- この記事の監修者
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医療法人社団「朋優会」理事長。歯科医師・インプラント専門医。国際インプラント学士会(I.C.O.I.)メンバー。米国インプラント学会(A.O.)アクティブメンバー。欧州インプラント学会(E.A.O.)メンバー。O.S.I.アドバンスドトレーニングコース 講師。
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「歯周病治療しているのに治らない…」
そう思っている人も多いかもしれません。
当たり前ですが、歯周病はただ放置しておくだけでは絶対に治りません。
治療をしているからと言って、すぐに治るものではありませんし、歯医者で治療していることに安心して、患者自身は特に何も生活を変えていないようでは治ることがないかもしれません。
「歯周病を絶対に治したい!」
そんな気持ちで治療に挑まなければ、簡単に治るものではないのです。
今回は歯周病治療をしてもなかなか治らない理由や、絶対に直したいという方へ、その治療方法について紹介します。
目次
- 1.歯周病は放置していると治らない?
- 1-1.歯周病の仕組み
- 1-2.歯周病のサイン
- 1-3.歯周病で歯を失うことも
- 2.歯周病の治療が難しい理由
- 2-1.歯周病菌を減らせていない
- 2-2.生活習慣改善が不十分
- 2-3.噛み合わせの状態が良くない
- 3.歯周病を治すには
- 3-1.ブラッシング方法を変える
- 3-2.歯磨き粉を変える
- 3-3.歯ブラシを変える
- 3-4.定期的に歯医者へ行く
- 3-5.生活習慣を改善する
- 3-6.噛み合わせを改善する
- 4.歯周病は治療するだけで治らない!歯の健康は自分で守ろう
1.歯周病は放置していると治らない?
歯周病は放置していたら勝手に治るものではありません。
風邪は薬を飲まなくても放置していたら、自然治癒力で治ることもありますが、歯周病はそんなことはありません。
放置していたけど良くなったと感じていても、一時的に腫れが治まっているだけであって、放置していると更に悪化します。
1-1.歯周病の仕組み
歯周病とは、歯と歯茎の隙間にある“歯周ポケット”という場所から侵入した歯周病菌が、歯肉に炎症を引き起こす病気のことです。
酷くなると歯肉の炎症だけでなく、歯を支えている骨(歯槽骨)を溶かし始め、歯がぐらぐらと揺れる状況を引き起こします。
つまり、歯周病の原因は歯周病菌という細菌です。
歯周病菌の原因になるのは、歯磨きなどの口腔ケアが不十分のところにできるネバネバとした歯垢です。
歯垢が多くなると、歯垢の中で酸素を嫌う嫌気性菌が増加するのですが、これが歯周病菌となります。
1-2.歯周病のサイン
歯周病で歯がぐらつき始めたら、それは随分進行した状態です。
そうなる前の、まだ軽い歯周病のサインには次のようなものがあります。
【歯茎から血が出る】
まず分かりやすい歯周病のサインは、ブラッシングをしている際に歯茎から出血するというサインです。
歯茎から血が出るということは、歯茎に炎症を起こしているということ。
出血することを軽く見ずに、一度歯医者で検診を受けましょう。
【歯茎の腫れやかゆみがある】
歯茎が腫れている、歯茎にかゆみがある状態も、歯周病の可能性があります。
出血するよりも少し歯周病が進行している状況かもしれません。
歯茎に違和感があれば、歯科を受診するようにしましょう。
【口の中がネバネバする】
口の中がねばつくのは、歯周病菌が活動しているせいかもしれません。
歯周病菌が繁殖すると唾液がねばつくので、口の中がねばつきやすくなります。
【口臭がきつくなる】
口の中がネバネバとしている人は、細菌が口の中で繁殖している状態なので、口臭がきつくなっているかもしれません。
自分でも気付くほどの口臭だったり、歯磨きやマウスウォッシュで口腔ケアをしても口内がねばついたりするようなら、歯周病のサインです。
1-3.歯周病で歯を失うことも
歯周病が進行すると、歯がグラグラしはじめます。
歯を支える歯槽骨が溶け始めるからです。
歯槽骨が溶けてしまうと、歯が抜けてしまうことも。
最悪、歯を失ってしまうことのある歯周病なので、放置はせずに治療することが必要なのです。
2.歯周病の治療が難しい理由
歯周病を治療しようとしても、実は治療は簡単ではありません。
その理由は次のようなものがあります。
2-1.歯周病菌を減らせていない
歯周病の原因菌である歯周病菌を減らさないと、歯周病は治りません。
歯周病菌は先述した通り、歯垢の中にいます。
歯垢は固まると歯石という固い石のような塊になりますが、その歯石や歯垢の除去が不十分な場合、歯周病菌を減らすことができません。
歯垢はブラッシングだけで除去することは不可能です。
歯石ともなると、歯医者でのクリーニングが必要になります。
歯周病治療の際には、家庭では歯垢が溜まらないよう、歯ブラシでのブラッシングの他、歯間ブラシやフロスなどを用いて丁寧に除去しながら、定期的に歯医者でのクリーニングを受けることが大切です。
2-2.生活習慣改善が不十分
どれだけ丁寧にブラッシングをし、定期的に歯医者でのクリーニングをしていても、歯周病の治療は簡単には進みません。
菌の増殖には生活習慣が大きく関わっているからです。
歯周病菌を増やしやすい生活習慣には、次のようなものがあります。
・タバコ
・睡眠不足
・ストレス など。
この他にも歯周病菌の増える原因となるものはありますが、睡眠不足やストレスなどは誰でも抱えやすい生活習慣の乱れです。
歯の健康だけでなく、体の健康にもかかわってくるので、できるだけ睡眠不足は解消し、ストレスは発散させながら上手く付き合うようにしましょう。
また、喫煙習慣がある方は歯肉の出血や腫れに気付きにくいため、歯周病がだいぶん進行してから気付く人も多いです。
治療を始めても喫煙者の場合は、歯肉の治りは悪く、一時的に良くなっても再発しやすいという特徴があります。
タバコは体にもいいことはありません。
歯周病を治したいのであれば、禁煙は必要と言えるでしょう。
このように、歯周病は風邪などと同じく細菌感染によって起こる病気ではありますが、どちらかというと、肥満などの生活習慣病と似た病気です。
肥満も放置していては治るものではなく、運動や食事をコントロールするなどの生活習慣が不可欠です。
歯周病も同じく、生活習慣の改善をしなければ治ることはないと覚えておきましょう。
2-3.噛み合わせの状態が良くない
噛み合わせに問題があるせいで、顎の骨に負担が掛かると、歯周病でぐらついた歯への負担も大きくなり、歯周病で歯が溶けるのを助長します。
歯周病の進行を早めてしまう原因になるので、噛み合わせを治しながら歯周病の治療を進める必要があります。
3.歯周病を治すには
歯周病は治療しても直すのは難しい理由を紹介しましたが、どうにかして歯周病を治したい場合、どのようにすればいいでしょうか。
3-1.ブラッシング方法を変える
歯周病を治したいと思ったら、まずは家庭でのブラッシングの方法を見直してみましょう。
ブラッシングはただ歯を磨けばいいのではありません。
歯周病は歯周ポケットに歯周病菌が入り込んでいる状態です。
バス法という、歯と歯茎の境目に歯ブラシを斜めに当て、細かく磨く方法で歯磨きをしてみてください。
歯周ポケットに入った菌をブラシで掻き出せるとともに、歯茎のマッサージにもなります。
その後、歯と歯の間に挟まった歯垢を除去するために、フロスや歯間ブラシを使って仕上げましょう。
3-2.歯磨き粉を変える
歯周病の場合、普通の歯磨き粉を使うのではなく、歯周病対策の歯磨き粉を使うようにしましょう。
普通の歯磨きは大抵、虫歯予防のための歯磨き粉です。
歯周病対策の歯磨き粉には、炎症を抑えたり、出血を防いだり、歯周病菌を殺菌してくれる効能のあるものが多いので、歯周病の治療に一役買います。
3-3.歯ブラシを変える
歯ブラシを変えることも大切です。
固めの歯ブラシでごしごしと磨くと、歯茎を傷つけ、歯茎の炎症をさらに悪化させてしまうことがあります。
歯周病治療中は柔らかめの歯ブラシを使いましょう。
3-4.定期的に歯医者へ行く
また、家庭で丁寧にブラッシングをしていても、気付かない間に歯垢が溜まっていることがあります。
何の症状がなくても、定期的に歯医者に行き、歯のクリーニングを受ける習慣を付けましょう。
歯がグラグラしてきた、歯茎から出血してきたという状態になると、歯周病は進行している状態です。
進行する前に、まずは原因となる歯垢を徹底的に除去する習慣を心がけましょう。
3-5.生活習慣を改善する
生活習慣の改善も、歯周病治療の大切なポイントです。
先述した喫煙習慣、睡眠不足の解消やストレスをできるだけ溜めないことはもちろん、生活習慣病である糖尿病も歯周病になりやすい要因の1つです。
歯の健康だけでなく、体全体の健康のためにも、生活習慣を今一度見直してみましょう。
3-6.噛み合わせを改善する
噛み合わせが顎の骨に負担をかけることで、歯周病を進行させる可能性があることも先述しました。
そのため、矯正治療で噛み合わせを改善することも、歯周病治療において有効です。
噛み合わせとともに歯並びの改善を行うと、ブラッシングもしやすくなるので、歯垢の除去もしやすくなります。
歯周病になりやすい方は、矯正治療も一緒に考えてみてください。
4.歯周病は治療するだけで治らない!歯の健康は自分で守ろう
歯周病は放置しておいても治ることはありません。
また、歯医者で治療をしているからと言って、それだけで治ることもありません。
ブラッシング方法をはじめとした、普段の生活習慣を見直していくことが、治療の第一歩になります。
歯周病を完全に治すことは難しいですが、歯の健康のためにできることを、毎日意識するところから始めましょう。