インプラント治療後に「MRI検査」しても大丈夫?

松川 眞敏
松川 眞敏
この記事の監修者
医療法人社団「朋優会」理事長。歯科医師・インプラント専門医。国際インプラント学士会(I.C.O.I.)メンバー。米国インプラント学会(A.O.)アクティブメンバー。欧州インプラント学会(E.A.O.)メンバー。O.S.I.アドバンスドトレーニングコース 講師。
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「インプラント治療を受けた後は、MRI検査はできない」という話を聞いたことがある方はいるでしょうか。

インプラントの部品の問題で、MRI検査前にインプラントを取り外すように言われた、インプラント治療を理由に検査を断られたという例も実際にあるようです。

本当にインプラント治療を受け、インプラント体を埋め込んだ後はMRI検査が受けられないのでしょうか。

MRI検査は誰しも受ける可能性はあるため、その点がインプラント治療のデメリットとして考える人もいるかもしれません。

 

今回はそのようなインプラント治療後のMRI検査について、問題はないのか、問題があるとすればどのような点で、対処法はあるのかについてまとめました。

目次

1.インプラント治療とMRI検査

まず、インプラント治療とMRI検査とはどのようなものなのかについて知っておきましょう。

1-1.インプラント治療とは

インプラント治療と聞くと、歯科のインプラント治療を思い浮かべるという人が多いかもしれませんが、実はインプラント治療は歯科治療だけではありません。

インプラントの「イン」は英語で“中に”という意味で、「プラント」は“植える”という意味です。

中に植える、つまり体内に何処かの部位に、人工物を埋める治療のことを全てインプラント治療と呼びます。

 

心臓のペースメーカーや人工耳、人工関節、脳動脈クリップなども人工物であり、体内に埋め込むものであるため、これらの埋め込む治療も全て“インプラント治療”なのです。

 

歯科治療におけるインプラントは、人工の歯根を顎骨に埋め込みます。

1-2.MRI検査とは

MRI検査とは、主にがん検査に使われる検査のことです。

強力な磁石でできた筒の中に入り、磁気の力を利用し、内蔵や血管の画像を撮影します。

CT検査よりも鮮明に内臓が映るため、がんの発見につながる他、治療前にがんの広がりや他の部位への転移、また治療後の再発の有無などを調べることができます。

 

放射線を使わないため、被曝の心配はない反面、検査時間が長いことがデメリットとして挙げられます。

また、磁気の力を利用するため、金属類を持っていると撮影に悪影響が出る可能性があります。

金属類を全て外してからの撮影が基本ですが、この金属類が悪影響を及ぼす可能性があることが今回のインプラント治療後にMRI検査ができるかどうかの大きな争点となります。

2.MRI検査を断られることがある理由

インプラント治療を受けた後はMRI検査ができない、また医師にインプラント治療を理由にMRI検査を断られることがあるのはなぜなのでしょうか。

2-1.インプラント治療に使われた人工物の金属類が検査に影響するから

インプラント治療を受けた後、MRI検査が受けられないのは、インプラント治療に使われた人工物の金属類が検査に悪影響を及ぼす可能性があるからです。

MRI検査は磁気の力での検査なので、金属類は基本的に持ち込めません。

金属類による具体的な悪影響とは次のようなものです。

 

2-1-1.金属部分が発熱する?

磁石でくっつくような金属の場合は、強力な磁場の影響で金属部分が発熱する可能性があるのです。

その発熱によって、検査を受ける人が火傷をするなど、事故につながる可能性があります。

特に医療用インプラントであるペースメーカーを使用している人は、これが原因の1つでMRI検査が受けられません。

 

ただし、全ての金属類が磁場によって発熱するわけではありません。

歯科インプラントに使われることが多いチタンは、発熱するリスクが極めて低い金属だと言われています。

 

2-1-2.MRIの画像に不備が出る?

また、インプラントの部品に使われる金属類が、MRI画像に不備を生じさせる悪影響もあると言われています。

MRIは強力な磁力により、被検査者の体内の水分を振動させ、影を作ることで撮影をします。

しかし、体内に金属があると、それが磁場に反応し、正しく撮影できない可能性があるのです。

最悪の場合、MRI検査の機械が故障してしまう可能性があるとも言われています。

 

ただし、これも多くの歯科インプラントに使われるチタンであれば、気にする必要はありません。

チタンは非磁性(磁石にくっつかない)の金属のため、画像に悪影響を起こす可能性は低いです。

3.歯科インプラント治療後はMRI検査をしても大丈夫?

インプラント治療後にMRI検査が受けられないと言われるのは、インプラントに使用される磁力の強い金属類が原因であることが分かりました。

歯科インプラントに使われる金属は、チタンが多いですが、こちらは問題ないのでしょうか。

3-1.チタン製のインプラントであればMRI検査も大丈夫

歯科インプラント治療で、チタン製のインプラント体を埋め込む場合には、MRI検査には影響が少なく、リスクも低いため、検査を受けても問題ありません。

歯科インプラントを受ける前には埋める材料を確認し、もし治療後であれば使われた材料を確認するといいでしょう。

多くのインプラントメーカーではチタンが使われていることがほとんどですが、ものによってはチタン以外のものが使われている場合があるためです。

3-2.注意が必要なケースとは?

チタン製のインプラントであれば、MRI検査を受けても問題がないことが多いですが、以下の場合には注意が必要です。

 

3-2-1.オーバーデンチャー

オーバーデンチャーとはいわゆる入れ歯のこと。

インプラント治療にも、インプラントオーバーデンチャーという治療法があり、残存歯やインプラントを入れ歯で覆い被せる治療です。

総入れ歯のようなイメージのインプラント治療ですが、この治療では埋め込んだインプラント体の先に磁石を付けて、入れ歯を入れるケースもあります。

磁石を使っていると、先述したようにMRI検査において発熱したり、画像に不具合を起こしたりする可能性があります。

インプラントオーバーデンチャーの中にも、磁石は使用しないケースもあるため、インプラントオーバーデンチャーの治療を受けた場合は、歯科医師に磁石の使用の有無を確認しておきましょう。

 

また、MRI検査は本人が意識等ない、もしもの場合に受ける可能性があるため、磁力を使用したインプラント治療を受けているかどうかは、身近な家族にも伝えておく必要があります。

どのようなインプラント治療を受けたのかの情報を家族にも共有しておきましょう。

 

3-2-2.医療用インプラント

歯科インプラントはMRI検査において問題ないことがほとんどですが、医療用インプラントの場合は要注意です。

歯科インプラント以外に、医療用インプラント治療を受けたことがある場合は、MRI検査を受ける前に必ず医師と相談してください。

医療用インプラントに使われる素材も、様々あるため、歯科インプラントと同じように検査に影響したい場合もあります。

特に古いタイプのペースメーカー、人工耳などは注意が必要です。

必ず検査に問題ないか確認してから、検査を受けるようにしましょう。

4.インプラントが原因でMRI検査を断られた場合

歯科インプラント治療を受けたと伝えると、MRI検査ができないと判断する医師がいるかもしれません。

その場合、インプラントについて勘違いをしているケースもあるため、次のような対処をして、本当に検査を受けられないのかどうか確認してみましょう。

4-1.チタンであることを説明する

まずはインプラント治療に使われた素材はチタンであることを説明しましょう。

チタンは医療現場において、信頼性も高く、安全性も問題ないと認識されていることが多いため、チタンであればと検査を問題なく受けられるでしょう。

4-2. 歯科医師に相談する

万全の安全性の考慮し、インプラントはどのようなものでもダメだと言われた場合には、インプラント治療を受けた歯科医院で相談してみましょう。

歯科医院でMRI検査には問題ないと言われたことを、検査を受ける病院で主治医に伝えると問題なく検査を受けられる場合もあります。

 

また、MRI検査に影響が出るかもしれないと判断された、インプラントの上部構造だけ外してもらう事もできます。

5.歯科インプラント治療後は「MRI検査」可能

インプラント治療を受けた後は、MRI検査ができないという話を聞くことがあるかもしれませんが、その多くが医療用インプラント治療を受けた後の話です。

歯科インプラント治療ではほとんどの場合がチタン製の材料を使ったものを顎骨に埋め込んでいるため、治療を受けた後でも基本的にはMRI検査は可能。

しかし、まれに歯科インプラント治療に使われる金属がチタン以外のものが使われている場合があります。

その場合はMRI検査を受けると事故につながったり、撮影の不具合につながったりすることがあるため、注意が必要です。

心配であればインプラント治療を受けた歯科医、MRIを受ける際の主治医の両方に、相談するといいでしょう。

 

MRI検査はインプラント治療後出なくとも、金属類を持っていなくとも、過電流が生じて発熱するリスクは少なからずあります。

インプラント治療をしているかどうかだけでなく、それ以外の検査のリスクをしっかり事前に理解しておき、検査を受けることも大切です。

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