インプラントの治療機材「セラビームアフィニー」とは?

松川 眞敏
松川 眞敏
この記事の監修者
医療法人社団「朋優会」理事長。歯科医師・インプラント専門医。国際インプラント学士会(I.C.O.I.)メンバー。米国インプラント学会(A.O.)アクティブメンバー。欧州インプラント学会(E.A.O.)メンバー。O.S.I.アドバンスドトレーニングコース 講師。
https://e-implant-tokyo.com/smile-implant/

インプラント治療は、歯を失ったところに人工歯を埋める治療で、見た目はもちろん、天然歯と変わらない噛む力も回復できる、画期的な治療です。

機能的回復という点では、他の治療に勝る治療だと言われてきましたが、この噛む力はインプラント体と骨の接触率によって左右されます。

つまり、インプラント体と骨が接触する面積が広ければ、噛む力も強くなり、トラブルが少なくなるため、インプラントの寿命も長くなります。

 

このインプラントと骨の接触率を上げるために開発された機材を、「セラビームアフィニー」と言います。

インプラント治療が受けられる歯科医院なら、どこにでもある機材ではありませんが、この機材がどのようなものなのか紹介します。

目次

1.インプラント体と骨の接触率

最近は、多くの歯科医院でインプラント治療を受けられるようになってきました。

しかし、どこで治療を受けても同じ治療が受けられるわけではありません。

インプラント治療の成功は、歯科医院の設備や医師の技術力・経験などに左右されます。

さらに近年、インプラント体と骨の接触率も治療の成功に関係することが分かってきました。

そのインプラント体と骨の接触面積は、高い技術力を持つ医師でも、60%程度と言われています。

なぜ、60%程度と、中途半端な数字なのでしょうか。

1-1.インプラントは時間経過で性質が変化してしまう

実はチタンで作られたインプラント体ですが、製造直後は新鮮なチタンの形状を保っていますが、数ヶ月経つと機能が低下していきます。

もちろんインプラント治療には新品のインプラント体を使うわけですが、新品のインプラント体でも時間が経つごとに変化してしまうのです。

ある大学での研究では、インプラント体が製造されてから、1ヶ月経過後には、機能や性質が約半分までに低下しているというデータもあります。

性質が低下しているインプラント体を埋め込むと、骨との接触面積は少なくなります。

 

今現在、どうしてもインプラント体を製造してから、インプラント体を埋め込む手術をするまで、数ヶ月かかってしまうのが一般的です。

インプラント体の製造・流通のシステム上、製造直後のインプラント体を入手し、治療することは難しいからです。

その上、インプラントには製造年月日の記載がされていないため、歯科医院ではどの程度時間が経っているかもわからないことも多くあります。

 

では、この機能や性質の低下を防ぎ、製造直後の性能を保つことは無理なのでしょうか。

2. インプラントの治療機材「セラビームアフィニー」

インプラント体の機能や性質の低下が進むと、どうしても接触率が低くなり、インプラントの性能が万全な状態よりも少し劣ってしまいます。

性能が低下したインプラント体は疎水性を持つようになり、血液をはじいてしまいます。

この血液をはじいて馴染まない状態が骨内でも起こると、どうしてもその部分は骨の細胞と接着することができず、骨を作っていくことも難しいです。

 

この問題を解決するに開発されたのが、「セラビームアフィニー」という機材です。

2-1.セラビームアフィニーとは

「セラビームアフィニー」は光機能化装置で、この装置内にインプラント体をセットすると、15分程度でインプラント体が製造直後の状態にまで戻ります。

血液はインプラントに吸い寄せられ、馴染んでいきます。

この結果、骨によく馴染み、インプラント体を取り囲む骨が生成されます。

セラビームアフィニーで処理されたインプラント体と、骨の接触率はほぼ100%まで上がるとも言われています。

2-2.セラビームアフィニーのメリット

セラビームアフィニーで光機能化の処理をインプラント体へ行うことで、次のようなメリットがあります。

 

【インプラント体が骨と強く結合する】

インプラント体の機能や性質の変化により、骨との接着面積が少ないと、インプラント体が抜け落ちてしまうリスクがあります。

セラビームアフィニーで処理したインプラント体なら、接着率が上がるため、骨と結合し、抜けるリスクを軽減させられます。

確実性の高いインプラント治療を受けられます。

 

また、骨の厚みのせいで短いインプラント体しか使えない場合も、しっかりと骨と密着させられます。

通常、インプラント体が短いと、それだけ骨との接触面積が小さくなるので、抜け落ちるリスクも高くなりますが、光機能化処理したものであれば、短いインプラント体全てを接触させられます。

 

【治療期間の短縮化】

骨と接触面積が大きいことから、治療期間の短縮化にもつながることがあります。

インプラント体の周辺の細胞の増加を促進するので、結合しやすくもなります。

骨と結合するのを待つ期間は、だいたい半年程度の場合が多いですが、それよりも短くなるケースも多いです。

2-3.セラビームアフィニーのデメリット

では、セラビームアフィニーのデメリットはあるのでしょうか。

 

デメリットは今現在、ないと考えられていますが、唯一挙げられるとすれば、まだ導入している歯科医院が少ないということでしょう。

どの歯科医院でインプラント治療を受けても、セラビームアフィニーで処理した後のインプラント体を使って治療できるわけではありません。

歯科医院で導入されているかどうかは、歯科医院に問い合わせる必要があります。

2-4.セラビームアフィニーの治療費用

セラビームアフィニーを導入している歯科医院では、処理するのに特別な別料金が発生することがない医院も多いです。

ただし、インプラント治療は健康保険適用外の治療であるため、治療費に関しては、医院によっても大きく異なります。

詳しくは治療予定の歯科医院に問い合わせてみてください。

3.セラビームアフィニーで最善のインプラント治療を

インプラント体は、チタンという丈夫で生体親和性のある金属ではありますが、製造直後の機能や性質を保ち続けるのは難しいです。

その機能や性質が落ちると、骨と接触する面積が狭くなりやすいため、その性能をアップさせるのが光機能化できる「セラビームアフィニー」という機材です。

今現在ではセラビームアフィニーを導入している歯科医院は、全国的に限られていることがデメリットではありますが、セラビームアフィニーで処理したインプラント体を使うことで、治療の確実性をあげられます。

興味のある方は、導入している歯科医院での治療を検討してみてください。

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