- この記事の監修者
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医療法人社団「朋優会」理事長。歯科医師・インプラント専門医。国際インプラント学士会(I.C.O.I.)メンバー。米国インプラント学会(A.O.)アクティブメンバー。欧州インプラント学会(E.A.O.)メンバー。O.S.I.アドバンスドトレーニングコース 講師。
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インプラント治療と聞くと、高額で難しい治療だというイメージを持っている方がいるかもしれません。
しかし、最近ではインプラント治療も身近な存在になってきており、そのメリットの多さから失った歯の治療法として、インプラント治療を選ぶ方も増えています。
もし、インプラント治療を失った歯1本だけ受けるとすると、どのくらいの期間・費用を要するのかご存じでしょうか。
今回は1本だけの治療の期間や費用について、紹介していきます。
目次
- 1.インプラントの治療期間
- 1-1.インプラントの手術は1〜2日程度
- 1-1-1.2回法
- 1-1-2.1回法
- 1-2.インプラント手術後の治療期間が長い
- 1-3.ケースによっては手術前の治療が必要となることも
- 1-4.全体の治療期間は6ヶ月から1年
- 1-5.メンテナンス期間
- 2.インプラント治療で歯のない期間はどの程度?
- 2-1.インプラント外科手術の後、仮歯を入れることが多い
- 3.インプラント「1本」にかかる治療費用
- 3-1.1本につき30〜40万が相場
- 3-2.安すぎる治療費用には要注意
- 4.適切な期間・費用は安心材料にも!長い目で見て、信頼できる医師の元での治療を
1.インプラントの治療期間
インプラント治療を受けるケースでは、歯を失っている状態がほとんどです。
そのため、いつ失った歯のスペースを埋められるのか、見た目の改善を図れるのか、治療期間が気になる人が多いでしょう。
治療を受けたとして、どの程度の期間で治療を終えられるのでしょうか。
1-1.インプラントの手術は1〜2日程度
インプラントの治療のメインは、外科手術です。
歯茎を開き、露出させた顎骨にドリルで穴を掘って、そこへインプラント体(人工歯根)を埋め込む手術です。
手術時間はインプラント体1本につき、10分から15分程度が一般的。
インプラントが1本増えると、プラス10〜15分プラスされるイメージです。
また、治療法によって、この外科手術を行う回数が異なります。
1-1-1.2回法
2回法は、その名前の通り、インプラントの手術を2回行う方法です。
1回目の手術では、インプラント体を埋め込んだ後、蓋をして縫合するところまで行います。
この手術から3〜6ヶ月ほど経過し、インプラント体と顎骨の結合を確認した後、2回目の手術を行います。
歯茎を切開し、蓋をしたインプラント体を露出させ、人工歯とインプラント体をつなぐアバットメントを装着する手術です。
1回目も2回目も1週間ほどで抜糸を行います。
手術は2回に分かれているため、合計で2日かかりますが、基本的には手術のための入院の必要はありません。(全身麻酔が必要、出血が多いなどのケースでは入院することもあります。)
2回法は、インプラント体を埋め込んだ後に蓋をするのが特徴。
感染リスクの高い人や、蓋をしないとインプラント体が骨との結合が阻害されてしまう可能性がある人に適用される手術法です。
1-1-2.1回法
1回法は手術を行うのは1回だけの治療法で、手術は1日で終わります。
1回法ではインプラント体を埋め込んだ後、蓋をせずに、この時点でアバットメントを装着します。
その後、歯茎を縫合し、1週間くらいたった後に抜糸を行います。
1回法は手術が1回なので、体への負担が心配な人や、治療期間をなるべく短くしたい人に適用されます。
感染リスクが高い場合は、患者本人が1回法を希望しても、2回法が適用されることが多いです。
1-2.インプラント手術後の治療期間が長い
インプラントの手術自体は、1日か2日で終わりますが、実は手術後の期間は長めです。
というのも、インプラント体を顎骨に埋めただけではインプラントは安定しません。
インプラント体と顎骨が結合することが必要です。
この結合は早い人で2〜3ヶ月、かかる人は6〜12ヶ月かかります。
特に上顎の手術の場合は結合に時間がかかる傾向があります。
人によっても結合するスピードは違うので、定期的に歯科医院で経過観察をしてもらいながら、結合していることを確かめた後、次の段階へ移ります。
1-3.ケースによっては手術前の治療が必要となることも
インプラントの治療は、誰でもすぐに行えるわけではありません。
まず検査等を行い、インプラント治療が適切かどうかを診断するとともに、患者と一緒に治療計画を立てます。
その際に歯周病や虫歯があれば、先に治療を行います。
歯周病や虫歯などがあるということは、口内に細菌が多い状態のため、インプラント手術の際に細菌感染のリスクが高まります。
また、治療後も歯周病に似たインプラント周囲炎にかかるリスクが高いです。
インプラント周囲炎は進行すると、せっかく埋めたインプラント体が抜け落ちてしまう原因にもなりかねないため、インプラント治療前に歯周病は必ず治療しておく必要があります。
そのほか、糖尿病で血糖コントロールが難しい方、全身疾患が要因で感染しやすい状態にある方、顎骨の骨量不足がある方などは、すぐに治療を始められないことも。
歯科以外の疾患をお持ちの方は、主治医に相談しながら、インプラント治療を受けられる状態に持っていく必要があります。
また、骨量不足の方は治療前に骨を増やす“骨造成治療”を行うことがあります。
1-4.全体の治療期間は6ヶ月から1年
治療前の検査や治療から、インプラント手術、そして手術後の治療を通して、平均して6ヶ月から1年がインプラントの治療期間と言えます。
先述したように、下顎の治療よりも、上顎の治療の方が治療期間が長くかかる傾向もあります。
この期間はあくまで一般的な目安なので、自身のケースではどのくらいかかるか知りたい方は検査後、主治医に尋ねてみましょう。
1-5.メンテナンス期間
また、治療が終わったら全てがおしまいというわけではありません。
インプラント治療のメリットを、長く享受するためにも、定期的なメンテナンスのために通院する必要があります。
メンテナンスに通う期間には、いつまでというものはありません。
インプラントの寿命を延ばすためにも、定期的なメンテナンスを受けるようにしましょう。
2.インプラント治療で歯のない期間はどの程度?
インプラントの全体治療期間は6ヶ月から1年かかると分かりました。
その間、治療箇所にはずっと歯のない状態が続くのでしょうか。
2-1.インプラント外科手術の後、仮歯を入れることが多い
インプラント体を埋め込む外科手術(2回法だと1回目の手術後、1回法は手術後)、経過が順調であれば、多くの場合で仮歯を入れます。
特に歯がないと目立つ前歯などは、仮歯をつけることがほとんど。
仮歯は見た目の改善だけでなく、その人に合った人工歯を作るための役割も果たします。
歯茎を慣らすという意味でも使われることがあります。
仮歯は人工歯よりも、柔らかいので、硬い食べ物を食べるのは要注意ですが、見た目には問題のないことも多いです。
治療が進むにつれで、口内の状態に合わせて、仮歯を少しずつ調整し、人工歯を作成していきます。
そのため、仮歯に違和感があったら、医師に相談しましょう。
3.インプラント「1本」にかかる治療費用
では、インプラント治療にかかる費用はどの程度でしょうか。
今回は「1本」にかかる費用について紹介します。
3-1.1本につき30〜40万が相場
前歯の場合は、審美性を高めるために、人工歯により良い素材を使うことも多く、少し相場よりも高くなることがあります。
また、顎骨が不足している場合は、費用をプラスし、骨造成を行います。
3-2.安すぎる治療費用には要注意
インプラントの治療費用は、同じ歯を失った場合の入れ歯治療やブリッジ治療などと比べると、高額になりやすいです。
その理由として、次のようなことが挙げられます。
・手術時の感染対策に費用がかかる
・インプラント体に使われる材質の質が高い
・耐久性や審美性の高い人工歯を使用している
・インプラント治療をするための技術の習得や、最新の治療法の勉強などにも費用がかかる
これらのことから、治療費が高額になることは必然的とも言えます。
それにも関わらず、1本10万など、相場から大きく離れた安価で治療を提供している医師もいます。
安価でインプラント治療をできる理由には、先ほど挙げた高額になる理由のどれかを削り、治療している可能性が高いです。
インプラント治療にはメリットがたくさんある反面、難しい治療のため少なからずリスクもあります。
治療を失敗しないためには欠かせないことを、どれか省いてインプラント治療を行うことにはリスクが伴います。
安いからといって、治療費用だけで治療する歯科医院を選ぶのではなく、安全と安心を考えて、相場に近い費用で提供している、信頼できる歯科医師のもとで治療を受けましょう。
4.適切な期間・費用は安心材料にも!長い目で見て、信頼できる医師の元での治療を
インプラントの治療期間は、治療前の状態によって異なります。
自分のケースではどのくらいかかるかは、検査してみないと分からないので、治療計画を立てる際に歯科医師に聞いてみましょう。
治療費用が高いのには理由があるので、あまりに安価で提供している場合は要注意です。
反対に、料金が相場より高いのは、良いインプラント治療であるという意味でもありません。
治療期間、費用は気になるものですが、インプラントは寿命が長いため、治療を受ける歯科医院、歯科医師とは、これからしばらくお付き合いすることになります。
長い目で見て、本当に信頼できる医師に、治療を任せるのが一番です。