
- この記事の監修者
- 医療法人社団「朋優会」理事長。歯科医師・インプラント専門医。国際インプラント学士会(I.C.O.I.)メンバー。米国インプラント学会(A.O.)アクティブメンバー。欧州インプラント学会(E.A.O.)メンバー。O.S.I.アドバンスドトレーニングコース 講師。
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歯を失ってしまう一番の理由は、実は虫歯ではなくて歯周病です。歯周病の初期は痛みがなく、気がつかないうちに進行し、わかりやすい症状が出たときには、手遅れになっている場合も少なくありません。
この記事では、歯周病でよくある10つの兆候をご紹介します。大切な歯を守るために、ぜひチェックして、該当する場合は早めに歯科医院で診察を受けましょう。
目次
- 1.歯周病ってどんな病気?歯肉炎と歯周炎の違いとは
- 1‐1.歯周病とはどんな病気?
- 1‐2.歯肉炎・歯周病・歯槽膿漏の違い
- 1‐3.歯周病が起きる原因
- 2.歯周病かどうかはここでチェック!10個の兆候
- 2-1.歯肉炎の症状
- 2-2.歯周炎の症状
- 3.歯周病の治療ってどんなことをするの?
- 3-1.歯肉炎
- 3-2.歯周病
- 4.歯周病になる前に!予防するために心がけたい3つのこと
- 4-1.正しいブラッシングをする
- 4-2.定期的に歯科医院で歯石を取ってもらう
- 4-3.生活習慣の改善
- 5.歯周病の兆候を知って早めの治療を!
1.歯周病ってどんな病気?歯肉炎と歯周炎の違いとは

歯周病の兆候をご紹介する前に、歯周病がどのような病気か解説します。
1‐1.歯周病とはどんな病気?

歯周病は、歯肉炎や歯周炎、歯槽膿漏といった歯の周りの組織が細菌に感染して炎症を起こし、壊れていく症状を総称した病気です。
初期段階では痛みなどの自覚症状が少なく、普段の生活ではなかなか気づけない場合もあります。
重度になると、歯肉や歯を支える骨などが溶け、炎症も悪化し、歯がぐらついたり、膿が出たりします。最終的には歯が抜けてしまうので、少しでも異変があれば、早めに歯科医院で診療を受けましょう。
また、歯周病菌や発生する毒素が血流で運ばれることにより、心臓や肺に到達し、心疾患や肺炎といった全身疾患を引き起こすリスクもあります。「口のなかだけの病気」と軽く考えるのは禁物です。
30歳以上の成人の約80%が歯周病にかかっていると言われているので「自分は大丈夫」と思わずに、定期的に歯科医師にチェックしてもらうのをおすすめします。
1‐2.歯肉炎・歯周病・歯槽膿漏の違い

歯肉炎・歯周炎・歯槽膿漏は、症状の進行具合の違いにより区別されています。症状が軽い順に「歯肉炎→軽度歯周炎→中度歯周炎→重度歯周炎(歯槽膿漏)」です。
・歯肉炎
歯周病の初期段階で、歯茎に軽い炎症が起きている状態です。まだあごの骨には影響が出ていません。正しい歯磨きにより、改善する可能性があります。
・歯周炎
炎症が歯茎だけではなく、歯根膜や歯槽骨といった周辺の組織にまで影響を及ぼしています。歯周病の重症度は、軽度・中度・重度の3段階にわかれます。
軽度はあごの骨が溶け始めている状態、中度があごの骨が半分以上溶けている状態、重度はあごの骨がさらに溶けている状態です。
・歯槽膿漏
歯槽膿漏は、重度の歯周炎により、歯の根元に膿が溜まる症状を指します。
1‐3.歯周病が起きる原因

歯周病の主な原因は、歯磨きが行き届かずに歯に残った歯垢です。歯の周りの歯茎である「歯肉」と歯の間の清掃が不充分だと、その部分に細菌が多く溜まり、歯周病菌が毒素を産生し、歯肉のふちに炎症や腫れが生じます。
また、喫煙やストレス、不規則な生活習慣なども歯周病につながります。喫煙は口腔内の細菌を増加させ、ストレスは口腔内を清潔に保つために必要な唾液の減少を引き起こします。
また、下記に該当する場合は、歯周病のリスクが高いと言われており、より注意が必要です。
・中年期以降の年齢
・喫煙している
・妊娠中
・糖尿病にかかっている
2.歯周病かどうかはここでチェック!10個の兆候

歯周病は初期段階では自覚症状があまりないため、知らず知らずのうちに進行している場合があります。歯肉炎と歯周炎のチェックポイントを合計10つご紹介するので、当てはまる点があれば、早めに歯科医院に相談してください。
2-1.歯肉炎の症状

歯肉炎は、歯周病の初期段階なので、適切な治療を受け、正しいブラッシングをすれば、完治も可能です。進行してしまうと、もとの歯茎に戻らない可能性があるので、この段階で治療を受けるのをおすすめします。
(1)歯茎が腫れる
歯茎の腫れは、一般の人は気づかないこともあるので、色に注目するとわかりやすいです。健康な歯茎は明るいピンク色をしています。もし目立った腫れがなくても、歯茎に赤い部分がある場合は、歯肉炎により歯茎が腫れている可能性があります。
(2)出血がある
歯磨きをすると出血する場合は、歯肉炎を起こしている可能性があります。ブラッシングの力が強すぎる可能性もありますが、ゴシゴシ磨いているわけではないのに、出血する場合は要注意です。ちなみにこの段階では、ほとんど痛みを伴いません。
フロスをしている時に出血する場合は、歯肉炎の場合もありますが、歯と歯の間に虫歯ができているケースも考えられます。どちらにしても放置すると悪化するので、歯科医院に相談しましょう。
(3)歯が浮いている
疲れたときに、歯茎についた歯石が歯茎を攻撃するのを敏感に感じ「歯が浮いている」という感覚になる場合があります。歯が浮いていると感じる場合は、歯石が多くつき、歯肉炎を起こしている可能性があるでしょう。
2-2.歯周炎の症状

歯肉炎が進行し、歯周炎になると見た目の変化や痛み、膿など、自覚症状が増えていきます。放置しておくと、歯を失う可能性があるので、なるべく早めに医師に相談しましょう。
(1)歯が長く見える
歯周炎になると歯茎が痩せて下がり、歯が長くなったように見えます。一度、痩せた歯茎は元に戻らないので、早期の治療が必要です。
(2)起床時に口の中がネバネバする
口の中がネバネバするのは、細菌が生み出す分泌物が原因です。歯周炎にかかっている人は、口内に細菌が多く、口の中がネバネバしやすい状態です。就寝時は唾液の分泌量が減り、口内環境が悪化し細菌が増加するため、起床時は特にネバネバを感じやすいです。
(3)冷たいものや熱いものがしみる
歯周炎が悪化すると歯茎が下がり、エナメル層に覆われていない歯根が歯茎から出てしまうケースがあります。エナメル層は、歯を刺激から守る働きがあるため、歯根部分が露出すると、冷たいものや熱いものがしみる「知覚過敏」の症状が現れる場合があります。
(4)口臭が悪化する
歯周病を引き起こす細菌が口の中で繁殖すると、不快な臭いがするガスが発生します。自分では口臭に気がつかないことも多いので、人から指摘されて初めて気がつく場合も少なくありません。歯周炎が重度になるほど、口臭も強くなります。
(5)膿が出る
歯周炎が進行すると炎症が悪化し、歯と歯茎の間に、細菌と戦った白血球の死骸などの膿が溜まりやすくなります。
(6)歯がぐらつく
歯周炎が重症化すると、あごの骨が溶けてしまい、歯を支えられなくなります。そのため、重度になればなるほど、歯がぐらぐらします。最終的には、歯が抜け落ちてしまう場合もあります。
(7)ものがよく噛めない
歯周炎によりあごの骨が溶けると、歯がぐらついてしまい、ものをよく噛めなくなります。以前と比べて硬いものを食べにくいと感じたら、歯周炎を疑いましょう。
3.歯周病の治療ってどんなことをするの?

歯科医院で歯周病と診断された場合、歯を守るためには早期治療が大切です。どのような治療をするのかを解説します。
3-1.歯肉炎

歯肉炎の主な原因は歯垢です。歯肉炎の患者の口内には、歯垢が溜まり石灰化した歯石がたくさん付着しています。
歯石は自然になくなることはなく、細菌が増えやすい環境をつくりだします。歯科医院で歯石を除去してもらい、正しいブラッシングの指導を受け、歯石とそのもととなる歯垢が少ない状態を保つようにしましょう。
歯肉炎はまだ歯周病の初期段階なので、適切な歯磨きをできるようになれば、完治する可能性もあります。
3-2.歯周病

歯周病の場合も、歯石除去や歯磨き指導を受けて、歯垢を取り除く治療を行います。歯周病が進行し、歯と歯茎の溝である「歯肉ポケット」の深い部分にまで歯石が溜まると、通常の方法では歯石を除去できません。そのため、歯茎を切開して歯石を取り除く、外科的な治療が必要になります。
また、重度の歯周病により歯の周辺の組織が失われた場合は、再生治療を行うケースもあります。
さらに、場合によっては、歯周病を悪化させる要因となる糖尿病や喫煙などの対策も実施。血糖コントロールや禁煙治療を行います。
4.歯周病になる前に!予防するために心がけたい3つのこと

もし歯周病ではないと判明しても、将来的にかかってしまう可能性もあります。予防するために心がけたい3つの対策をご紹介するので、しっかりケアをして、歯周病から歯と歯茎を守りましょう。
4-1.正しいブラッシングをする

歯周病の一番の原因である歯垢を除去するためには、正しいブラッシングが不可欠です。
検診などで歯科医院に行く際は、積極的に歯磨き指導を受けて、正しい歯磨き方法を身につけるのをおすすめします。
歯周病の原因となる細菌は、空気に触れると死滅する性質があるため、歯肉ポケットや歯石の中に多く生息します、歯と歯茎の境目に、45度くらいの角度で歯ブラシをあて、ゴシゴシと力を入れずに、こまめに動かしながら、丁寧に1つずつ歯を磨きましょう。
歯ブラシは細かいところまできれいにできるよう、毛先が細いものがおすすめです。また、歯ブラシの毛先が広がると、汚れが落ちにくくなるだけではなく、細菌が繁殖しやすくなるので、1ヶ月くらいで交換するとよいでしょう。
4-2.定期的に歯科医院で歯石を取ってもらう

適切なブラッシングをしたとしても、少しずつ歯石が溜まってしまうものです。歯石は歯垢と違い、セルフケアでは全てを取り除けないので、半年に1回は歯科医院で歯石を除去してもらいましょう。
定期的に歯科医院に行くことで、もし歯周病になっていたとしても、早期発見でき、重症化を防げます。
4-3.生活習慣の改善

栄養不足や睡眠不足、過度なストレスによって、免疫力が低下し、歯周病の原因となる菌への抵抗力が弱まります。また、タバコを吸うと、有害物質により細菌への抵抗力が低下したり、歯茎の腫れ・炎症の治りが遅くなったりします。
バランスのよい食生活や適度な睡眠、こまめなストレス解消、禁煙など、生活習慣を改善することで、歯周病のリスクを軽減しましょう。
5.歯周病の兆候を知って早めの治療を!

歯周病は、初期は自覚症状がありませんが、徐々に進行して、歯を失う原因となる恐ろしい病気です。
歯周病の兆候がないかセルフチェックし、もし該当する点があれば、すぐに歯科医院に相談しましょう。治療をスタートするのが早ければ早いほど、完治しやすく、歯を失う可能性も低くなります。
また、歯周病ではない場合も、正しいブラッシングなどの予防を心がけ、健康な歯と歯茎を守ってください。









