- この記事の監修者
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医療法人社団「朋優会」理事長。歯科医師・インプラント専門医。国際インプラント学士会(I.C.O.I.)メンバー。米国インプラント学会(A.O.)アクティブメンバー。欧州インプラント学会(E.A.O.)メンバー。O.S.I.アドバンスドトレーニングコース 講師。
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インプラント治療を受けたいと考えている方にとって、どの歯科医院で治療を受けるかは重要な問題です。
最近は多くの歯科医院でインプラント治療を受けられるようになってきたので、歯科医院選びに悩むという方もいるでしょう。
インプラント以外の歯科治療にも同じことが言えますが、「治療はどこで受けても同じ」ではありません。
特にインプラントのような高度な治療の場合、治療する医師によって治療方針が異なったり、成功率に差が出てきたりすることがあります。
安心して治療を受けるには、どのようなポイントで選ぶといいでしょうか。
「この先生なら安心」と任せられる、資格などはあるのでしょうか。
今回はインプラント治療をするのに必要な資格があるかどうかと、インプラント治療を受ける際の歯科医院の選び方についてまとめました。
目次
- 1.インプラント治療に資格は必要?
- 1-1.インプラント治療は歯科医師なら誰でも可能
- 1-2.誰でもできるが高い専門性が必要な治療
- 1-2-1.インプラント治療の特徴
- 1-2-2.インプラント治療を行うために必要な知識
- 1-2-3.口腔インプラント学とは
- 2.インプラントの資格「インプラント専門医」とは
- 2-1.口腔インプラント専門医
- 2-2.その他のインプラントの資格
- 3.インプラント治療を受けるなら歯科医選びを大切に
1.インプラント治療に資格は必要?
インプラント治療を行う歯科医師は、治療のために必要な資格等はあるのでしょうか。
1-1.インプラント治療は歯科医師なら誰でも可能
インプラント治療は、特別に資格は不要です。
歯科医師免許を取得している医師であれば、誰でも治療できます。
治療の選択肢を増やすために、インプラント治療を取り入れる医師も増えてきたため、今は全国のさまざまな歯科医院で治療が受けられます。
1-2.誰でもできるが高い専門性が必要な治療
歯科医医師なら誰でもインプラント治療を行うことはできますが、一般的な歯科治療の知識に加え、高い専門性が必要とされています。
インプラント治療は、他の一般的な歯科治療と比べ、異なる点も多いためです。
1-2-1.インプラント治療の特徴
歯科治療だけでなく、さまざまな治療において、診察・検査は非常に大事な治療工程です。
インプラントの場合、この診察と検査が適切に行われなければ、ミスという軽いものでは収まらない大きなトラブルに繋がる可能性があります。
インプラント治療は外科手術を伴い、患者さんの体にも大きな負担をかけます。
精密に検査を行い、治療ができるかどうか判断し、手術をどのように進めるかを的確に医師が判断しないと、失敗のリスクが高くなることがあります。
また、治療においても高度かつ精密な治療技術が求められます。
患者さんの口腔内は1人1人異なります。
その患者さんにとってどのような治療をしていけばいいのか、検査結果から的確に治療計画を立てる力と、計画通りに治療できる技術力が求められるのがインプラント治療なのです。
1-2-2.インプラント治療を行うために必要な知識
インプラント治療においては、一般歯科やインプラントの治療に関する知識だけでなく、次のような知識が求められます。
・口腔外科
インプラント治療は、歯茎を切開し、顎骨に人工の歯根となるインプラント体を埋め込む、外科手術を行います。
適切に埋め込まないと、感染症のリスクなどもあるため、口腔外科の知識と正確に手術する技術は不可欠です。
また、顎骨の量や厚みが足りなければ、骨造成の治療も必要となります。
さまざまな症例の患者さんに対応するためには、知識と経験も必要です。
・歯周病治療
インプラント治療において、歯周病は大敵です。
歯周病は歯茎に炎症を起こし、重度になると歯槽骨まで感染が広がり、骨を溶かしてしまいます。
また、インプラント治療後も歯周病菌がインプラント周囲に増殖すると、インプラント周囲炎を起こしてしまいます。
インプラント周囲炎が進行すると、最悪埋め込んだインプラント体が抜け落ちてしまうことがあるので、進行しないように治療が必ず必要なものです。
これらのことから、歯周病治療についての知識を持ち合わせていないと、インプラント治療へのリスクが高まります。
・補綴歯科治療
補綴歯科治療とは、被せ物に関する治療のことです。
インプラント治療でも、人工歯という被せ物を行います。
適切な被せ物を作製し、調整する知識、技術力がないと、噛み合わせに大きな影響が出ます。
噛み合わせは歯に炎症を起こしたり、人工歯の破損に繋がったりするだけでなく、体の不調を引き起こしてしまうことがあります。
しっかりと知識を持った医師に治療してもらうことで、さまざまな不調のリスクが減らせます。
1-2-3.口腔インプラント学とは
近年、歯学生のカリキュラムの中に「口腔インプラント学」が加わり、インプラントの基礎を学ぶようになってきました。
しかし、全ての学生が学ぶようになったのは最近ですので、今ある歯科医院の医師は学んでいない可能性もあります。
その分、学会や勉強会などを通し、インプラント治療に関する知識や技術を学んだり、他の歯科医師の症例を確認し、知識を高めたりしている医師もいます。
2.インプラントの資格「インプラント専門医」とは
インプラント治療の知識や技術を学んでいる医師の中には、「インプラント専門医」と呼ばれる医師もいます。
歯科医院のホームページなどから、在籍する歯科医師の資格として書かれているのを見たことがある方もいるでしょう。
インプラント専門医とは具体的にどのようなものなのでしょうか。
2-1.口腔インプラント専門医
インプラント専門医と一言で言っても、インプラントに関する学会が多く、その学会により様々あります。
中でも社会法人日本口腔インプラント学会が有名で、その学会に認定された医師が「口腔インプラント専門医」として認定されます。
インプラント治療に関する知識や実績を持った医師であると、日本口腔インプラント学会が認定したという証です。
資格認定試験を受け、認められると認定証が交付されます。
試験を受けるためには、研修・講習を受けていることや、経験などの条件が求められます。
この認定の有効期間は5年と、更新制をとっているため、一度専門医や認定医となったからと言って、安心ではありません。
インプラントの知識や技術は年々進化しているので、知識もアップデートしていく必要があるからです。
2-2.その他のインプラントの資格
日本口腔インプラント学会だけでなく、他のインプラント学会がそれぞれの専門医や認定の資格認定制度を持っています。
国際的な資格としては、国際インプラント学会(ICOI)の専門医資格が有名です。
その他、インプラントメーカーが認定している資格もあります。
多くの資格があるため、資格を持っているだけで、インプラント治療の技術力が高い医師だと言えるわけではありません。
これらの資格はあくまで目安とし、治療を受ける医師を選ぶときには実際の経験症例などを確認するといいでしょう。
3.インプラント治療を受けるなら歯科医選びを大切に
インプラント治療は資格なしでも、歯科医師ならできる治療です。
しかし、経験や知識、高度な技術力が必要な治療のため、安心して治療を受けるためには歯科医師選びが大切だと言えます。
迷ったら実績を確認するといいでしょう。
インプラントは適切に治療ができれば、天然歯と変わらない噛み心地、見た目で機能回復できる優れた治療です。
満足のいく治療ができるよう、最初の歯科医師選びを大切にしましょう。