
- この記事の監修者
- 医療法人社団「朋優会」理事長。歯科医師・インプラント専門医。国際インプラント学士会(I.C.O.I.)メンバー。米国インプラント学会(A.O.)アクティブメンバー。欧州インプラント学会(E.A.O.)メンバー。O.S.I.アドバンスドトレーニングコース 講師。
https://e-implant-tokyo.com/smile-implant/

あごの骨に人工歯根を埋め込む、インプラント。本物の歯のような噛み心地を実現でき、審美性にも優れていることから、多くの芸能人からも支持されています。
「虫歯が深刻で抜歯をすることになったが、入れ歯やブリッジは嫌」という方にもおすすめできるインプラントですが、骨に人工物を埋め込む手術に抵抗を感じてしまい、手術を躊躇っている方もいるのではないでしょうか。
インプラントの最大の懸念は、「実際にどれくらい使い続けることができるのか」ということ。それさえはっきりすれば、安心してインプラントを埋め込むこともできることでしょう。
以下では、インプラントの寿命を短くしてしまうトラブルや、長持ちさせるためのポイントを紹介していきます。
目次
- (1)そもそもインプラントは長持ちする?データが示す実際とは
- (2)インプラントで起こりうるトラブルと原因
- (2-1)歯ぎしりによる部品の破損
- (2-2)インプラント部分の炎症トラブル(インプラント歯周炎)
- (2-3)インプラントを並んで埋め込むことによるリスク
- (3)インプラントを長持ちさせるために気を付けるべきこと3つ
- (3-1)定期メンテナンスは欠かさず行くようにする
- (3-2)喫煙習慣を見直す
- (3-3)歯を食いしばる習慣を改善する
- (4)万が一インプラントにトラブルが起こったらどうする?
- (5)インプラント技術に定評のある歯科医院選びも大切
- (6)まとめ
(1)そもそもインプラントは長持ちする?データが示す実際とは

10~15年という単位で考えてみると、インプラントの生存率(寿命)は、上あごで約90%、下あごで約94%というデータが存在します。
一方で、歯を削って人工歯をかぶせるブリッジはどうでしょうか。ブリッジは、削った歯が弱って土台が揺らいだり、虫歯になりやすくなったりするなど、何かとトラブルが尽きません。そのため、ブリッジの耐用年数は、およそ7~8年といわれています。
また入れ歯もまた、“長く使い続ける”という点においては、デメリットが多い装具だといえます。「使い心地が悪い」「食べ物をうまく噛めない」といったストレスも多いため、とくにお若い方には、あまり向いていないかもしれません。
(2)インプラントで起こりうるトラブルと原因

「本物の歯のように食べ物を噛める」「見た目がきれい」「虫歯になるリスクが極めて低い」といったメリットを持つインプラント。
しかし一方で、インプラントにおいて注意すべき点がいくつかあります。以下では、インプラント埋め込み後に起こりうるトラブルについてご説明しましょう。
(2-1)歯ぎしりによる部品の破損
「寝ているときに歯ぎしりをするクセがある」「力仕事をしていて、歯をくいしばることが多い」という方は要注意です。歯を食いしばる力がインプラントに加わると、部品を破損させてしまう恐れがあります。
また、何らかの理由でインプラント埋入部に炎症が発生したときもトラブルの原因になり得ます。強い力で歯を噛みしめると、炎症が周囲に広がってしまうからです。
(2-2)インプラント部分の炎症トラブル(インプラント歯周炎)
「ブリッジとは違い、インプラントは虫歯にならない」というのがメリットの一つです。たしかにインプラントは、人工歯根を埋入していますので、その部分は虫歯になることはありません。
しかし油断は禁物です。インプラントは虫歯にならなくとも、歯石や歯垢(プラーク)は溜まっていきます。
とくに厄介なのは、インプラントと歯茎の間に溜まった歯石と歯垢(プラーク)です。ブラッシングが届きにくく、気づかないうちにどんどん蓄積が進行すると、やがて「インプラント周囲粘膜炎」や「インプラント周囲炎」を発症してしまいます。
人工歯根であるインプラントは、すでに神経が存在しないため、普通の歯に比べて自覚症状がなく、事態が深刻化してからようやく気付くというケースがしばしばあります。
インプラントを埋め込んでいる、あるいはこれから手術を検討している方は、くれぐれも気を付けたいところです。
【インプラント周囲粘膜炎】
粘膜に炎症が発生しています。このフェーズでは、歯垢(プラーク)をきれいにクリーニングすれば治療をすることが可能です。
【インプラント周囲炎】
インプラント周囲粘膜炎が恐ろしいのは、症状が深刻化すると、最終的に骨が溶けてしまう「インプラント周囲炎」に至ってしまうということ。歯肉や骨の侵食が進行し、人工歯根がぐらぐらしたり、最悪は抜け落ちてしまったりしてしまいます。
(2-3)インプラントを並んで埋め込むことによるリスク
人によっては、インプラントを並べて埋め込む方もいらっしゃいます。しかし並べて埋め込むと、あごの骨に負担をかけてしまうことで、やせ細っていく恐れがあります。
「並べて埋め込むことがダメ」というわけではありませんが、そういったリスクがあることはあらかじめ留意しておく必要があるでしょう。
(3)インプラントを長持ちさせるために気を付けるべきこと3つ

(3-1)定期メンテナンスは欠かさず行くようにする
インプラント寿命を短くしてしまうリスクのなかでも、インプラント周囲炎は最も回避したいトラブルです。
インプラント周囲炎の原因は、歯垢(プラーク)をエサにする細菌の増殖。しかしインプラントと歯肉の間に溜まった歯垢(プラーク)を自分の目で確認したり、ブラッシングできれいにクリーニングしたりすることは、なかなか難しいところです。
だからこそ、インプラント埋入後は、定期メンテナンスが欠かせません。歯科医師による丁寧な検診で、インプラント歯周炎を未然に防ぐことが大切です。
(3-2)喫煙習慣を見直す
喫煙者の方にはぜひ意識していただきたいのが、インプラント埋入後の喫煙についてです。
インプラントが埋め込まれたあとは、あごの骨と結合して安定するのを待たなければならないのですが、その間に喫煙を続けていると、結合がうまくいかなくなる可能性があるといわれています。
喫煙習慣は、血流を悪くして歯茎の状態を悪くする原因になります。インプラントを使用している方や、インプラント手術をこれから検討しようとしている方は、喫煙習慣を見直すことをおすすめします。
(3-3)歯を食いしばる習慣を改善する
先述したように、歯ぎしりや歯を食いしばる習慣は、インプラントを破損させてしまう恐れがあります。もしも心あたりがあるのなら、寝るときにマウスピースを装着するなどして工夫する必要があるでしょう。
(4)万が一インプラントにトラブルが起こったらどうする?

「インプラントが抜け落ちてしまったらどうすればいいの?」と不安をお持ちの方もいらっしゃるのではないでしょうか。基本的には、脱落したインプラントは、もう一度手術を行い、埋め込み直すことで対応可能です。
ですから、「インプラントに失敗したら取返しのつかないことになる」「インプラント歯周炎になったらもう終わり」と悲観的になることはありません。
ただし、インプラントの再手術は、やはり体に負担をかけることになりますし、費用が一回目のときよりも高額になりがちですので、インプラントの定期メンテナンスで“まさか”のトラブルに陥らないように心がけることが何より大切です。
(5)インプラント技術に定評のある歯科医院選びも大切

最後にもう一つ、インプラントを長持ちさせるポイントがあります。それは「歯科医師選び」です。
インプラントの成功率は、歯科医師の経験と技術に左右されます。インプラントの成功率というのは、「神経や血管を傷つけず正確に埋め込む」はもちろんのこと、「インプラント歯周炎のリスクを最小限に留める」という点も含まれています。
いい歯科医師選びのコツは、「セカンドオピニオン」を活用することです。2つ以上の歯科医院に意見を聞いて、インプラント手術プランの正当性や見積もり内容の妥当性を検討することをおすすめします。
まずはみなさんのお住いの地域で、インプラント手術に定評のある歯科医院を探してみてください。まずはそこでインプラントの相談をして手術計画の概要を提案してもらい、見積もりをお願いしましょう。
それから他の歯科医院にも意見を伺い、手術計画の妥当性について検討してみるのです。場合によっては、「あの歯科医院は利益優先で必要以上にインプラントを埋め込もうとすることで有名」といった評判を聞くことができるかもしれません。
自分の健康を守るためにも、インプラント手術を検討する際は、ぜひセカンドオピニオンを活用して腕のいい歯科医院を見つけてください。それが、インプラントを長持ちさせるための第一歩です。
(6)まとめ
今回は、インプラントの寿命を短くしてしまうリスクについて解説するとともに、長持ちさせるための方法や対策をまとめました。
| ・インプラントの寿命に関することまとめ | |
| 平均耐用年数
| 10~15年
|
| 生存率
| 上あご約90%、下あご約94%
|
| 寿命が短くなるリスク | ・歯ぎしりによる部品の破損 ・インプラント部分の炎症トラブル(インプラント歯周炎) ・インプラントを並んで埋め込むことによるリスク
|
| 長持ちさせる方法や対策 | ・定期メンテナンスは欠かさず行くようにする ・喫煙習慣を見直す ・歯を食いしばる習慣を改善する |









