
- この記事の監修者
- 医療法人社団「朋優会」理事長。歯科医師・インプラント専門医。国際インプラント学士会(I.C.O.I.)メンバー。米国インプラント学会(A.O.)アクティブメンバー。欧州インプラント学会(E.A.O.)メンバー。O.S.I.アドバンスドトレーニングコース 講師。
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失った歯を補う治療にはいくつか種類がありますが、見た目の美しさや機能性の高さから、インプラント治療を選ばれる方が増えてきました。
しかし、そんなインプラントの治療ですが、治療後に、「口臭がきつくなる」などの噂を聞いたことがある方もいるかもしれません。
実際に治療後に口臭が気になり始めたという方もいるようです。
今回はインプラント治療を受けた後、口臭がきつくなるというのは本当なのか、本当だとすれば原因はどういうものなのかについてまとめました。
また、口臭の対策についても紹介していくので、参考にしてみてください。
目次
- 1.インプラントで「口臭」がきつくなる?
- 2.インプラント治療後に口臭が気になる原因
- 2-1.口腔ケアが不十分
- 2-2.ネジが緩んでいる
- 2-3.インプラント周囲炎
- 2-4.生理的原因
- 3.口臭のセルフチェック方法
- 3-1.唾液を嗅いで確認
- 3-2.コップや袋を使って確認
- 3-3.デンタルフロスを使って確認
- 3-4.マスクで確認
- 3-5.舌で確認
- 3-6.口臭測定器(口臭チェッカー)で確認
- 4.口臭が気になり始めたら
- 4-1.正しい口腔ケア
- 4-2.定期健診を受ける
- 4-3.インプラント周囲炎を治療する
- 4-4.生理的原因での口臭の場合
- 5.インプラントで口臭がきつくなることはなし!口臭予防には丁寧な口腔ケアを
1.インプラントで「口臭」がきつくなる?

インプラント治療後、口臭はきつくなるものなのでしょうか。
結論から言うと、インプラント治療自体が原因で、口臭がきつくなるということはありません。
インプラントの材質に口臭に関わるようなものが使われていたり、治療上も口臭が出るような治療を行なったりすることはないからです。
では、なぜインプラント治療後に口臭が気になる方がいるのでしょうか。
2.インプラント治療後に口臭が気になる原因

インプラント治療後に口臭が気になる、きつくなったと感じる原因として、次のようなことが考えられます。
2-1.口腔ケアが不十分
まず考えられるのが、口腔ケアが不十分で磨き残しが原因で口臭が発生している可能性があります。
インプラント治療を行うと、人工歯と元々の歯の間に隙間や段差ができ、そこへ汚れが溜まりやすくなってしまいます。
その隙間も適切にケアをし、汚れを取り除いていかなければ、細菌が繁殖し、プラークとなっていきます。
このプラークは、虫歯や歯周病の原因になるだけでなく、口臭の原因になることも。
プラークに含まれる細菌が、硫化水素やメチルメルカプタンという臭いのするガスを作るからです。
また、歯周病が進行し、歯周ポケットの中に膿ができると、その膿が嫌な臭いを出すこともあります。
2-2.ネジが緩んでいる
インプラントは大きく分けて3つの部分から成り立っています。
歯茎に埋め込む人工歯根部分、表面から見える人工歯部分、そして人工歯根と人工歯をつなぐアバットメント部分です。
アバットメント部分はネジの形をしています。
ネジなので、時間経過や噛み合わせが良くないことが原因で緩むこともあります。
このネジが緩むと、そこへ雑菌が入り込んでしまい、また菌が繁殖することで口臭の原因となることがあるのです。
ネジが緩んでいる時には、人工歯に揺れを感じることがあります。
インプラントの破損にも繋がることがあるので、人工歯がぐらつくと感じたら、かかりつけ医に相談してください。
2-3.インプラント周囲炎
インプラント周囲炎とは、インプラントの治療を行なった周りの歯茎が細菌感染し、炎症を起こす病気のことです。
歯周病と同じ病気ですが、歯周病は自分の歯の周りの歯茎への炎症であるのに対し、インプラントは歯根も人工のものなので、インプラント周囲炎と呼ばれています。
インプラント周囲炎の症状が重くなると、歯茎が腫れ、出血したり、膿が出たりします。
この膿が口臭の原因になることがあります。
2-4.生理的原因
これまで紹介してきた原因以外にも、生理的なことが原因で、口臭が発生する場合もあります。
通常時は、唾液の自浄作用により口臭が抑えられますが、朝起きてすぐや空腹時、緊張した時などは唾液の分泌が少なくなります。
唾液の分泌が少なくなると、口内の細菌の数が多くなり、口臭の原因であるガスが発生しやすくなるのです。
その他、鼻風邪などが原因で口呼吸が多くなった場合や、加齢、女性の場合は生理や妊娠時のホルモンバランスに伴って唾液の分泌が少なくなることもあります。
インプラント治療には直接関係がないものではありますが、このような生理的な原因においても口臭が発生することがあるのを知っておきましょう。
3.口臭のセルフチェック方法

口臭を人から指摘されるのは、恥ずかしいと感じる方も多いですよね。
できれば自分で先に気づき、気付いた時点でケアをしておきたいもの。
口臭はどのように自分でチェックしたらいいのでしょうか。
3-1.唾液を嗅いで確認
自分で簡単に臭いを確認するのであれば、唾液の嗅ぐ方法が簡単です。
清潔な指で舌や歯と歯茎などを触り、その指についた唾液の臭いを嗅いでみましょう。
臭いと感じたなら、口臭が発生しているかもしれません。
3-2.コップや袋を使って確認
コップやビニール袋などに、息をフーッと吐き出し、その臭いを嗅いでみるのもいいでしょう。
吐いた後、コップやビニール袋に蓋をし、一息置いてから嗅ぐと臭いがわかりやすいです。
自分でも不快な臭いだと感じるのであれば、口臭が出ているかもしれません。
3-3.デンタルフロスを使って確認
デンタルフロスでケアをした時に、そのデンタルフロスを嗅いでみて下さい。
不快な臭いがする場合も口臭が出ている可能性があります。
3-4.マスクで確認
最近はコロナ禍で、外出時マスク着用が当たり前になってきましたが、一度使ったマスクを再着用する際に、臭いが気になったことはないでしょうか。
マスクを外した後、臭いのきついものの近くに置いていない限りは、そのマスクに残った臭いは自分の口臭かもしれません。
3-5.舌で確認
鏡などで自分の舌を見た時に、舌に白い付着物はないでしょうか。
健康な人の場合、舌はピンク色をしています。
白い付着物は舌苔といい、この舌苔が多いと口臭の元になります。
3-6.口臭測定器(口臭チェッカー)で確認
客観的に口臭がどの程度なのか詳しく知りたい方は、口臭測定器(口臭チェッカー)を使うのもいいでしょう。
歯科医院などでは置いてあることも多いですし、市販もされています。
口臭が気になるけれど、なかなか自分ではその程度がわかりづらいという場合もあるでしょう。
その場合、歯科医院で相談して測ってもらう他、市販のものを購入し、自分で普段からチェックしていくと、口臭の予防やケアにつながるでしょう。
4.口臭が気になり始めたら

インプラント治療後、口臭が気になり始めたら、どのような対策を取るといいでしょうか。
4-1.正しい口腔ケア
まず1番は正しく口腔ケアをすることが大切です。
インプラント部分と、元の自分の歯の間には、食べかすが溜まりやすいため、歯ブラシだけでなく、フロスや歯間ブラシなどで丁寧にケアしていきましょう。
また、インプラント部分は一般的な歯ブラシでは磨きにくい場合もあります。
タフトブラシという、L字型の歯ブラシを使って、細かい部分まで注意深く磨いていくのがおすすめです。
舌が汚れていて、舌苔が多い場合は舌ブラシで舌を定期的に磨いたり、薬用のマウスウォッシュなどを活用したりし、ケアを行いましょう。
自分の口腔ケアに自信がない場合は、歯科医院に相談すれば、ブラッシング指導をしてもらえます。
正しい磨き方を知り、少しでも磨き残しがないようにケアしていきましょう。
4-2.定期健診を受ける
自分でもケアしながら、定期的に歯科医院で健診を受けることも大切です。
口臭の原因となるアバットメント部分のネジの緩みは、自分でも気づかないこともあります。
健診を受け、インプラントをチェックしてもらうことで、それが原因での口臭の発生を防げる他、インプラントを正しくメンテナンスしていくことでインプラントの寿命を伸ばすことにもつながるでしょう。
また、歯科医院では自分では取り除くのが難しいプラークなども、クリーニングによって除去することもできます。
インプラント周囲炎や、他の歯の虫歯や歯周病に繋がらないよう、定期的に歯のクリーニングを行なっていくのも口臭予防につながります。
4-3.インプラント周囲炎を治療する
口臭の原因の1つであるインプラント周囲炎ですが、早めに治療すれば口臭の発生にはつながりませんし、インプラント自体を長持ちさせられます。
もし定期検診でインプラント周囲炎だと診断されたり、そこまで発展していなくても、赤く歯茎の腫れが気になったり、出血があったりする場合は早めの治療をしていきましょう。
4-4.生理的原因での口臭の場合
生理的原因が元で口臭が発生していると考えられる場合、一番は唾液の分泌を減らさないことが口臭予防の一番の近道になります。
水分をよく摂取し、口が乾いた状態を長く続けないことも対策になりますし、食事をよく噛んで食べて唾液量を増やすようにしましょう。
女性の場合は生理や妊娠時などのホルモンバランスが変化する時に、口臭が発生することがありますが、体調を整えながら、しっかりと食事や水分補給で唾液の分泌を増やすことを意識してみて下さい。
5.インプラントで口臭がきつくなることはなし!口臭予防には丁寧な口腔ケアを

インプラントの治療後に口臭が気になり始めたという方は多いようです。
しかし、インプラントの治療自体が口臭を発生させるものではなく、インプラント治療した箇所の口腔ケアが不十分である場合や、インプラント周囲炎が原因で口臭を発生させている場合がほとんどです。
中には、インプラント治療とは関係なく、生理的原因が関係している場合もあります。
つまり、インプラント治療で口臭がきつくなるということはありません。
しかし、せっかくインプラントで審美的にも良い治療を行なったのに、口臭を人から指摘されるのも恥ずかしいものですし、指摘されなくても臭いで不快にさせてしまっていたら・・・と考えると不安になるものです。
今回ご紹介した口臭のセルフチェックを自分でも行いながら、インプラント治療後の口臭予防に役立てましょう。
また、自分でのチェックや予防ケアはもちろんですが、インプラント治療を行なった部分は特に自分だけではケアしきれない部分もあります。
定期的に歯科医院で検査、メンテナンスを受け、口臭予防に努めましょう。









