口元に悩みを抱える女性にとって、インプラントは効果的な治療法です。見た目が自然である、噛む力を大幅に回復できるといったインプラントのメリットは、女性にとってうれしいものです。

この記事では、女性がインプラントにすることで起こる主な変化を紹介。さらに、女性がインプラント治療を受ける際の注意点も解説します。

インプラントによる女性にとってうれしい変化を紹介する前に、そもそもインプラントがどのような治療なのか簡単に解説します。

インプラントは、虫歯や事故などで失った歯を補い、噛む機能と見た目を回復する治療です。歯ぐきを切開してあごの骨に穴を開けて人工歯根を埋め込み、「アバットメント」と呼ばれる連結部分を取り付け、人工歯をかぶせます。

インプラント以外の歯を補う方法としては、人工歯を両隣の歯に橋のように架けるブリッジや入れ歯、部分入れ歯などがあります。

インプラントは基本的に保険適用されず、治療を受ける歯科クリニックや口の中の状態にもよりますが、1本あたり30万～40万円ほど費用がかかります。

女性 がインプラントにすると、どのようなうれしい変化が起こるのでしょうか。代表的なものを紹介します。

入れ歯を固定するための金具が気になる、入れ歯やブリッジの見た目に違和感があるといった理由で、人前で大きく口を開けるのを避ける女性も少なくありません。

美しい口元を取り戻せるのは、インプラントの大きなメリットです。インプラントはあごの骨に埋めたインプラントに人工歯を取りつけるため、天然の歯と同じく歯ぐきから歯が生えているように見え、入れ歯やブリッジと比べて自然な印象になります。

人工歯にセラミックを使用し適切な色で着色すれば、天然の歯と見た目はほぼ変わりません。そのため、人との食事や会話を気兼ねなく楽しめるでしょう。

また、自然な美しい口元を取り戻すことで、自信がつくのもメリットです。笑顔が増えたり、口紅などのメイクが楽しくなったりと、さまざまなよい影響が期待できます。

インプラントを入れると、天然の歯とほぼ変わらないレベルまで噛む機能を回復できます。

歯を失ってしっかり噛めなくなると、口元の筋肉を動かす回数が減り、表情筋肉が衰え、骨がやせてしまいます。その結果、顔にハリがなくなり、ほうれい線が深くなる・シワやたるみができるといった変化が起きてしまいます。

また、歯を失ったまま放置すると、かみ合わせに影響し、顔の骨格がゆがんでしまうかもしれません。骨格がゆがむと、シワ・たるみ・ほうれい線ができるリスクがあります。

シワ・たるみ・ほうれい線ができると実年齢より老けて見えやすいものです。インプラントによって解消できれば、若々し印象を取り戻せる可能性があります。

エチケットとして、タブレット・ガム・マウスウォッシュなどで口臭対策をしている女性も多いのではないでしょうか。

しかし、入れ歯を使っていると対策をしても口臭が気になる場合があります。実は、入れ歯には、口臭が発生しやすい条件がいくつも揃っているのです。

・汚れがたまりやすい

入れ歯をつけるためのバネやバネを固定している歯は、食かすや歯垢などの汚れがつきやすく、細菌が増えて、臭いが発生する場合があります。

・入れ歯の洗浄が不充分

入れ歯の洗浄が不充分だと汚れがたまり、細菌の増殖による臭いが発生します。

・プラスチックの入れ歯を使用している

保険適用の入れ歯は、プラスチック素材で作製します。プラスチックの入れ歯は傷がつきやすく、できた傷に汚れや細菌が付着し、口臭の原因となります。

・よく噛めない

入れ歯が合わず、しっかり噛めないと、だ液の分泌量が少なくなります。だ液には殺菌作用があるため、減少すると口の中で細菌が増え、口臭が発生しやすくなります。

もし、入れ歯を使っていて口臭が気になる場合、インプラントにすることで、これらの原因が解消され、口臭がおさまる可能性があります。

インプラント治療によって、しっかり噛めるようになると噛む回数が増え、だ液が充分に分泌するようになります。

だ液には、食べ物の消化を助ける・口の中の食べかすを洗い流す・口から身体に入る細菌の増殖を防いで免疫力を上げる・がんや老化の原因となる「活性酸素」を減らすなど、さまざまな効果があります。

インプラントを入れることで、だ液量が増え、全身の健康にもよい影響が出る可能性が高いでしょう。

特に、閉経前後の5年、およそ40代後半から50代前半までの「更年期」の女性は、ホルモンバランスの変化により、だ液の分泌が減少する傾向があります。歯を失ってしっかり噛めない場合、インプラントによるだ液量の回復が、健康にプラスになるかもしれません。

インプラントの効果で若々しくなるのは、見た目だけではありません。噛む回数が増えると、神経から脳に刺激が伝わり、脳の働きが活発になります。

実際に、噛む回数が不足すると脳への刺激が減少し、脳の委縮を引き起こし、認知症のリスクが高まるという報告があります。年齢を重ねても、頭の働きをキープしたい女性にとって、インプラントは効果的といえるでしょう。

噛む機能の低下や合わない入れ歯などが原因で、食べたものを噛み切れなかったり痛みを感じたりすると、食事を充分に楽しめません。噛む回数が少なくて済む柔らかい食材を選びがちになり、メニューに制限が出てしまう場合も多いでしょう。また、食事を楽しめなくなると料理へのモチベーションも下がってしまいます。

食べることや料理が好きな女性にとっては、非常に大きな問題です。インプラント後は、快適に食事ができ、硬い食材でも無理なく食べられるようになります。

しっかり噛める分、おいしさを感じやすいのもメリットです。食事を楽しめるようになると、料理へのやる気が出やすくなります。

身体を動かすときは、無意識のうちに歯を噛みしめて身体のバランスをとっているものです。しっかり噛めない歯だと、体幹がぐらついたり、瞬発力を発揮できなかったりします。

インプラントを入れることで、ジョギングやゴルフ、フィットネスなど、運動をより楽しめるようになるでしょう。身体を動かす習慣がつくことで、健康増進やダイエット効果も期待できます。

入れ歯の場合、食後や寝る前に外して、洗浄などのお手入れをします。歯がない状態を見られるのが嫌で、友人などとの旅行に抵抗を感じる女性も少なくありません。

インプラントであれば、天然の歯と同じように歯磨きなどのお手入れができるので、口元を気にせず快適に旅行できます。

インプラントは女性にとってうれしい効果がたくさんある治療法です。しかし、気をつけるべきポイントもいくつかあります。

女性は更年期になると、女性ホルモンの一種である「エストロゲン」の分泌が減少します。エストロゲンは、骨からカルシウムが失われるのをおさえる働きがあるため、エストロゲンの量が少なくなると、骨からカルシウムが減り、骨密度が低下してしまうのです。そのため、女性は男性よりも骨粗しょう症になりやすい傾向にあります。

あごの骨量が不充分だとインプラントを支えきれないため、骨の移植・再生が完了してから、インプラントを埋め込みます。

しかし、骨の移植や再生といった治療ができる歯科クリニックは限られています。骨の減少が始まる50代以降の女性は、インプラントをする際に、骨の移植・再生ができる歯科クリニックを選びましょう。

妊娠中のインプラント治療は、レントゲンやCTの放射線による胎児への影響・治療時の体勢が負担になる・手術時の出血による早産・麻酔薬や痛み止めの影響など、さまざまなリスクがあります。

そのため、妊娠中のインプラントは避けた方がよいでしょう。もし、治療中であれば、仮歯や入れ歯を入れ、一時的に中断するケースがあります。

妊娠を希望している場合は、インプラント治療を受けるタイミングを歯科医師と相談し、計画的に進めるとスムーズです。

インプラントを入れるタイミングで、歯を白くする「ホワイトニング」をして、美しい口元を手に入れたいという女性も多いのではないでしょうか。

しかし、インプラントとホワイトニングを同じタイミングで行う場合は、治療の順番に注意する必要があります。

ホワイトニングに使用する薬剤は、天然の歯を白くする効果はありますが、人工素材でできたインプラントには効果がありません。

インプラントで装着する人工歯は、周りの天然の歯の色に合わせて着色するため、インプラント後にホワイトニングをすると、色の違いが目立ち不自然な印象になってしまいます。

インプラントとホワイトニングを同時に行う場合は、必ず歯科クリニックに伝えるようにしましょう。

インプラントは、歯を失った女性の悩みを解消する効果的な方法です。自然な見た目、シワ・たるみ・ほうれい線の改善、口臭の改善、免疫力アップなど、多くのうれしい変化が期待できます。

しかし、骨粗しょう症の場合は骨を増やす処置が必要である、妊娠中は治療に適さない、ホワイトニングを同時にする際は順番に注意するなど、気をつけるべき点もあります。

インプラントに興味がある方は、一度歯科クリニックに相談し、治療方法・メリット・デメリットなど詳細を確認してみてはいかがでしょうか。