合も、ふつうのインプラント治療は受けられますが、先述したように治療時間が長くなったり、治療費が高くなったりします。
これらのことから、オールオン4は片顎全ての歯を失ったか、残っている歯も抜歯が必要な歯である場合のみ適用される治療だと言っていいでしょう。
2、3本の治療であれば、ふつうのインプラントが適用されます。
2-2.体にかかる負担の大きさ
体にかかる負担の大きさも、オールオン4とふつうのインプラント治療では異なります。
ふつうのインプラントで片顎全てを治療するとなると、手術時間も長くなりますし、多くの部分を手術しなければならないため、負担が大きいです。
その点、オールオン4は最小4箇所の手術だけでOK。
体にも負担が少なく、治療時間も少ないのがオールオン4のメリットです。
2-3.治療期間
オールオン4の治療は、基本的に片顎半日、両顎で1日で済みます。
すぐに仮歯を取り付け、そのあとはインプラント体が顎骨に結合するのを待ちます。
結合するまでは個人差があり、5ヶ月程度かかりますが、その間も仮歯が入っているので見た目や機能としては問題はありません。
ふつうのインプラント治療は、仮歯が入るまで1週間程度かかることが多いです。
その間は歯がなく不便な状態が続いてしまいます。
2-4.費用
片顎全ての歯をふつうのインプラント治療する場合と、オールオン4を行う場合では、先述したようにオールオン4の方が安く済みます。
3.オールオン4とインプラント治療はさまざまな点で異なる!自分に合ったものを選択しよう
オールオン4とは、最小4本のインプラント体で、12本の歯列を支えるという、インプラント治療の中でも画期的な治療です。
治療期間も短いうえ、費用も抑えられるというメリットがあります。
しかし、数本だけ歯がない場合には向いておらず、片顎全ての歯を失った場合のみ適用とされます。
自分の口内状態においては、どちらの治療が良いのかについて、まずは歯科医師に相談してみてください。
その上で、自分に合った最適な治療を選択していきましょう。