インプラントの偽物を見極める方法

世界には数百社ものインプラントメーカーが存在し、安価な素材を使ったインプラントや有名メーカーのコピー品といった、治療に適さない偽物ともいえるインプラントも出回っています。

 

偽物のインプラントを使えば治療費をおさえられるものの、治療が失敗するリスクが高まるので避けましょう。

 

この記事では、インプラントの偽物とはどのようなものかやインプラントを見極める方法について解説します。さらに、インプラント費用をおさえる方法も紹介するので、金銭的負担を軽減しつつ、安全にインプラントを受けたい方はぜひ参考にしてください。

目次

1.インプラントの偽物ってそもそもどんなもの?

インプラントは、歯根の代わりとなるインプラント体をあごの骨に埋め込み、インプラント体と骨を結合させ、人工歯を取りつけることで、失った歯を補う治療法です。

 

インプラントは適切な治療・メンテナンスをすれば、10年以上経過しても90%以上が使い続けられるといわれています。

 

しかし、使用するインプラントの質によっては、上手く結合せずに抜け落ちる・すぐに破損してしまうなどのトラブルが発生します。

 

インプ ラントの偽物とは、粗悪な素材を使用しているインプラントや有名インプラントメーカーのコピー品など、低品質なインプラントを指します。

1‐1.チタンの量が少ないインプラント

インプラント体には、一般的に「チタン」という金属と他の金属を組み合わせた合金を使用します。チタンは人間の身体になじみやすい性質を持っており、異物として認識されません。

 

そのため、インプラント体をあごの骨に埋め込むと、新しくできた骨が少しずつチタンの周りにつき、チタンの表面の細かい部分に骨が入り込み、強く結びつきます。この結合を「オッセオインテグレーション」と呼びます。オッセオインテグレーションが起きるからこそ、インプラント体がしっかり固定され、天然歯と同じくらいまで噛む力を回復できるのです。

 

また、チタンは成分が溶け出しにくく金属アレルギーのリスクが低い、金属の表面に化学変化が起きて見た目や機能が損なわれる「腐食」が起きにくいといったメリットがある金属です。チタンを使用することによって、インプラントは長期間安全に使えるといえるでしょう。

 

しかし、粗悪なインプラントは値段をおさえるためにチタンの含有量を減らしていることが多く、オッセオインテグレーションが起きにくいといわれています。また、金属アレルギーや腐食を起こしやすい金属が多く含まれており、治療から数年でトラブルになるケースが後を絶ちません。

1‐2.有名メーカーのコピー品

世界中で使用されている有名メーカーのインプラントは、質が高く安全に使用できるのが特徴です。

 

しかし、なかには有名メーカーのコピー品を使用している歯科クリニックもあります。コピー品は低価格のため、治療費をおさえられるからです。

 

有名メーカーのインプラントと見た目はほぼ同じものが多いですが、あくまで偽物です。機能性や安全性に劣り、治療後のトラブルが起きやすくなります。

2.偽物に注意!安心して使えるインプラントか見極めるには

偽物を避け、安心して使えるインプラントを使った治療を受けるためには、下記のような点に注意しましょう。

2‐1.格安インプラントは避ける

格安インプラントとは、1本あたり10万円前後と極端に価格が安いインプラント治療を指します。

 

治療費が安すぎる場合は、チタンの量が少ないインプラントや有名メーカーのコピー品など粗悪なインプラントを使うことでコストをおさえている可能性が高いと考えられます。

 

また、格安インプラントを取り扱っている歯科クリニックは、手術の技術が低い・感染対策が不充分など、取り扱っているインプラントの質以外にも問題がある可能性があります。

 

傷口から感染して強い痛みや腫れが起き、最終的にはインプラントが抜け落ちてしまうといったケースも存在するので、安いというだけで飛びつくのはやめましょう。

2-2.信頼できる歯科クリニックで治療を受ける

信頼できる歯科クリニックを選べば、インプラントの品質を含め高い水準の治療を受けられます。

 

質の高い治療ができる歯科クリニックの特徴としては、インプラントのメリット・デメリットどちらも伝えてくれる・質問に丁寧に回答してくれる・最先端の検査機器などが充実している・治療例をもとに長期的な経過を説明できるなどがあります。

 

逆に、やたら抜歯をすすめてインプラントにしようとする、3年間で1000件などあまりにも症例数が多すぎるといった歯科クリニックには注意しましょう。利益を得るために、質の低いインプラント治療を多くこなしている可能性があります。

2‐3.使用するインプラントのメーカーを確認する

世界的に有名なメーカーのインプラントは、機能性・安全性が優れていて、安心して使用できます。さらに使用している歯科クリニックが多いため、万が一トラブルが起きた場合、治療を受けた歯科クリニック以外でも対応しやすいというメリットがあります。

 

インプラントメーカーのなかでも特に有名なのは、ストローマン社・ノーベルバイオケア社・ジンヴィ社(旧ジンマー・バイオメット・デンタル)・アストラテック社です。4大メーカーともいわれ、信頼性の高いインプラントを製造しています。

 

もちろん、4大メーカー以外にも質の高いインプラントを製造している会社はたくさんありますし、メーカーごとにメリット・デメリットがあります。

 

歯科クリニックの診察時に、使用するインプラントのメーカーとなぜそのメーカーのインプラントを使用するのかを聞くことで、信頼できるインプラントなのか見極められます。

3.治療費の負担をおさえてインプラントを受ける方法とは

インプラントの治療費は原則的に保険が適用されず、全額自己負担です。

 

インプラント治療を受けたいけれど費用面で厳しい場合は、偽物のインプラントを入れるのではなく、下記のような方法で治療費を節約しましょう。

3-1.複数の歯科クリニックで見積りしてもらう

インプラントは、基本的に歯科クリニックが独自の治療費を設定できる自由診療の治療です。そのため、全く同じ治療であっても歯科クリニックによって費用は異なります。

 

複数の歯科クリニックに見積りをしてもらうことで、適正価格がどれくらいか判断でき、費用を節約できます。

 

ただし、値段だけではなく、インプラントの品質や検査の精密さ、アフターメンテナンスなど治療の質もよく確認するようにしましょう。

3-2.オールオン4など特殊なインプラントを選ぶ

インプラントを入れる本数が多い場合は、通常のインプラント治療ではなく「オールオン4」などの特殊なインプラント治療の方が費用をおさえられるケースがあります。

 

オールオン4とは、前歯から奥歯までがつながった人工歯を作製し、片あごあたり最小4本のインプラント体で支える治療法です。

 

多くの歯を失った場合、通常のインプラントを本数分入れるよりも、費用をおさえられるケースもあります。

 

また、オールオン4は入れるインプラントの本数が少なく、骨の厚みが充分な部分を選んで埋め込めるため、基本的に骨を増やす処置が必要ありません。通常のインプラントで骨を増やす処置が必要な人は、その分治療費の総額が少なくて済みます。

3-3.医療費控除を受ける

医療費控除とは、1年間に支払った医療費が基準額を超えた場合に確定申告をすることで、基準額を超えた医療費が所得税や住民税の課税対象となる所得から控除される制度のことです。本人だけではなく、生計が同じ家族の医療費も対象です。

 

所得が低くなることで、所得税や住民税が安くなるなど、金銭的な負担を減らせます。

 

医療費控除額は、1年間(1~12月)に支払った医療費から、10万円または所得総額の5%のいずれか少ない方を引いた金額です。ただし、1年間に支払った医療費には、生命保険などから支給される給付金や健康保険から支給される高額医療費などは含まれません。また、1年間の医療費控除額の上限は200万円です。

3-4.クレジットカードやキャッシュレス決済を利用する

クレジットカードやキャッシュレス決済といったポイント還元がある決済方法を利用することで、金銭的負担を実質的に減らせます。

 

例えば、30万円のインプラントを5本入れた場合、還元率1%の決済方法を利用すると、15,000円が還元されます。還元率の高い決済方法を利用すれば、より費用の節約になります。

 

ただし、クレジットカードやキャッシュレス決済が利用できるかは、歯科クリニックによって異なります。事前に利用できる支払い方法を確認しておくとスムーズです。

3-5.デンタルローンを利用する

デンタルローンとは、歯科治療の費用に使い道を限定したローンのことです。インプラントにかかる費用そのものを軽減することはできませんが、分割で支払えるため、1回あたりの負担額を減らせます。

 

デンタルローンも医療費控除の対象となるケースが多いため、デンタルローンで1回あたりの支払額を減らし、医療費控除で税金を軽減することで、金銭的な負担をおさえられます。

 

デメリットとしては、審査結果によってはデンタルローンを組めない可能性がある、ローンの金利がかかるため治療費の総額は高くなる、保証人が必要な場合があるなどがあげられます。

4.インプラントの偽物を見極め、質の高い治療を受けよう!

インプラントの偽物とは、チタンの含有量が少ないものや有名メーカーのコピー品などを指します。偽物を使用すると、インプラント体とあごの骨が結合しない・インプラント体が抜け落ちるなどのトラブルが起きやすく、たった数年で使用できなくなるかもしれません。

 

偽物を見極めるには、格安インプラントを避ける・信頼できるクリニックで治療を受ける・.使用するインプラントのメーカーを確認するの3点を意識しましょう。

 

格安インプラントを選ばなくても、複数の歯科クリニックで見積りしてもらう・オールオン4などで治療する・医療費控除をするといった方法でインプラント費用は節約できます。

 

インプラントの偽物を避け、長く安心して使い続けられる質の高いインプラント治療を受けましょう。

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