インプラントのメンテナンスで超音波スケーラーは使用しますか?

松川 眞敏
松川 眞敏
この記事の監修者
医療法人社団「朋優会」理事長。歯科医師・インプラント専門医。国際インプラント学士会(I.C.O.I.)メンバー。米国インプラント学会(A.O.)アクティブメンバー。欧州インプラント学会(E.A.O.)メンバー。O.S.I.アドバンスドトレーニングコース 講師。
https://e-implant-tokyo.com/smile-implant/

インプラントを長く快適に使い続けるには、メンテナンスが非常に重要です。しかし、「メンテナンスで何をするのかわからない」「聞きなれない機器を使用するのが気になる」という方もたくさんいます。

 

特にメンテナンスでよく使われる「超音波スケーラー」に関しては、大がかりなイメージから、使用するのを不安に感じる方もいます。

 

この記事では、超音波スケーラーの概要など、インプラントのメンテナンスについて詳しく解説します。安心してメンテナンスを受けたい方は、ぜひ参考にしてください。

目次

1.超音波スケーラーは歯のクリーニングで使う器具

超音波スケーラーは、インプラントの定期メンテナンス時のクリーニングで使用します。ここでは、メンテナンス時のクリーニングやスケーラーについて解説します。

1‐1.メンテナンスで行うクリーニングとは

インプラントの定期メンテナンスで実施するクリーニングは、「PMTC(プロフェッショナル・メカニカル・トゥース・クリーニング)」と呼ばれます。

 

専門のトレーニングを受けた歯科医師や歯科衛生士が、清掃効果の高い研磨剤や電動ブラシといった専用の機器・薬剤を使用して行うクリーニングです。

 

口の中の衛生状態を改善することで、細菌が減り、感染リスクが低下します。

1‐2.スケーリングとは

クリーニングのなかでも、特に重要なのがスケーリングです。

 

スケーラーという専用の器具を使用して、歯の表面に付着した歯垢・歯石を取り除きます。特に歯石は、歯垢がだ液の成分と結びついたもので、石のように固くいため、歯磨きなどのセルフケアでは除去できません。そこで、歯科クリニックで定期的にスケーリングをしてもらう必要があります。

 

スケーラーは大きく分けると、手用スケーラー・超音波スケーラー・エアースケーラーの3種類があります。

1‐3.スケーラーの種類を解説

スケーリングでは、歯石のついている場所・サイズ・固さに応じてスケーラーを使い分けます。ここでは、手用スケーラー・超音波スケーラー・エアースケーラーの特徴を紹介します。

 

(1)手用スケーラー

手で動かして、一つひとつ歯石を削って取り除くためのスケーラーです。手用スケーラーには多くの種類があり、使用できる部位が異なります。

 

歯石を取り除く時の細かな感覚が手に伝わるため、小さな歯石もしっかり取り除くことができ、複雑な形をした歯根のスケーリングにも適しています。

 

ただし、いくつもの種類のスケーラーを使い分けながら手動で作業するため、時間がかかるのがデメリットです。

 

(2)超音波スケーラー

歯石を削るのではなく、超音波による衝撃によって歯石を取り除く仕組みのスケーラーです。

 

パワーが強いため、歯石が多い場合でも、短時間で効率的に除去できます。ただし、衝撃が伝わるため、痛み・不快感が出るかもしれません。

 

(3)エアースケーラー

空気による振動を利用し、歯石を取り除く機器です。超音波スケーラーよりも、振動数が少なく、患者に伝わる衝撃もソフトです。痛み・不快感が少ないため、幅広い患者に使用できます。

 

ただし、超音波スケーラーよりも効率はやや落ち、施術時間が長くなります。

2.クリーニングだけではない!インプラントのメンテナンス内容

インプラントの定期メンテナンスでは、クリーニング以外にも、さまざまな検査・処置をします。主な内容をまとめました。

2‐1.口の中のチェック

最初に歯科医師が患者の口の中を見て、診察します。インプラントとその周囲の状態はもちろん、虫歯・歯周病・歯並び・噛み合わせなど、口の中全体を入念に確認します。

 

インプラントをチェックする主なポイントは、下記の通りです。

 

・インプラント周囲の衛生状態

・歯ぐきの炎症の有無

・歯周ポケットの深さ

・インプラントのぐらつき

・人工歯をはじめとする装置の破損

 

これらのチェックをすることで、インプラントとその周囲にトラブルがないか見極められます。

 

インプラント周囲炎とは、歯ぐきなどインプラント周辺の組織に歯周病菌が感染し、炎症を起こす病気です。最初は軽い腫れ・赤みが出る程度ですが、進行すると歯ぐきやあごの骨が破壊されていきます。

 

あごの骨が減ることでインプラント体を支えきれなくなり、ぐらつくようになって、最終的には抜け落ちてしまう恐ろしい病気です。

2‐2.レントゲン検査

インプラントは、埋め込んだインプラント体とあご骨が強く結合する現象を利用し、固定する治療法です。そのため、長持ちさせるにはあごの骨の健康状態が重要です。

 

レントゲン検査を実施し、インプラント周囲炎の有無や進行状態・あごの骨の異変・あごの骨量・インプラント体とあごの骨の結合状態などを確認します。

 

さらに上あごにインプラントを入れた場合は、骨の周囲にある「上顎洞(じょうがくどう)」と呼ばれる空洞に細菌感染が起こるリスクがあるため、レントゲンで炎症の有無を確認しなければいけません。

2‐3.歯磨き指導

歯垢・歯石が溜まるのを防ぐには、毎日のセルフケアの質を高めることが大切です。プロによる歯磨き指導を受けることで、歯並び・利き手・磨き方に合わせた正しいブラッシングを身に着けられます。歯垢や歯石が溜まりやすい場所を教えてもらい、より効率的に歯を磨きましょう。

 

また、歯ブラシ・歯磨き粉・デンタルフロスなどのケアアイテムの紹介もしてもらえます。

3.歯科クリニックでのメンテナンスの費用と通院ペースについて

「メンテナンスにいくらかかるの?」「どのくらいのペースで通うべき?」と疑問を持つ方向けに、費用と通院ペースについて解説します。

3‐1.費用

インプラントは基本的に自費診療なので、メンテナンス費用も全額自己負担です。

 

メンテナンス費用はクリニックによって異なりますが、1回あたり3,000~10,000円が相場です。メンテナンス内容が手厚い場合など、さらに費用がかかるケースもあります。インプラント治療を受ける際に、合わせて費用を確認しておきましょう。

 

また、メンテナンス費用も含めインプラント関連の費用は、基本的に医療費控除を受けられます。医療費控除とは、一年間で一定基準を超えた医療費を支払った場合に所得から引くことで、所得税・住民税を軽減できる制度です。

 

インプラントにかかる費用を節約したい方は、ぜひチェックしておきましょう。

3‐2.ペース

インプラントのメンテナンスに通うペースは、手術から1年以内は3カ月に1度、それ以降は年に2~3回が目安です。ひんぱんではないもののずっと通い続ける必要があるため、歯科クリニック選びの際は、アクセスや診療時間など通いやすさもチェックしましょう。

4.インプラントのメンテナンスをしないとどうなるの?

インプラントの定期メンテナンスには、費用と時間がかかります。しかし、メンテナンスをしないと、下記のようなデメリットが発生するので、必ず受けるようにしましょう。

4‐1.インプラント周囲炎になる

インプラントのメンテナンスをしないと、細菌を多く含む歯垢・歯石が溜まり、インプラント周囲炎のリスクが高まります。

 

インプラント周囲炎は歯周病菌と良く似た病気ですが、進行スピードが非常に早く、気がついた時にはあごの骨の破壊が進んでいる場合が少なくありません。そのため、インプラントが使えなくなる主な原因のひとつといわれています。

 

定期メンテナンスを受けることで、インプラント周囲炎が発症したとしても早期発見・早期治療でき、インプラントを長持ちさせられます。

4‐2.噛み合わせが乱れる

インプラント手術の直後は適切な歯並びであったとしても時間の経過に伴い、口の動かし方の癖・装置の経年劣化・あごの骨の減少などによって、バランスが変化します。

 

噛み合わせが乱れると、十分に噛めないため消化しにくくなり胃腸に負担がかかる・顔の歪みが出る・顎関節症のリスクが高まるなどのデメリットがあります。

 

また、過度にインプラントに負担がかかって破損する可能性もあるので、注意が必要です。定期メンテナンスで噛み合わせをチェックすることで、大きなトラブルが起きる前に、インプラントの調整などの対策ができます。

4‐3.インプラントの不具合が起きる

長年インプラントを使い続けていると、噛む力によるダメージが蓄積しインプラントに不具合が起きる可能性があります。

 

特に歯ぎしりや食いしばりといった噛み癖がある場合、インプラントに大きな負荷がかかり続けることで、人工歯とインプラントを固定するネジがゆるむ・人工歯がすり減るといったトラブルが発生します。

 

定期メンテナンスでチェックすることで、異変にすぐ気がつき、対処できます。

 

具体的な対処法は、ネジの締め直し・パーツの交換・ナイトガードの作成などです。ナイトガードは、就寝中に装着するマウスピースのことで、寝ている間にかかる歯ぎしりなどによる噛む力からインプラントを守る機能があります。

4‐4.保証制度を利用できない

保証制度とは、治療から一定期間の間、再治療や部品の交換を無料または一部のみの自己負担で受けられる制度です。保証内容や保証期間は、歯科クリニック・インプラントメーカーごとに異なりますが、保証期間は5~10年が一般的です。

 

ほとんどの場合、保証制度を利用するには「医師の指示通りに定期メンテナンスに通っていること」という条件が設けられています。

 

メンテナンスに行かないと保証が受けられなくなり、再治療や部品の交換が全額自己負担となる可能性があります。

5.インプラントを長持ちさせるには定期メンテナンスが重要!

インプラントの定期メンテナンスのなかでも、特に重要なのがスケーリングをはじめとする歯のクリーニングです。スケーリングでは、スケーラーと呼ばれる器具を使って、歯石を取り除きます。

 

スケーラーには、手用スケーラー・超音波スケーラー・エアースケーラーの3種類があり、状況に応じて使い分けます。

 

定期メンテナンスで実施するクリーニング以外の項目は、口の中のチェック・レントゲン検査・歯磨き指導などです。

 

メンテナンスをしっかり受けることで、インプラント周囲炎・噛み合わせの乱れ・インプラントの不具合などを防げます。さらに、万が一トラブルが起きた場合も保証制度を利用して、無料または低価格で再治療・修理ができます。

 

インプラントを長持ちさせるために、メンテナンスは必ず受けましょう。

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