美容意識が高い韓国でのインプラント事情は?

松川 眞敏
松川 眞敏
この記事の監修者
医療法人社団「朋優会」理事長。歯科医師・インプラント専門医。国際インプラント学士会(I.C.O.I.)メンバー。米国インプラント学会(A.O.)アクティブメンバー。欧州インプラント学会(E.A.O.)メンバー。O.S.I.アドバンスドトレーニングコース 講師。
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韓国は文化的に美容意識が高い人が多く、コスメや美容整形などが発達しています。歯科治療にも見た目の美しさが求められるため、インプラントが非常にさかんです。

 

この記事では、韓国のインプラント事情を詳しくご紹介します。隣の国でありながらインプラント事情が日本と大きく異なり、新しい発見がたくさんあるので、ぜひチェックしてください。

目次

1.インプラントの美容面のメリットとは

インプラントは、美容面のメリットが大きい治療法です。韓国のインプラント事情を紹介する前に、主なメリットを解説します。

1‐1.歯ぐきから歯が生えているように見える

インプラントは、歯根の代わりとなるインプラント体をあごの骨に埋め込み、人工歯をかぶせて固定することで、歯を補う治療法です。

 

天然歯と同じように、歯ぐきから歯が生えているように見えるため、入れ歯やブリッジで歯を補うよりも自然な印象に仕上がります。入れ歯のように金具が見える心配がないのもメリットです。

1-2.白く美しい歯にできる

保険適用のブリッジは、治療内容によっては銀歯と同じ銀色のものしか選べません。銀色の歯が見えると、どうしても違和感が出てしまいます。

 

インプラントであれば、セラミックやジルコニアを使用し、周りの天然歯と同じような色で製作することで、自然な仕上がりになります。

1‐3.天然歯と変わらない艶や透明感を持つ人工歯をつくれる

インプラントの人工歯は、セラミックやジルコニアなど、天然の歯と同じような艶や透明感がある素材で製作するため、天然歯とほぼ見た目は変わりません。

 

保険適用の入れ歯も歯の色は白いものの、セラミックやジルコニアを使用した人工歯のような自然な見た目ではなく、やや違和感が出てしまう可能性が高いでしょう。

2.韓国のインプラント普及率は世界ランキング1位

韓国 においてインプラントは一般的な歯科治療であり、年齢を問わずインプラントを受けています。

 

インプラントの世界四大メーカーの1つ、ストローマン社が2020年に実施した調査によると、各国の成人人口10.000人あたりのインプラント手術を受けた患者の割合ランキングは、韓国が圧倒的な1位で、普及率は約10%にものぼります。2位はスペイン、3位はイタリアと欧米諸国が続きます。

 

日本は、韓国と比べるとインプラントの普及率は非常に低いのが現状です。ストローマン社の調査によると、日本の順位は14位です。

 

厚生労働省が実施した『令和4年歯科疾患実態調査』によると、歯を失って補綴物を使用している人のうち、インプラントを装着している人は3.2%です。

 

ブリッジを装着している人は32.9%、部分入れ歯を装着している人は20.1%、総入れ歯を装着している人は8.7%なので、日本では多くの人がインプラントではなく、入れ歯やブリッジを選択しているといえるでしょう。

3.日本とは全く違う!韓国のインプラント事情を詳しく解説

世界一のインプラント普及率を誇る韓国 のインプラント事情は、日本とは大きく異なります。それぞれ解説します。

3-1.韓国のインプラント費用の相場は日本の約半額

韓国のインプラント費用は日本の半額以下とも言われています。

 

また、日本ではあごの骨の欠損など特別なケースを除き、インプラントは保険適用されません。しかし、韓国では65歳以上かつ一定の条件をクリアすれば、インプラント費用の一部が保険適用になります。

 

日本では、インプラント同じく歯を補う治療である入れ歯やブリッジには保険が適用されており、治療費の目安は数千~数万円です。

 

そのため、インプラントではなく、入れ歯やブリッジを選ぶ傾向があります。

3-2.韓国はインプラントに対応した歯科クリニックが多い

韓国では、歯科クリニックの7割でインプラントを受けられるといわれています。そのため、クリニックの選択肢が多く、気軽に治療を受けやすいと考えられます。

 

インプラントを長く快適に使用するには、治療後の定期メンテナンスが必須です。インプラントを取り扱っている歯科クリニックが多ければ、定期メンテナンスに通いやすい歯科クリニックを選べるのも大きなメリットです。

 

厚生労働省が発表した『令和2(2020)年 医療施設(静態・動態)調査(確定数)・病院報告の概況 』によると、日本の歯科クリニックのうちインプラント手術を実施したのは、35.4%です。

 

このことから、日本ではインプラントを受けられる歯科クリニックの割合が、韓国の約半分くらいだと考えられます。

 

日本ではインプラントを受けられる歯科クリニックが限られており、地域によっては近くにインプラント対応可能な歯科クリニックがないケースもあるでしょう。インプラントができる歯科クリニックの少なさが、日本のインプラント普及率の低さにつながっている可能性があります。

3-3.国際的なインプラントメーカーがある

インプラントが広く普及している韓国には、世界的に有名なインプラントメーカーが複数あります。なかでも世界的に高いシェアを誇るメーカーがオステムです。

 

オステムは国際的な品質マネジメント規格を満たしており、他の世界的メーカーの長所を取り入れつつ、リーズナブルな価格である点が特徴です。

 

アジア人に適したサイズでつくられていることもあり、日本の歯科クリニックでもインプラント治療に用いられています。

 

韓国国内に世界的な有名メーカーがあるからこそ、治療費が安く、多くの人がインプラントを選んでいると考えられます。

 

日本にも京セラメディカルやプラトンジャパンといった、質が高いインプラントを製造しているメーカーがありますが、世界的メーカーと比べるとシェアが低いのが現状です。

3-4.歯の美しさを重視する文化が浸透している

韓国では、歯並びや歯の色といった歯の美しさを重視する文化が根づいています。

 

徹底的な歯磨きはもちろん、歯列矯正や歯を削ってセラミックでできた被せ物を装着する「セラミック治療」、元の歯を薄く削ってその上からオーダーメイドの人工歯をはりつける「ラミネートベニア」など、美しい歯を目指した治療がさかんに行われています。美容のためにインプラント手術を受けるハードルは低いといえるでしょう。

 

日本での歯科治療は、見た目の改善よりも歯の機能を補うためという側面が強い傾向にあります。

4.見た目の美しさだけじゃない!インプラントの主なメリット

インプ ラントは、日本ではまだまだ普及率が低く費用も高いものの、見た目の美しさ以外にもメリットの多い治療法です。

4-1.しっかり噛める

インプラントは、あごの骨に埋め込んだインプラント体と骨が結合することで、しっかり固定されます。入れ歯やブリッジと比べて噛む力が強く、天然歯とほぼ変わらないレベルまで回復します。

 

しっかり噛めるため、硬い食材や弾力のある食材も問題なく食べられ、幅広いメニューを楽しめます。

4-2.健康な歯の負担を軽減できる

ブリッジは両隣の健康な歯を削り、人工歯を橋のように架けて装着するため、両隣の歯に大きな負担がかかります。さらに入れ歯は安定性が低いため、噛む時に他の歯に負担が偏ってしまいます。

 

負担がかかることで健康な歯の寿命が短くなり、歯を早くに失ってしまう可能性があります。インプラントは、他の歯への影響が少ないため、健康な歯が長持ちしやすい治療法です。

4-3.寿命が長い

インプラントの約9割は、手術後10年以上経過しても使用できます。入れ歯の寿命は平均3~5年、ブリッジの寿命は平均約7年です。

 

インプラントはしっかりメンテナンスすれば長持ちするため、なるべく再治療をしたくない場合に適した治療法といえます。

5.美容意識が高い韓国ではインプラント治療がさかん

美容意識が高い韓国は、インプラントの普及率が世界一高く、約10%にものぼります。日本のインプラント普及率は、世界14位で3.2%と韓国よりも大幅に低いのが現状です。

 

韓国のインプラント事情の特徴としては、費用の相場が日本の半額以下・7割の歯科クリニックがインプラントに対応している・国際的なインプラントメーカーがあるなどがあげられます。

 

日本では韓国ほどインプラントが一般的ではなく、費用も高いですが、しっかり噛める・健康な歯の負担を軽減できる・寿命が長いといったメリットがあり、検討する価値がある治療法です。

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