
- この記事の監修者
- 医療法人社団「朋優会」理事長。歯科医師・インプラント専門医。国際インプラント学士会(I.C.O.I.)メンバー。米国インプラント学会(A.O.)アクティブメンバー。欧州インプラント学会(E.A.O.)メンバー。O.S.I.アドバンスドトレーニングコース 講師。
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インプラントは、失った歯の機能や見た目を大きく回復できる治療法です。しかし、治療期間の長さが気になり、治療をためらっている方も多いのではないでしょうか。
「ワンデイインプラント」であれば、1日で仮歯を入れられます。
この記事では、ワンデイインプラントの概要やメリット・デメリットなどを解説します。「1日も早く歯を入れたい」という方は、ぜひ参考にしてください。
目次
- 1.ワンデイインプラントとは
- 1-1.ワンデイインプラントの概要
- 1-2.従来のインプラントとの違い
- 1-3.ワンデイインプラントの安全性
- 2.ワンデイインプラントのメリット
- 2-1.治療期間を短縮できる
- 2-2.手術の負担を軽減できる
- 2-3.通院の負担を軽減できる
- 2-4.治療費が安くなる場合がある
- 3.ワンデイインプラントのデメリット
- 3-1.適用できない場合がある
- 3-2.対応可能な歯科クリニックが限られている
- 3-3.治療時間が長い
- 3-4.リスクがある
- 4.ワンデイインプラント後の注意点
- 4-1.手術後は負担を避ける
- 4-2.定期メンテナンスを受ける
- 4-3.セルフケアをしっかりする
- 4-4.禁煙する
- 5.ワンデイインプラントなら1日で治療が完了!経験豊富な歯科クリニックを選ぼう
1.ワンデイインプラントとは
最初にワンデイインプラントの概要や従来のインプラントとの違い、安全性について解説します。
1-1.ワンデイインプラントの概要

ワンデイインプラントとは、抜歯からインプラント体の埋入、さらに仮歯の装着までを1日で行うインプラントです。
抜歯してすぐに空いたスペースにインプラント体を埋め込む「抜歯即時埋入(ばっしそくじまいにゅう)」、インプラント体を入れてから48時間以内に仮歯をとりつける「即時荷重(そくじかじゅう)」といった治療法を活用しています。
歯を多く失っている場合は、片あごに4~6本のインプラント体を埋め込み、10~14本の歯を支えて補います。
ワンデイインプラントができるようになった背景には、歯科用CTなどによって精密な診療ができるようになったこと、インプラントが進化して骨との結合がスムーズになったことなどがあります。
1-2.従来のインプラントとの違い

従来のインプラント治療は、抜歯をしてから傷が治るまで2~3ヶ月ほど待ち、インプラントを埋め込む手術を実施。その後、インプラント体とあごの骨がある程度結合するのを3カ月~半年ほど待ってから再手術をして、アバットメントと呼ばれる器具を取り付けます。アバットメントを取り付けて1~2週間ほど経過して状態が安定してから、仮歯を装着。再手術から約2ヶ月経過し、傷口が安定したら、最終的なかぶせものである人工歯をアバットメントに固定して、治療完了という流れです。
このように、一般的なインプラント治療では、仮歯を入れるまである程度の待機期間が必要です。多くのケースではインプラント体を埋め込む手術から約2週間で抜糸でき、仮歯を入れられます。ただし歯がない状態の間、食事・会話・見た目など日常生活に支障が出てしまいます。
ワンデイインプラントであれば、仮歯をその日のうちに入れられます。
1-3.ワンデイインプラントの安全性

ワンデイインプラントは、これまでのインプラントよりも大幅に短い期間で仮歯を入れられるため「本当に安全なの?」と不安になるかもしれません。
しかし、ワンデイインプラントは2000年代から普及し始め、すでに多くの患者に実施されている治療法です。今では治療から年月が経過している患者も多いですが、噛む・話すといった機能面に支障があるという報告はなく、安全性は高いといえるでしょう。
2.ワンデイインプラントのメリット

ワンデイインプラントの主なメリットを紹介します。
2-1.治療期間を短縮できる

これまでのインプラント治療では、仮歯を入れるまでに数カ月間かかるのが一般的でした。しかし、ワンデイインプラントであれば、最短1日で仮歯を入れられます。
人工歯ほどではありませんが、失った歯の機能や見た目を回復できるため、日常生活への影響を最小限におさえられます。
特に前歯など目立つ場所の治療では、見た目の問題がすぐに解決でき、患者のストレスを大幅に軽減できます。
2-2.手術の負担を軽減できる

手術の回数が多くなるほど、患者の心身の負担は大きくなります。インプラント手術は安全性の高い手術ですが、それでも手術後には腫れや痛みが出ます。また外科手術を受けるにあたっての恐怖やストレスも、手術のたびに感じることになります。
ワンデイインプラントであれば、1回の手術で治療できるため、負担を大幅に軽減できます。
2-3.通院の負担を軽減できる

手術回数が多くなるほど、通院回数も多くなります。特に遠方の患者や仕事などで多忙な人にとって、通院の負担は大きいものです。
ワンデイインプラントは1回で治療が終わるので、通院の負担が気になる患者にとって、大きなメリットがあります。
2-4.治療費が安くなる場合がある

ワンデイインプラントの費用相場は、1本あたり30万~60万円です。一般的なインプラントは、1本あたり30万~40万円なので、ワンデイインプラントの方がやや高めです。
しかし、ワンデイインプラントは少ないインプラント体で多くの人工歯を支えられます。そのため、失った歯の本数が多い場合は、一般的なインプラントよりも費用をおさえられる可能性があります。
また、通院回数が少ない分、交通費の節約にもなります。
ただし、ワンデイインプラントを含め、インプラントは基本的に保険適用にはなりません。全額自己負担で歯科クリニックによって費用は異なります。事前に見積もりをもらい、費用を確認しましょう。
3.ワンデイインプラントのデメリット

ワンデイインプラントには、治療期間の短縮など多くのメリットがあります。しかし、気をつけるべきデメリットもあるので、代表的なものを紹介します。
3-1.適用できない場合がある

あごの骨量・高さ・幅が不十分であったり骨質がもろかったりする場合は、ワンデイインプラントでは治療できないかもしれません。
特に糖尿病などの持病がある場合や喫煙習慣がある場合は、骨がもろく免疫力も低下している為、ワンデイインプラントに適さないケースがあります。
まずは歯科医師と相談して、ワンデイインプラントができるか確認しましょう。
3-2.対応可能な歯科クリニックが限られている

ワンデイインプラントを成功させるには、優れた技術・経験を持つ歯科医師と、最先端の機器をはじめとする充実した治療環境が不可欠です。
しかし、2000年代くらいから普及し始めたまだ新しい治療法のため、経験豊富な歯科医師が在籍し、十分な設備を備えた歯科クリニックは限られています。
ワンデイインプラントに対応していない歯科クリニックも多いので、病院探しに苦労するかもしれません。
次のような条件を満たしている歯科クリニックであれば、ワンデイインプラントを受けられる可能性が高いので、ホームページなどでチェックしましょう。
・インプラント認定医の資格を持っている
・インプラント学会に所属している
・ワンデイインプラントの症例実績を公開している
3-3.治療時間が長い

ワンデイインプラントでは、通常何回かにわけて行う、抜歯・インプラント体の埋め込み・仮歯の装着を一度に行うため、治療時間が長くなります。治療時間の安は8~10時間で、丸1日かかります。
一般的なインプラントの手術時間は1本あたり30分が目安なので、大幅に治療時間が長くなるため、注意が必要です。
適度に休憩をはさみながら治療を進めますが、体力的に心配な場合は、歯科医師とよく相談しましょう。
3-4.リスクがある

これまでのインプラントと同じく、ワンデイインプラントにも、外科手術による痛み・腫れ、血管損傷などのリスクがあります。
また、骨との結合を待たずに仮歯を入れて噛む力をかけるため、場合によっては骨との結合が不十分になるかもしれません。
4.ワンデイインプラント後の注意点

ワンデイインプラントは、すぐに歯を補いたい場合に非常に効果的な方法です。しかし治療の難易度が高いため、通常のインプラント以上に、治療後の過ごし方に注意が必要です。
4-1.手術後は負担を避ける

手術した場所は、非常にデリケートな状態です。仮歯が入っているとはいえ、過度な負担をかけると、インプラントが抜け落ちるなどのトラブルの原因となります。歯科医師からの指示を守り、負担を避けましょう。
特に手術から数日間は、おかゆ・うどん・ゼリーといった柔らかい食事を心がけ、せんべいなどの硬いものや刺激物、アルコールなどは控えましょう。
また、運動やサウナなど血行を促進する行動も、痛み・腫れを悪化させるため、手術直後は避けてください。
4-2.定期メンテナンスを受ける

ワンデイインプラントの治療そのものは1日で終わりますが、その後も歯科クリニックでの定期メンテナンスは必須です。
定期メンテナンスでは、口の中やインプラントのチェック・クリーニング・噛み合わせどの調整などを行います。
定期メンテナンスに通うことで、異変があっても早期に発見・対応できます。さらにクリーニングによって口の中を清潔に保つことで、インプラントが使えなくなる主な原因のひとつであるインプラント周囲炎などのトラブルを防げます。
4-3.セルフケアをしっかりする

定期メンテナンスでのクリーニングだけでは、口の中の状態を良好に保つことはできません。日々のメンテナンスをしっかり行いましょう。
正しい方法で歯磨きをして、汚れをしっかり落とすことが大切です。ブラッシング時は歯ブラシを歯に45度の角度であて、小刻みに動かします。
定期メンテナンス時に歯磨き指導を受け、正しいブラッシングを身につけるとよりきれいな状態を保てます。
デンタルフロスや歯間ブラシなどを使い、通常の歯磨きでは落としにくい汚れを取り除くのも効果的です。
4-4.禁煙する

タバコには、ニコチンなどの有害物質が含まれています。ニコチンには血行を妨げる作用があるため、喫煙すると歯ぐきや骨に十分な酸素・栄養が行き届きにくくなります。
その結果、インプラント体とあごの骨の結合が遅くなる・傷口の治りが遅くなる・免疫力が低下して細菌感染しやすくなるなどの悪影響を及ぼします。
特にワンデイインプラントは一度に仮歯の装着まで行うため、インプラント体とあごの骨の結合に失敗したり細菌感染したりするリスクは、一般的なインプラントよりもやや高めです。
治療を受けると決めた時点で、できるだけ禁煙するようにしましょう。
5.ワンデイインプラントなら1日で治療が完了!経験豊富な歯科クリニックを選ぼう

ワンデイインプラントは、たった1日で仮歯を入れられる画期的な治療です。歯のない期間がほぼないため、日常生活への影響を最小限におさえられます。
治療期間を短縮できる・手術の負担を軽減できるなどメリットが多い治療法ですが、適用できない場合がある・対応可能な歯科クリニックが限られているなどのデメリットもあります。
また、治療の難易度が高いため、一般的なインプラント以上に手術後の過ごし方や定期メンテナンスなどに注意が必要です。
治療を受ける場合は、ワンデイインプラントの経験が豊富でスキルの高い歯科医師が在籍し、設備が充実している歯科クリニックを選びましょう。









