知っていますか?ほとんど歯を削らない「ヒューマンブリッジ治療」

松川 眞敏
松川 眞敏
この記事の監修者
医療法人社団「朋優会」理事長。歯科医師・インプラント専門医。国際インプラント学士会(I.C.O.I.)メンバー。米国インプラント学会(A.O.)アクティブメンバー。欧州インプラント学会(E.A.O.)メンバー。O.S.I.アドバンスドトレーニングコース 講師。
https://e-implant-tokyo.com/smile-implant/

2008年に登場した「ヒューマンブリッジ治療」は、入れ歯・ブリッジ・インプラント治療に代わる新しい選択肢として知名度が高まってきています。

 

ヒューマンブリッジ治療の最大の特徴は、健康な歯をほとんど削ることなく歯を補ええるということ。

 

外科手術および麻酔が一切不要で、治療期間の短いヒューマンブリッジ治療は、「インプラント治療で外科手術をするのは嫌」「歯を削りたくない」「嚙み心地や見た目の悪い入れ歯は使いたくない」という方におすすめです。

 

以下では、ヒューマンブリッジ治療のメリットとデメリットを、他の治療方法と比較しながら詳しく解説していきたいと思います。

目次

(1)ヒューマンブリッジ治療は他の治療と比べてどんなメリットがあるの?

入れ歯、インプラント、ブリッジなど……失った歯をカバーする治療にはいくつかの方法があります。そのなかで「ヒューマンブリッジ」は、果たしてどのような特徴やメリットがあるのでしょうか。

(1-1)外科手術が必要ない

インプラント治療は、人工の歯根をあごの骨に埋め込み、義歯を装着します。がっちりと固定されているため、噛み合わせや見た目の良さは抜群です。

 

しかしインプラント治療は外科手術を伴うため、抵抗を感じる方もけっして少なくありません。またあごの骨が薄かったり、持病があったりした場合は、そもそも手術を受けられないことも……。

 

一方でヒューマンブリッジ治療は、外科手術が一切不要。わずかに歯を削るだけで済みますので、身体的・精神的負担をほとんど感じることなく治療を終えることが可能です。

 

 

 

インプラント治療とヒューマンブリッジ治療の比較

 

メリット

 

デメリット

 

インプラント治療

 

 

 

 

 

・固定感が抜群

・自分の歯のように噛める

・見た目が美しい

 

・外科手術が必要

・金属アレルギーのリスク

・費用が高額

・骨の状態や持病次第では手術を受けられない

 

ヒューマンブリッジ治療

 

・外科手術が必要ない

・麻酔不要

・金属アレルギーのリスクがない

・インプラントに比べてはるかに治療費が安い

・治療期間がかなり短い

・インプラントよりも安い費用で済む

 

・強い衝撃を受けると外れてしまうことがある

 

(1-2)健康な歯をほとんど削らなくて済む

ブリッジ治療は、支えとなる2本の歯を削り、そこに“橋(ブリッジ)”を渡すように義歯を被せる治療方法です。昔からよく知られている方法で、多くの歯科医院で採用されています。

 

インプラントには劣りますが、ブリッジ治療もまた、自然の歯のような噛み心地を再現しやすいというメリットがあります。外科手術が必要ないため、失った歯の治療のなかでは、比較的お手軽だといえるでしょう。

 

とはいえブリッジ治療は、健康な歯を2本も削らなければならないという点が最大のデメリットです。人によっては、歯を削るに伴って、神経も抜かなければならないこともあります。

 

そのため、将来的に削った歯が抜けてしまうといったリスクは免れません。「健康な歯の寿命をわざわざ短くするのはちょっと……」という方は、ぜひヒューマンブリッジ治療をお試しください。

 

ヒューマンブリッジ治療では、歯の健康寿命を損なうようなことは行いません。基本的には、ほんのわずかに歯を削るだけで済みます。

 

 

 

ブリッジ治療とヒューマンブリッジ治療の比較

 

メリット

 

デメリット

 

ブリッジ治療

 

・固定感が抜群

・外科手術が必要ない

 

・健康な歯を大幅に削らなければならない

・ブリッジ部分で歯周病が起こると治療が大変

・支えとなる歯がダメになるリスクがある

 

ヒューマンブリッジ治療

 

・ほんのわずかに歯を削るだけで済む

・痛みや出血がほとんどない

・外科手術が必要ない

 

・強い衝撃を受けると外れてしまうことがある

 

(1-3)人前で目立たない

失った歯をカバーする、もっともお手軽な治療は何でしょうか?それはズバリ「入れ歯」です。

 

入れ歯は1本につき5,000円からつくることができますので、非常にリーズナブル。「手っ取り早く失くした歯をどうにかしたい」という方にはぴったりの方法だといえるでしょう。

 

しかし入れ歯は、噛み合わせが悪い手入れが面倒といったデメリットがあるため、「長く使い続ける」という点では他の治療方法に劣ります。

 

それに加え、入れ歯は「見た目」にもネックな問題を抱えています。奥歯ならまだしも、前歯などの目立ちやすい部分については入れ歯の装具が露骨に見えてしまうため、審美性にこだわりのある方にはあまりおすすめできません。

 

そこで代替案としてヒューマンブリッジ治療が挙げられます。入れ歯の噛み心地の悪さと見た目の悪さの両方のデメリットを克服しているヒューマンブリッジ治療なら、きっと満足できることでしょう。

 

 

 

 

入れ歯とヒューマンブリッジ治療の比較

 

メリット

 

デメリット

 

入れ歯

 

・お手頃価格で治療ができる

・短期間で治療が終わる

 

・見た目が悪くなる

・手入れが面倒

・噛み心地が悪い

 

ヒューマンブリッジ治療

 

・嚙み心地がいい

・見た目がいい

・短期間で治療が終わる

 

・入れ歯よりは治療費が高い

 

(2)具体的にヒューマンブリッジはどんな治療をするの?

実際の施術手順は、以下のようになります。

 

①義歯を装着するために、2本の歯の表面を数ミリほど削り、“くぼみ”をつくります。

②その“くぼみ”に装具をはめ込みます(前歯の場合は目立たないように歯の裏側に装着します)。

③装具に義歯を装着して完了です。

 

ヒューマンブリッジ治療はきわめてシンプルで、身体的な負担を強いることはありませんのでご安心ください。

 

従来のブリッジ治療よりも固定感は劣りますが、強い衝撃を加えない限り、装具が外れる心配はなく、食事を楽しむことができます。

(3)まとめ

ヒューマンブリッジ治療のメリット・デメリット

 

メリット

 

デメリット

 

・健康な歯をほとんど削らなくて済む

・外科手術が不要

・麻酔が不要

・短期間で治療が終わる

・審美性がよい

・目立ちにくい

 

・従来のブリッジ治療に比べると固定力に劣る

・新しい治療方法であるため健康保険が適用されない

 

 

 

入れ歯・ブリッジ・インプラント治療には、それぞれメリットやデメリットがあります。

 

そのなかでヒューマンブリッジ治療は、3つの治療方法のいいところを併せ持つ新しい治療方法だといえるでしょう。

 

とりわけ、健康な2本の歯を大幅に削らなければならないブリッジ治療に比べれば、ヒューマンブリッジ治療は圧倒的にデメリットが少ないため、幅広い層の方におすすめできます。

 

入れ歯・ブリッジ・インプラント治療に納得がいかず、悩んでいる方は、ぜひヒューマンブリッジ治療を試してみてはいかがでしょうか。

この記事が気に入ったら「評価」ボタンを押してください!

★★★★★

評価する