歯周病の人はオールオン4ができないって本当?

松川 眞敏
松川 眞敏
この記事の監修者
医療法人社団「朋優会」理事長。歯科医師・インプラント専門医。国際インプラント学士会(I.C.O.I.)メンバー。米国インプラント学会(A.O.)アクティブメンバー。欧州インプラント学会(E.A.O.)メンバー。O.S.I.アドバンスドトレーニングコース 講師。
https://e-implant-tokyo.com/smile-implant/

歯周病の人は、インプラントができないと思っていませんか?
確かに、歯周病が進んでいる状態でインプラントをするのはリスクがあります。

オールオン4は、抜歯をしてからすぐにインプラントを入れるので、歯周病の人には向いていないと思われがちです。

 

しかし、歯周病の人でもオールオン4は、可能です。

そこで今回は、歯周病とオールオン4について解説していきます。

 

この記事では、歯周病の人がオールオン4を長持ちさせる方法についても解説しています。

 

オールオン4を考えている人は、是非この記事を参考にしてください。

目次

1オールオン4はどんな治療法?

通常、片顎それぞれの12本〜14本の歯を回復させるには、8本〜10本のインプラントを埋める必要があります。

 

しかし、インプラントの本数が多いと、埋める位置が限定されて骨の足りない部分が出てきます。

 

そういった場合には、骨を増やす骨造成という処置をするのが一般的です。

そうなると、費用が高額になったり身体の負担になったりすることがあります。

 

一方でオールオン4は、上下どちらかの顎に4本〜6本のインプラントを埋めた上に、繋がった被せ物を取り付ける治療法です。

 

 

大掛かりな骨造成の処置をせずに、痩せにくい硬い骨の部分にインプラントを入れるので、身体への負担も小さく済みます。

 

この方法は、最小で4本のインプラントを埋める「オールオン4」と最大で6本のインプラントを埋める「オールオン6」の2つがあります。

 

この2つはインプラントの本数が違うだけで、治療法や見た目などに違いはありません。

お口の状態や歯科医師の判断でどちらの治療法にするかが、変わってきます。

2歯周病の人がオールオン4できないと言われる「4つの理由」

歯周病だとオールオン4ができないと言われるのは、次の4つの理由があるからです。

 

・細菌感染が起きやすい

・インプラントが安定しにくい

・インプラント周囲炎になりやすい

・歯科医師の高度な技術が必要

 

それぞれについて、詳しく解説していきます。

2−1:細菌感染が起きやすい

そもそも歯周病は、歯周病菌が歯茎の中に入り込んで、歯を支えている骨を溶かす病気です。

歯周病になっているというのは、歯茎が細菌に汚染されている状態です。

特に、歯周病菌の中には、強い病原性をもった菌が存在します。

 

汚染された歯茎にインプラントを入れると、細菌感染が起きる可能性が高くなります。

2−2:インプラントが安定しにくい

インプラントは骨と結びつくことで、しっかりと固定されます。

歯周病菌がいる歯茎にインプラントを入れて細菌感染を引き起こした場合には、骨とインプラントがしっかりとくっつかないことがあります。

 

そうなると、インプラントがいつまでもグラグラして安定しません。

 

最悪の場合には、しっかりと噛むことができず、インプラントが自然に抜け落ちることもあります。

2−3:インプラント周囲炎になりやすい

インプラントは、虫歯にはなりませんが、歯周病になることがあります。
インプラントが歯周病になることを、インプラント周囲炎と言います。

 

インプラント周囲炎は、インプラントを支えている骨が溶ける病気です。

口の中の歯周病菌が増えると、インプラント周囲炎を引き起こす可能性があります。

 

特に、重度歯周病の人の場合には、口の中が歯周病になりやすい傾向があり、インプラント周囲炎を引き起こすリスクが高くなります。

2−4:歯科医師の高度な技術が必要

オールオン4は、少ない本数で被せ物を固定させたり、骨のない部分を避けて斜めにインプラントを入れたりする特殊な技術が必要になります。

 

それに加えて、歯周病の人にインプラントをする場合には、歯周病治療にも詳しくないといけません。

 

どちらかの知識や技術だけでは、オールオン4を成功させることは難しいです。

 

歯周病の人にインプラントをするときは、オールオン4という特殊な技術の他に、歯周病治療の専門性も必要になります。

3歯周病の人はオールオン4が向いている?

歯周病は、文字通り歯の周辺組織の病気です。

 

歯周病の人が通常のインプラントをするときは、歯周病治療をして歯茎の治りを待ってからインプラント治療をするのが一般的です。

 

その場合には、自分の歯が多く残っている状態なので、歯周病やインプラント周囲炎になるリスクが高くなります。

また、抜歯をした歯茎は、菌に汚染されていて歯周病菌が多く残っている状態です。
この状態でインプラントを入れると、細菌感染を引き起こす原因になります。

一方でオールオン4は、上下どちらか、または上下両方の歯を全て抜歯した後、歯茎の状態を整えてからインプラントを埋入します。

 

歯周病で苦労をしたことがある人は、次のような治療を望むことが多いです。

 

・歯周病の治療から解放されたい

・歯周病が再発するリスクを少しでも減らしたい

・歯周病の原因を取り除いて、見た目も噛む力も回復させたい

 

上記を満たす治療法は、オールオン4です。

そのため、歯周病の人はオールオン4が向いている傾向があるといえます。

4歯周病の人がオールオン4を長持ちさせる条件

歯周病の人がオールオン4を長く使い続けるためには、次のような条件が大事になってきます。

 

・正しい歯磨きを身につける

・プロのクリーニングを受ける

・定期的に細菌検査をする

・実績のある歯医者で治療をする

 

これらについて、解説していきます。

4−1:正しい歯磨きを身につける

歯周病の人がオールオン4を長持ちさせるには、正しい歯磨きを身につけることが大事になります。

「自分の歯が残っていないなら歯磨きは必要ないのでは?」と思う人もいるかもしれません。

 

しかし、食事をした後の汚れがインプラントの周りに溜まっている状態が続くと、歯周病菌が汚れを栄養にして増えていきます。

 

その結果、歯茎が炎症を起こして、インプラント周囲炎になることがあります。

歯がないからといって、歯周病菌がいなくなることはありません。

 

なぜなら、歯周病菌は常在菌といって、人の体に常に存在する菌だからです。

そのため、オールオン4をしても、毎日の歯磨きが重要になります。

 

オールオン4では、全て繋がった被せ物をインプラントに固定します。

 

特殊な被せ物の形になるので、天然歯と同じような歯磨きではなく、オールオン4に合わせたケアの仕方をする必要があります。

 

特に、被せ物と歯茎の間には汚れが溜まりやすいので、丁寧に歯磨きをしましょう。

 

歯磨きの仕方がわからないときは、歯科医師や歯科衛生士に教えてもらい、正しい歯磨き方法を身につけるのがおすすめです。

4−2:プロのクリーニングを受ける

毎日歯磨きをしていても、100%キレイに磨ける人はいません。
歯磨き方の癖や磨きにくい部分には、汚れが残ってしまいます。

そのため、定期的に歯医者でクリーニングをするのがおすすめです。

専用の機器を使うので、汚れを徹底的に取ることができます。

 

また、オールオン4の被せ物は、ネジで固定しているケースが多く、ネジが緩んでいたり外れたりしていないかをチェックする必要があります。

 

他にも、半年〜1年に1回の頻度でレントゲンを撮って、インプラント周囲炎になっていないかを確認するのもオールオン4を長持ちさせる大事な検査のひとつです。

4−3:定期的に細菌検査をする

最近では、細菌検査できる歯医者が増えています。
細菌検査は、お口の中にどんな菌がいるのかを調べる検査のことです。

 

この検査では、虫歯になりやすい菌、歯周病になりやすい菌といった菌の種類や菌の数を把握できます。

 

定期的に細菌検査をすることで、歯周病菌が増えていないかを確認でき、インプラント周囲炎の予防にも繋がります。

4−4:実績がある歯医者で治療をする

オールオン4は、一般的なインプラントとは違い、高度な技術が必要になる治療法です。

数ミリでもインプラントを埋める位置や角度がズレたり、1本のインプラントだけ噛み合わせの負担がかかるような被せ物の設計をしたりすると、治療が失敗に終わることも少なくありません。

 

また、歯周病の人にオールオン4をするときは、歯科医師が歯周病の知識や治療法をしっかりと学んでおく必要があります。

 

そのため、歯周病の人がオールオン4をするときには、実績のある歯医者がおすすめです。

 

例えば、

・重度歯周病の人にオールオン4をしている

・オールオン4をしてから5年や10年が経過しても問題なく使えている

 

といった症例がある歯医者は、安心して治療を任せることができるでしょう。

 

オールオン4の相談に歯医者にいったときは、実際の症例写真を見せてもらうと、より信頼性が高まりやすいです。

5歯周病の人でもオールオン4はできる

歯周病の人でもオールオン4は、可能です。

安全にオールオン4をするには、次のような条件が必要になります。

 

・正しい歯磨きを身につける

・プロのクリーニングを受ける

・定期的に細菌検査をする

・実績のある歯医者で治療をする

 

歯周病の人はインプラントできないと言われていますが、原因をしっかりと取り除いて適切なケアをすることで、長く使い続けることができます。

 

歯周病だからといって、インプラントを諦めるのはもったいないです。

まずは、オールオン4の実績が豊富な歯医者に相談することから始めましょう。

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