- この記事の監修者
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医療法人社団「朋優会」理事長。歯科医師・インプラント専門医。国際インプラント学士会(I.C.O.I.)メンバー。米国インプラント学会(A.O.)アクティブメンバー。欧州インプラント学会(E.A.O.)メンバー。O.S.I.アドバンスドトレーニングコース 講師。
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インプラント治療をすると、歯茎が黒ずんで見えることがあるかもしれません。
審美的に歯をきれいに見せようと、インプラント治療を選択したのに、黒く見えてしまうのは気になってしまいますよね。
歯茎が黒くなるのは何が原因なのでしょうか。
今回はインプラント治療によって、歯茎が黒く見える原因や、対処法について紹介します。
目次
- 1.インプラントで歯茎が黒くなる原因
- 1-1. 原因①金属が透けて見える
- 1-1-1.歯茎に変化がある原因の多くが「インプラント周囲炎」
- 1-2. 原因②インプラントの埋入位置の不良
- 1-3. 原因③喫煙習慣
- 1-4. 原因④金属イオンの沈着
- 1-5. 原因⑤歯周病
- 2.歯茎が黒くなるのを防ぐ対処法
- 2-1.インプラント周囲炎を予防する
- 2-2.徹底したケアを行う
- 3.歯茎が黒く見える原因を把握し対処を行おう
1.インプラントで歯茎が黒くなる原因
インプラント治療をすると、歯茎が黒くなる可能性があるのなら、どのような原因が考えられるでしょうか。
1-1. 原因①金属が透けて見える
インプラント治療で金属が使われている部分は、人工歯と人工歯根をつなぐアバットメント部分と、人工歯根(インプラント体)部分です。
通常、これらの部分は歯茎の中にあるため、外から見て見える部分ではありません。
インプラントの人工歯は、セラミックやジルコニアで作られており、天然歯の色や質感とほぼ変わらないのが特徴です。
しかし、歯茎が痩せるなど、歯茎の状態が変化すると、この金属部分が透けて見えることがあります。
金属の色が歯茎に透過され、黒っぽく見えることがあるのです。
1-1-1.歯茎に変化がある原因の多くが「インプラント周囲炎」
歯茎の状態が変化すると、顎骨内に埋め込んだインプラント体の金属部分が透けて見えてしまうことがありますが、その原因の多くが「インプラント周囲炎」によるものだと言われています。
インプラント周囲炎とは、インプラントの周囲が歯周病と同じような状態になることです。
インプラント体は天然の歯根ではないため従来の歯周病にはなりませんが、歯周病と同じように細菌が歯肉とインプラント体の境目に侵入すると、歯周病のような症状を起こします。
初期段階ではインプラント周囲の歯肉から出血します。
その状態が続くと、次第に歯肉部分が腫れ、膿むことがあります。
そしてインプラント周囲炎が進行すると、歯茎が痩せ、インプラント体の金属部分が透けて見えることにつながります。
最悪の場合、インプラントが抜け落ちてしまうことも。
インプラント周囲炎は、天然歯の歯周病と同じく、最初は自覚症状がありません。
しかし、歯周病と違って完治することが非常に難しい口内の病気です。
予防するには丁寧な口腔ケアと、定期的な歯科医院でのメンテナンスが重要となります。
1-2. 原因②インプラントの埋入位置の不良
通常、人工歯根と、人工歯の人工歯根の境目のアバットメントの金属部分は、歯茎の中に埋まっている状態ですが、インプラントの埋入位置を誤った場合、人工歯と歯肉の境が黒く見えることがあります。
これは金属部分が見えているため、黒く見えている状態です。
インプラント治療は、審美的部分が優れていることで選ぶ方も多い治療法なので、この隙間が見えていることはインプラント治療の失敗とも言えます。
インプラントを再度埋め直す、再治療が必要となります。
1-3. 原因③喫煙習慣
インプラント治療が直接関係ありませんが、喫煙習慣がある場合も、歯茎が黒く見えてしまう原因として考えられます。
タバコに含まれるニコチンやタールなどから、歯茎を守るために、歯茎の表面には「メラニン色素」が作られます。
これが歯茎に沈着することで、歯茎が黒く見えるようになるのです。
歯磨きの際に強く磨きすぎるなどの行為が、色素沈着を起こしやすくするので注意しましょう。
また、タバコに含まれる一酸化炭素とニコチンは、歯茎の毛細血管を収縮させ、血流を悪くさせます。
通常、毛細血管の中の血流がスムーズだと、歯茎は綺麗なピンク色に見えます。
しかし、血流が悪くなると、黒ずんで見えてしまうのです。
喫煙によって血流が悪くなることは、インプラントの手術後、顎骨とインプラント体の結合を遅らせる原因としても考えられています。
審美的な改善を目的にインプラント治療を選択したのであれば、治療前はもちろん、治療後できる限り禁煙をし、歯も歯茎も美しく見せられるといいですね。
1-4. 原因④金属イオンの沈着
その他、歯茎が黒くなる原因として、銀歯から溶け出した金属イオンが歯茎に沈着することが挙げられます。
この現象はメタルタトゥーと呼ばれます。
昔ながらの虫歯治療に使われる銀歯に使われる金属は、唾液などの刺激によって錆びやすいのです。
インプラント治療に使われる金属は耐久性の強いチタンが多く、チタンは腐食されにくい材質です。
そのため、歯茎が黒くなったのは、インプラント治療に使われた金属が原因であるとは考えにくいでしょう。
しかし、その他の歯に銀歯治療を受けていた場合、その銀歯が原因で歯茎が黒くなることはあります。
1-5. 原因⑤歯周病
インプラント周囲炎はインプラント治療した周りの歯茎の炎症ですが、その他の天然歯は歯周病が原因で黒くなることがあります。
歯茎の内部での炎症が原因です。
さらに歯周病が進行すると、歯茎が下がるとともに血液の混じった歯石が付着し、膿んでしまうことがあります。
膿が黒ずんで見えたり、歯根が露出して黒く見えてしまったりすることがあります。
歯周病になったということは、口内の衛生状態が悪化しているということ。
インプラント周囲炎にもすでになっている可能性もあるので、すぐに歯科医院で治療を始めましょう。
2.歯茎が黒くなるのを防ぐ対処法
インプラント治療後、歯茎が黒く見えるのを防ぐためには、どのような対処法があるでしょうか。
2-1.インプラント周囲炎を予防する
インプラント治療がきっかけとなり、歯茎が黒っぽく見えるようになったと考えられる場合は、多くがインプラント周囲炎が原因だと考えられます。
インプラント周囲炎は、歯茎が黒く見えるという審美的なデメリットだけでなく、進行するとインプラントが抜け落ちる可能性もある重大な病気です。
そのため、インプラント周囲炎を限りなく予防することが、歯茎が黒く見えるのを防ぐ最大の対処法になります。
インプラント周囲炎の予防は、何より、細菌を歯茎とインプラント体の隙間に入れないようにすること。
ケアが一番大切な対処法です。
また、喫煙もインプラント周囲炎、歯周病の発症リスクを高めます。
できる限りの禁煙を心がけましょう。
その他、貧血になって酸素が欠乏すると、インプラント周囲炎を発症することがあります。
口内の健康はもちろんですが、体全体の健康を考えることも、インプラント周囲炎の予防につながります。
2-2.徹底したケアを行う
インプラント周囲炎の予防とともに、口内の衛生状態を悪くしないために、徹底したケアを行なっていきましょう。
毎日食後には必ず歯磨きを行い、またフロスなどを使って丁寧にケアをしていきましょう。
インプラント治療をした部分だけでなく、口内は全てしっかりとケアしていくことで、インプラント周囲炎になるリスクを減らせます。
自分に合った歯ブラシや歯磨き粉を選ぶことも大切です。
また、定期的に歯科医院でメンテナンスとして、クリーニングを受けるようにしましょう。
インプラントに問題がなくても、定期的なケアは大切です。
歯茎の状態もチェックしてもらいながら、クリーニングをしてもらってください。
自分のブラッシングが適切かどうかもチェックしてもらうといいですね。
3.歯茎が黒く見える原因を把握し対処を行おう
インプラント治療後に歯茎が黒く見えるようになった場合、その原因はインプラント周囲炎が原因である場合が多いです。
インプラント周囲炎になることを防ぐために、毎日の丁寧な口腔ケアは欠かさないようにしましょう。
また、インプラント治療自体が原因ではなくても、歯茎が黒ずんでくる場合もあります。
黒く見える原因を把握し、対処できるものに対しては対処し、健康的なピンク色の歯茎を保ちましょう。