
- この記事の監修者
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医療法人社団「朋優会」理事長。歯科医師・インプラント専門医。国際インプラント学士会(I.C.O.I.)メンバー。米国インプラント学会(A.O.)アクティブメンバー。欧州インプラント学会(E.A.O.)メンバー。O.S.I.アドバンスドトレーニングコース 講師。
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インプラント治療をした後、インプラントの入った状態に慣れるまでに時間がかかるのではないかと思う方がいるかもしれません。
自分の歯ではないので、違和感、痛みなどの不快感があるのではと不安になることもあるでしょう。
今回はインプラントに慣れるまでに、どれくらいかかるのか。
どのようなことに気を付けると早く慣れるのかについて紹介していきます。
目次
- 1.インプラントの違和感とは?
- 2.インプラント後、噛み合わせ・噛み心地に慣れるまで
- 2-1.噛み合わせ・噛み心地に違和感がある原因
- 2-2.慣れるまでにどのくらいかかる?
- 3. インプラント後、歯と歯の間にものが挟まる
- 3-1.歯と歯の間にものが挟まる原因
- 3-2. 慣れるまでにどのくらいかかる?
- 4.インプラント後、話すときや発音に違和感がある
- 4-1.話すときや発音に違和感がある原因
- 4-2. 慣れるまでにどのくらいかかる?
- 5.インプラント後の習慣に慣れない
- 5-1.習慣に慣れない原因
- 5-2. 慣れるまでにどのくらいかかる?
- 6. インプラント後、鼻や頬などの感覚異常がある
- 6-1.感覚異常が起こる原因
- 6-2.感覚異常の場合はすぐに治療を
- 7.インプラントに慣れるまでには個人差がある!
1.インプラントの違和感とは?

そもそも、インプラント治療後、どのようなことで「なかなか慣れない」と感じることがあるのでしょうか。
感じ方は患者さんによって違いますが、考えられる違和感には次のようなものがあります。
・噛み合わせ・噛み心地
・歯と歯の間にものが挟まる
・話す時・発音
・インプラント後の習慣
・鼻や頬などの感覚異常
それぞれ、詳しくどのような違和感であるか、どれくらいで慣れるのかについてまとめました。
2.インプラント後、噛み合わせ・噛み心地に慣れるまで

インプラント治療は、噛み合わせや噛み心地が天然歯と変わらないと言われていますが、治療後すぐは違和感があることもあります。
治療後に、噛み合わせや噛み心地に違和感があり、以前のように噛めないという場合、どのようなことが原因となっているのでしょうか。
2-1.噛み合わせ・噛み心地に違和感がある原因
噛み合わせや噛み心地に違和感がある場合、次のような原因が考えられます。
・今までなかったところに歯がある違和感
歯を失ったところにインプラントが入ったため、今までと違う感覚があります。
インプラントの反対側の歯との噛み合わせは、治療の際に調整されますが、今までなかったところに歯がある感覚に慣れないうちは違和感があるでしょう。
・歯根膜がないための違和感
インプラントで治療した歯は天然歯と違い、歯根膜という歯と顎骨の間のクッションのような役割をした組織がありません。
そのため、噛んだ時に直接顎骨に力が伝わり、それに違和感を持つ場合があります。
・治療での調整がうまくいっていないための違和感
インプラント治療では、最終的な噛み合わせや噛み心地については考えられた上で調整を行いますが、その調整がうまくいっていない場合、違和感があるケースも考えられます。
2-2.慣れるまでにどのくらいかかる?
噛み合わせや噛み心地に違和感がある場合、それに慣れるまでの期間は個人差が大きいでしょう。
しかし、毎日生活していく中で、違和感は徐々に少なくなっていくことがほとんどです。
もし、なかなか違和感がとれない場合は、調整の問題かもしれません。
違和感のことを含めて、歯科医師に相談し、調整をし直してもらってください。
3. インプラント後、歯と歯の間にものが挟まる

インプラント治療後に、よく歯と歯の間にものが挟まったり、舌や頬などが挟まって噛んでしまったりすることがあるかもしれません。
3-1.歯と歯の間にものが挟まる原因
歯と歯の間にものが挟まるのは、人工歯がケアしやすいような状態で作られているからかもしれません。
あまり違和感のないよう、考えられて人工歯は作られますが、隣の歯と隙間なく歯を作ってしまうと、歯磨きがしづらくなり不衛生な状態になります。
そのため、少し間を空けて作られることが多いです。
結果、ものが挟まりやすくなってしまうのでしょう。
また、歯のない期間が長くなった後にインプラント治療を行うと、頬や舌の筋肉が歯の入った状態にすぐに対応できず、噛んでしまうということがあります。
3-2. 慣れるまでにどのくらいかかる?
新しく人工歯が入った状態に慣れるには、個人差はあるものの、基本的にはすぐになれるでしょう。
ケアをする際はインプラント治療した箇所は、特に丁寧に磨くようにしてください。
ものが挟まった状態を放置しないことが大切です。
また、口腔内の筋肉も徐々に歯のある状態に慣れていきます。
慣れるまでは舌や頬を噛まないように、意識しながら食べるなど、工夫が必要かもしれません。
4.インプラント後、話すときや発音に違和感がある

インプラント治療の後、話すときに違和感があったり、うまく発音できなかったりすることがあるかもしれません。
そのような症状が出る原因は次のようなことが考えられます。
4-1.話すときや発音に違和感がある原因
話すときや発音に違和感があるのは、口腔内の環境が変わったためです。
歯のなかった箇所に歯が入ることで、話すときに今までと違った感覚になることがあります。
発音はこれまでよりもしやすくなることが多いですが、それに慣れるまでは違和感があるでしょう。
4-2. 慣れるまでにどのくらいかかる?
話し方や発音に慣れるまでには個人差があります。
話しているうちに、それが普通になり、徐々に慣れていくことがほとんどなので、気にしすぎないことが大切です。
5.インプラント後の習慣に慣れない

インプラント後には、日常的に気をつけないといけないことがあります。
まずはケアを丁寧にし、インプラント周囲炎に気をつけ、他の歯が虫歯や歯周病にならないように注意していくことが大切です。
また、喫煙がインプラント周囲炎の原因になることがあるので、禁煙をするように心がけたほうがいいです。
その他、定期的に歯科医院でのメンテナンスを受けることも大切ですが、なかなか習慣に慣れないということもあるでしょう。
5-1.習慣に慣れない原因
生活習慣はすぐに直せるものではありません。
特に喫煙習慣は、やめたくてもやめられない状況にある方も多いです。
ケア方法や、定期メンテナンスは意識することで忘れずにできることも多いので、せっかく治療したインプラントを長持ちさせるためにも意識を変えてみましょう。
5-2. 慣れるまでにどのくらいかかる?
禁煙が自分だけの意思では難しいと思う方は、禁煙外来などを受診し、治療を行うのも1つの方法です。
禁煙できるまでの期間には個人差が大きいですが、病院の力を借りることで、少しずつ進められるでしょう。
インプラントのケア方法などは歯科医院でしっかり指導を受け、毎日意識していくことで、それが習慣になるといいですね。
6. インプラント後、鼻や頬などの感覚異常がある

インプラント治療を行った後、インプラント近くの鼻や頬などに違和感や痛み、しびれなどの感覚異常がある場合は、どのようなことが原因でしょうか。
6-1.感覚異常が起こる原因
上顎のインプラント治療で合った場合、上顎洞炎の可能性があります。
上顎洞とは、上顎から鼻に通じるところの空洞のことを指します。
顎骨に埋め込んだインプラントの先端は、この上顎洞に非常に近い位置にあるため、インプラント周辺などで細菌感染が起こると、上顎洞にも炎症が起こり、上顎洞炎になっている可能性があります。
鼻や頬に感覚異常があるという方は、まずは上顎洞炎が疑わしいかもしれません。
また、目の下まで痛い、頭痛があるという場合は、歯性上顎洞炎の可能性もあります。
上顎洞周辺の骨は頭の骨までつながっているため、膿が溜まってくると目の下や頭が痛む可能性があります。
また、膿が溜まることで口臭などが酷くなることもあります。
6-2.感覚異常の場合はすぐに治療を
感覚異常は通常のインプラント治療後の症状ではありません。
何らかのトラブルが起きている可能性が高いので、慣れるまで待つ、様子を見るということはせずに、すぐに歯科医院で相談してください。
何が原因であるかを見極め、症状に合った治療をできるだけ早く受けることが大切です。
7.インプラントに慣れるまでには個人差がある!

インプラント治療後、口の中の状態が変化したため、最初は戸惑うことも多いでしょう。
インプラントに慣れない、違和感があると思うことあるかもしれませんが、時間が経つごとに慣れることがほとんどです。
ただし、違和感が何かのトラブルの原因であることもあります。
通常では起きないトラブルが、治療後に起こっている可能性もあるため、気になる場合は歯科医院で相談するようにしましょう。