お金がないけど、インプラントできますか?

松川 眞敏
松川 眞敏
この記事の監修者
医療法人社団「朋優会」理事長。歯科医師・インプラント専門医。国際インプラント学士会(I.C.O.I.)メンバー。米国インプラント学会(A.O.)アクティブメンバー。欧州インプラント学会(E.A.O.)メンバー。O.S.I.アドバンスドトレーニングコース 講師。
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歯を失うと、食事・会話・見た目に大きな影響があります。そのため、なるべく早めに歯を補う治療を受けることが大切です。

 

インプラントは、失った歯の機能・見た目を回復する効果的な治療方法です。しかし費用が高いため、金銭面がネックとなり治療をためらっている方も多いのではないでしょうか?

 

この記事では、お金がなくてもインプラント治療が受けられる方法や注意点について詳しく解説します。

目次

1.インプラントにかかる費用の目安

インプラントは、あごの骨に穴を開け、歯根の代わりとなるインプラント体を埋め込んで、上から人工歯を装着して歯を補う治療法です。

 

天然歯とほぼ変わらないレベルまで、噛む力や見た目を回復できます。さらに、手術から10年以上経っても90%以上が使用でき、寿命が長い点もメリットです。

 

しかし、保険が適用されない自由診療なので、治療費は全額自己負担になります。さらに、治療を受ける歯科クリニックによっても金額が異なります。

 

インプラント費用の相場は。1本あたり30万~40万円といわれています。特に複数の歯を失っている場合は、3本であれば最低90万円、5本であれば最低150万円と、かなり高額な費用がかかるでしょう。

 

あごの骨量が少なく骨移植など骨量を増やす処置が必要な場合や、歯周病の治療が必要な場合などは、追加で費用がかかります。

 

インプラント費用が高額な主な理由は、専門性の高い歯科医師による手術が必要である・チタンなど高品質・高額な素材を使用する・CT撮影など精密な検査が必要であるなどです。

2.インプラントを安く受ける方法

ここでは、インプラントにかかる費用そのものを軽減する方法を紹介します。

2-1. 複数の歯科クリニックの見積もりを比較する

インプラントは自由診療のため、治療内容や治療費は歯科クリニックが自由に設定できます。全く同じ治療内容であっても、費用が異なる場合も少なくありません。複数の歯科クリニックから見積もりをとることで、費用負担をおさえられるクリニックが見つかる可能性があります。

 

ただし、ある歯科クリニックではインプラント費用の範囲内で受けられる検査・処置が、他のクリニックでは追加費用がかかるといったケースもあります。また、手術後の定期メンテナンス費用も、クリニックによって異なります。

 

見積もりを比較するときは、定期メンテナンスを含む治療費の総額を確認しましょう。

2-2. オールオン4やオーバーデンチャーで治療する

失った歯の本数が多い場合は、オールオン4やオーバーデンチャーで治療することにより、インプラントを入れる本数が少なくなり、治療費をおさえられる可能性があります。費用面だけではなく、手術による負担が少ないのも大きなメリットです。

 

オールオン4は、4〜6本のインプラント体で、上あごまたは下あごの全体の人工歯を支える治療法です。前歯から奥歯までつながった人工歯をつくり、インプラント体に固定します。

 

費用の相場は片あごあたり200万〜300万円です。通常のインプラントにはやや劣りますが、機能や見た目を大きく回復できます。

 

オーバーデンチャーは、片あごあたり2〜6本のインプラント体と残っている天然歯で入れ歯を支える治療法です。インプラント体に突起を取りつけて、入れ歯を固定します。

 

費用は片あごあたり50万〜150万円が相場で、多くの歯を失っている場合、大幅に費用を節約できます。ただし、通常のインプラント治療やオールオン4と比べ、噛む力が弱く、見た目の違和感が出やすい点がデメリットです。しかし、一般的な入れ歯と比べると、見た目も噛む機能も大幅に回復できます。

 

オールオン4やオーバーデンチャーは、インプラントを入れる本数が少ないため、一般的なインプラント治療では骨を増やす処置が必要な症例でも対応できる可能性があります。骨を増やす処置が不要になれば、さらに節約になります。

 

ただし、一般的なインプラントよりも高度な技術が必要となるため、対応できる歯科クリニックを見つけにくいかもしれません。

2-3. ブリッジや部分入れ歯と組み合わせて治療する

自由診療の場合、ブリッジの治療費は8万〜15万円程度、部分入れ歯の治療費は20万円程度です。

 

前歯など目立つ部分はインプラントを入れ、奥歯はブリッジや部分入れ歯を使用するといったように、組み合わせて治療することで、全ての歯をインプラントで補うよりも治療費をおさえられます。

 

ただし、インプラントよりも噛む力が弱くなる・寿命が短い・対応できる歯科クリニックが少ないなどデメリットもあるので、歯科医師とよく相談しましょう。

2-4.保険診療で治療する

インプラントは基本的に自由診療です。しかし、先天性の病気や後天性の病気、事故などで広い範囲にわたりあごの骨が欠損している場合などは、保険が適用され3割負担で治療が受けられます。ただし、虫歯や歯周病などで歯やあごの骨を失った場合は適用されません。

 

適用できる症例が限定されているのに加え、入院施設のある病院など一部の医療機関でしか保険診療を行えません。

 

まずはかかりつけの歯科クリニックで、保険治療で治療を受けたい旨を相談してみましょう。

3.インプラント費用の支払いによる負担を軽減する方法

インプラントでは、治療時に100万円以上の支払いが発生する場合も少なくありません。ここでは、支払いの負担を軽くする方法を紹介します。

3-1.デンタルローンを利用する

デンタルローンとは、インプラントなど歯科治療の費用を分割払いできるローンのことです。

 

利用目的を歯科治療に限定しているため、金利の相場は3%〜8%と低めです。一般的なフリーローンの金利の相場は5〜15%、クレジットカードの金利の相場が15%前後なので、返済総額に大きな差が出ます。

 

ただし、金利を支払う必要があるため、一括払いをするよりトータルの支払額は多くなります。

 

また、デンタルローンを利用できない歯科クリニックがある・審査結果によってはローンを利用できないといったデメリットにも注意しましょう。

3-2.フリーローンを利用する

フリーローンとは、金融機関で取り扱っている、使用目的を限定せずに使えるローンのことです。インプラントを受ける歯科クリニックでデンタルローンを取り扱っていなくても、利用できます。

 

ただし、デンタルローンよりも金利が高く、審査結果によっては借り入れができない可能性があります。

3-3.クレジットカードを利用する

クレジットカードで分割払いをするのも、治療時の費用負担を軽減する方法のひとつです。歯科クリニックにもよりますが、分割払いだけではなく、ボーナス払いもできるので、柔軟な支払い方ができます。

 

少し後のタイミングであれば治療費を全額支払える場合、一括払いにすることで金利を払うことなく、早期に治療を受けられます。

 

クレジットカードを使用するメリットは、支払いのタイミングを調整できることだけではありません。ポイントが還元されるため、実質的な負担金額を減らすことができます。

 

インプラント費用は高額なため、還元されるポイントも多いので、還元率の高いクレジットカードを使用するなど、上手に活用しましょう。

 

ただし、分割払い・ボーナス払いをする場合は、ローンと同じく金利がかかります。

 

歯科クリニックによっては、クレジットカードを使えない場合もあるため。事前に支払い方法をチェックしておくとスムーズです。

3-4.医療費控除をする

失った歯の機能を補う目的でインプラント治療をした場合、医療費控除を受けられます。医療費控除とは、確定申告をすることで1年間に支払った医療費を所得から引き算できる制度です。対象期間は、該当する年の1月1日から12月31日までです。

 

所得税や住民税は所得金額によって決まるので、医療費控除によって所得額が少なくなれば、税金の支払額を減らすことができます。

 

医療費控除の対象となる費用は、検査や手術などのインプラント治療費・処方された医薬品の費用・通院のためにバスや電車などの公共交通機関を利用した場合の交通費などです。

 

また、クレジットカードやデンタルローンで支払った費用も申告できます。ただし、金利・手数料は、医療費控除の対象外となるので要注意です。

 

医療費控除を受けるには領収書が必要なので、必ず保管しておきましょう。

4.お金がないときにインプラントを受ける際の注意点

治療費の節約や支払いの負担を軽減することにばかり意識が向くと、思わぬ失敗をしてしまう可能性があります。特に注意すべきポイントを2つ紹介します。

4-1.値段だけで歯科クリニックを選ばない

費用の節約のために、1本あたり10万円前後の格安インプラントを受けるのはおすすめしません。粗悪な素材のインプラントを使っていたり、必要な検査・メンテナンスを省略したりと、治療の質が低い場合が多いからです。

 

インプラントの脱落などのトラブルが起きやすく、再治療が必要となり、その分トータルの費用が高くなる可能性があります。

 

インプラントは適切な治療・メンテナンスを受ければ、20〜30年使い続けられます。安さだけにとらわれず、長い目で見て治療法を検討しましょう。

4-2.ローンやクレジットカードは計画的に利用する

支払いの負担を減らすために、必要以上にローンやクレジットカードを利用すると、後から返済に苦労するかもしれません。また、借りる金額が多いほど金利も大きくなります。

 

自分でできるだけ費用を用意して、どうしても足りない分だけを借りるようにするのがおすすめです。ローンのシミュレーション機能を使って、予め返済計画を立てておくのもよいでしょう。

 

また、余裕のあるときに予定よりも早く返済し、少しでも支払う金利を少なくするのも大切です。

5.お金がなくてもインプラントを受けられる可能性はある!

インプラントは、1本あたり30万〜40万円と高額な治療法ですが、お金がなくても受けられる可能性は十分にあります。

 

複数の歯科クリニックの見積もりを比較する・オールオン4やオーバーデンチャーで治療する・ブリッジや部分入れ歯と組み合わせて治療するなどの方法が効果的です。

 

また、デンタルローン・フリーローン・クレジットカードを利用する、医療費控除をするといった方法で、支払いを軽減できます。

 

ただし、費用だけで歯科クリニックを選んだり、無計画に借り入れしたりしないよう、注意が必要です。

 

インプラントは、歯の機能と見た目を大幅に回復でき、費用が高くても受ける価値のある治療法です。歯科医師と相談し、限られた費用のなかでベストな治療法を見つけましょう。

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