インプラント体があごの骨と結合するまでの目安期間は?

松川 眞敏
松川 眞敏
この記事の監修者
医療法人社団「朋優会」理事長。歯科医師・インプラント専門医。国際インプラント学士会(I.C.O.I.)メンバー。米国インプラント学会(A.O.)アクティブメンバー。欧州インプラント学会(E.A.O.)メンバー。O.S.I.アドバンスドトレーニングコース 講師。
https://e-implant-tokyo.com/smile-implant/

インプラント治療は、失った歯の機能と見た目を大幅に回復できる治療法です。インプラント治療成功のカギは、インプラント体とあごの骨の結合です。

 

この記事では、インプラント体があごの骨と結合する期間の目安や仕組み、注意点、さらには結合期間を短くする方法について詳しく解説します。

目次

1.インプラント体とあごの骨が結合する仕組み

インプラント体とあごの骨が直接結合する現象を「オッセオインテグレーション」といいます。オッセオインテグレーションによって、インプラント体が単にあごの骨に埋め込まれて固定されている状態から、あごの骨と一体化している状態へと変化します。

 

あごの骨と一体化し、インプラント体がしっかり固定されることで、噛む機能を大きく回復でき、10年、20年経っても安定した状態が保てるのです。

 

オッセオインテグレーションは、チタンの生体親和性と骨の再生によって起こります。

 

インプラント体の主な素材であるチタンは、人の身体となじみやすく、骨と結合する性質があります。あごの骨に穴を開け、チタン製のインプラント体を埋め込むと、傷ついた骨が再生します。その過程で新たにできた骨がチタンの周囲につき、インプラント体表面の細かな部分に入り込み、すき間なく結合します。

 

オッセオインテグレーションが成功した場合、インプラント体が安定し、顕微鏡で観察すると、インプラント体とあごの骨が結合している状態を確認できます。

2.インプラント体があごの骨と結合するまでの期間はどのくらい?

オッセオインテグレーションに必要な期間は、あごの骨量・全身の健康状態・インプラント手術の質などによって異なります。

 

一般的には、インプラント体をあごの骨に埋め込んでから3〜4週間でオッセオインテグレーションが始まり、3ヶ月から半年ほどで結合が完了すると言われています。

 

あごの骨量が十分あり、質もしっかりしていれば、オッセオインテグレーションは早く進みます。逆に、歯周病や加齢などであごの骨量が少ない場合は、結合までに時間がかかります。

 

結合までにかかる期間は、インプラントを埋め込む部位によっても異なり、上あごであれば約4〜6ヶ月、下あごであれば約3〜4ヶ月が目安です。

 

3.インプラント体とあごの骨が結合する期間の注意点

オッセオインテグレーション中は、デリケートな状態が続きます。スムーズに結合が進むよう、下記のような点に注意しましょう。

3-1.過度の負荷を避ける

結合期間中は、インプラント体とあごの骨に過度の負荷をかけないよう注意が必要です。大きな負荷がかかると、初期固定が損なわれる可能性があります。

 

初期固定とは、インプラント体をあごの骨に埋め込んだ時に、なんとか安定している状態を指します。初期固定が不十分だと、オッセオインテグレーションが完了する前に、インプラント体が抜け落ちるリスクがあります。

 

また、強い力が加わり続けると、新しい骨の形成が妨げられる可能性があります。

 

結合が完了するまでは、インプラントを入れた場所を強く押さない・硬いものを噛まない・激しい運動を控えるといった点に、注意しましょう。

 

歯ぎしりや食いしばりといったかみ癖も、過度な力が加わる原因になります。無意識の行動なのでコントロールするのは難しいですが、マウスピースなどを使って、負荷がかかり過ぎないようにしましょう。

3-2.口の中を清潔に保つ

インプラントを入れた場所が細菌感染すると、オッセオインテグレーションに悪影響が及びます。また、歯垢が蓄積すると、歯周病によく似た病気である「インプラント周囲炎」になり、悪化すると歯ぐきやあごの骨が破壊されてしまいます。

 

そのため、インプラント体とあごの骨が結合するまでは、口の中の衛生管理が非常に重要です。

 

柔らかい歯ブラシで丁寧に歯を磨き、必要に応じてデンタルフロスや歯間ブラシを使い、歯垢や汚れをしっかり落とします。

 

インプラント手術直後は非常にデリケートな状態のため、傷口周辺に歯ブラシが当たらないようにしましょう。

3-3.定期メンテナンスに通う

インプラント手術後は、歯科医師の指示に従って必ずメンテナンスに通いましょう。定期メンテナンスでは、レントゲン撮影によるインプラント体とあごの骨の結合の確認・インプラント周囲の異常の有無など口の中の状態のチェック・クリーニングを行います。

 

定期メンテナンスに通うことで、インプラント体と骨の結合に影響する異常がある場合も、早く発見して対処できます。

 

また、クリーニングで歯垢や歯石を取り除くことにより、口の中の衛生状態を保てます。

3-4.禁煙する

タバコにはニコチンなどの有害物質が含まれており、血流の悪化につながります。血流が悪化すると、骨の再生に必要な酸素や栄養が十分に行き届かなくなり、オッセオインテグレーションの妨げとなる可能性があるので要注意です。

 

さらに、免疫力の低下や唾液の減少に伴う口内環境の悪化によって、細菌感染を起こしやすくなります。その結果、感染によってインプラント体とあごの骨の結合が妨げられる、インプラント周囲炎にかかるといったリスクが生じます。

 

インプラント治療後は、タバコを吸わないようにしましょう。

4.インプラント体とあごの骨が結合する期間を短くする方法

オッセオインテグレーションが完了するまでの期間を短くする方法を、いくつか紹介します。

4-1.優れた経験・スキルを持つ歯科医師を選ぶ

手術時に適切な位置・角度でインプラント体を埋め込むことで、オッセオインテグレーションが順調に進みます。

 

また、あごの骨にドリルで穴を開けるときに冷却が不十分だと、骨がやけどを負ったような状態になる「オーバーヒート」を起こし、骨の結合が妨げられます。

 

インプラント手術は、高度な技術が求められるため、歯科医師の経験・スキルによって、手術の結果が大きく左右されます。

 

インプラント治療の症例実績が豊富で、評判の良い歯科医師を選ぶことで、インプラント体とあごの骨の結合にかかる期間を短縮できるかもしれません。

4-2.最先端の設備がある歯科クリニックを選ぶ

歯科クリニックの設備・機器が充実しているほど、インプラント体を適切な位置・角度で埋め込んだり、感染を防いだりしやすくなります。

 

口の中の状態を立体的に把握できる歯科用CTや、事前のシミュレーション通りにあごの骨に穴を開けるためのサージカルガイドを使用すれば、ベストな位置にインプラント体を埋め込むことができます。

 

さらに、インプラント手術専用の手術室やラバーダムを活用することで感染リスクを避けられます。

4-3.質の高いインプラント体を使用する

オッセオインテグレーションがスムーズに進むかどうかは、インプラント体の質によって大きく左右されます。

 

オッセオインテグレーションは、チタンと骨が結合する現象です。チタンがあまり含まれていない粗悪なインプラント体を使用すると、結合が十分に進まない可能性があります。

 

また、インプラント体の表面に細かな凹凸加工を施すことで、骨と接する面積が増加し、オッセオインテグレーションに適した状態になります。

 

ただし、口の中の状態やアレルギーの有無などによってベストなインプラント体は異なります。歯科医師と相談の上、自分に合ったインプラント体を選びましょう。

4-4.光機能化技術を使う

インプラント体に使用されているチタンは、時間の経過とともに表面の状態が変化し、骨と結合しにくくなります。

 

光機能化技術は、インプラント体の表面に一定の波長の光を照射することで、チタンの劣化を防ぎ、インプラント体と骨が結合しやすくする技術です。

 

光機能化技術を使うことで、骨の結合スピードが大幅に高まり、インプラントの安定性も向上します。

 

ただし、光機能化技術はまだ新しい治療法のため対応できる歯科クリニックは限られており、追加費用もかかります。

4-5.健康管理をする

良好な健康状態を保つことで、骨の再生がスムーズになり、オッセオインテグレーションの期間を短縮できるかもしれません。

 

バランスの取れた食事や適度な運動、十分な睡眠、こまめなストレス解消などを意識しましょう。

5.インプラント体と骨の結合は3ヶ月から半年かかる!適切なケアを心がけよう

オッセオインテグレーションによってインプラント体とあごの骨が結合し、インプラントは固定されます。

 

インプラント体とあごの骨が結合するまでの時間は、3ヶ月から半年が目安です。結合までにかかる期間はあごの骨質や全身の健康状態、インプラント手術の質などによって左右されます。

 

骨が結合する期間の主な注意点は、過度の負担を避ける・口の中を清潔に保つ・定期メンテナンスに通う・禁煙するの4点です。

 

結合までの期間を短くするには、優れた経験・スキルを持つ歯科クリニックを選ぶ、最先端の設備がある歯科クリニックを選ぶ、質の高いインプラント体を使用するといった方法が効果的です。

 

正しいケアをすることで、インプラント体とあごの骨がスムーズに結合し、治療が成功しやすくなります。

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