【抜歯と宣告された方へ】精密根管治療で歯を残すことができる

松川 眞敏
松川 眞敏
この記事の監修者
医療法人社団「朋優会」理事長。歯科医師・インプラント専門医。国際インプラント学士会(I.C.O.I.)メンバー。米国インプラント学会(A.O.)アクティブメンバー。欧州インプラント学会(E.A.O.)メンバー。O.S.I.アドバンスドトレーニングコース 講師。
https://e-implant-tokyo.com/smile-implant/

一度抜いた歯は、元には戻りません。

抜歯と宣告されても、自分の歯を抜くのに抵抗があり、できれば残したいですよね。

 

精密根管治療は、抜歯を避けて歯を残す最後の治療法といっても過言ではありません。

 

とはいえ、抜歯が必要と言われてしまった方にとっては、「また、長い期間がかかる治療?」「本当に成功するの?」と不安に思っているでしょう。

 

そこで今回は、精密根管治療について詳しく解説していきます。

 

・虫歯を放置していて、抜歯と言われた

・以前、根管治療をしている歯が抜歯と言われた

 

といった方は、ぜひこの記事を参考にしてください。

目次

1 どうして精密根管治療は歯を残せるのか?

精密根管治療は、どうして抜歯を回避できる確率が高い治療法なのでしょうか?

 

それは、一般的な治療の問題をクリアしているからです。

 

ここでの一般的な治療とは、保険治療です。

例えば、保険の根管治療で1回の処置が、10分で終わった経験がありませんか?

 

他にも1回の治療時間は短いのに、数ヶ月も根管治療をしている方も少なくありません。

 

どうして、このような治療になってしまうのかは、保険治療という制度に問題があるからです。

 

保険治療は、国民が等しく受けられる制度で、使用する材料や時間などが厳しく国によって定められています。

 

1回の治療で進められる工程や使用できる材料が限定されているため、1回の治療時間が短く、期間が長くなる治療になりがちです。

 

また、決められた範囲内でしか治療ができないので、不十分な状態で治療を終えてしまう恐れがあります。

 

一方で精密根管治療は、自費診療です。

 

自費治療は、時間や材料、費用に制限がなく幅広い治療の選択ができます。

 

また、自費治療では、抜歯と宣告された歯でも正確に状態を見極め、時間をかけて適切な処置ができるため、歯を残せる可能性が高くなります。

2 一般的な根管治療の問題点と精密根管治療

一般的な根管治療では、次のようなトラブルが起きやすく抜歯のリスクを高めてしまいます。

 

しかし、精密根管治療は、その問題を解決して歯を残せる確率が高くなります。

2−1:問題点1 痛みや腫れの原因を正確に特定できていない

以前、根管治療をした歯が、痛んだり腫れたりする場合があります。

 

その場合には、神経が通っていた管(くだ)の中に細菌を取り残したのが原因で、細菌繁殖している可能性があります。

 

保険治療では、レントゲン撮影だけで原因を判断していきます。

 

レントゲンは、平面的にしか撮影できません。

また、撮影の角度によっては、歯の周辺がぼやけて鮮明に確認するのが難しく、曖昧な診断になってしまいやすいです。

 

しかし、精密根管治療では、複雑な根管の数や状態を確認するためにCT撮影をするのが基本です。

 

CTは、一方方向の画像だけでなく、歯や周辺の組織を360°から確認できる機器です。

 

CTは肉眼やレントゲンでは、把握できない隠れた部分を写しだして、痛みや腫れの原因を特定でき治療不足や治療誤差をなくすのに欠かせない検査になります。

 

他にもCTでは、重症化した時にしかレントゲンに写らない病巣(細菌が根の先に作る住処)を早期に発見できます。

 

そのため、早期に対処ができ歯の寿命を延ばすことに繋がります。

2−2:問題点2 症状が改善しない

根管治療を完了している歯なのに、痛みが続いて、一向に症状が改善しないときがあります。

 

一般的な根管治療では、肉眼で処置を行っているケースが多く、数ミリしかない歯の穴を覗いても根の先は見えません。

 

肉眼で根管治療を行う場合には、レントゲンや手の感覚で菅の中をキレイにしていきます。

 

その場合は、歯科医師の経験に頼る部分がほとんどで、根管内に細菌を取り残しやすく、痛みや腫れるといった症状が改善しにくいのが現状です。

 

一方、精密根管治療は、マイクロスコープを使用します。

 

マイクロスコープは、歯科用の顕微鏡のことで肉眼に比べて視野を4倍〜20倍に拡大した状態で治療可能です。

 

根管内は、暗くて根の先になるほど細くなっている状態です。

 

マイクロスコープでは、専用のライトで根の中を照らして、鮮明な画像を見ながら細菌を除去していきます。

 

根管内が鮮明に見えるので、細菌の取り残しが少なく確実性が増します。

 

また、肉眼では見つけられない、根のひび割れや穴を確認でき適切な処置ができるため、正確な治療が可能です。

2−3:問題点3 根管治療した歯が再発した

口の中には、数多くの細菌がいます。

 

歯垢(歯に付く汚れで細菌の塊)や歯茎の中、唾液などさまざまなところに細菌は存在しています。

 

一般的な根管治療では、歯の中に唾液が入りやすい状態で処置をしていて、多くの細菌が根管内に入ってしまいます。

 

そうなると、治療をしても根幹内がきれいにならず新たに細菌感染を引き起こします。

その結果、治療期間が長引いたり、治療した歯が再発したりするようになります。

 

一方、精密根管治療では、虫歯や被せ物を削る段階でラバーダムを使用していきます。

 

ラバーダムは、口の上にゴムのシートをひいて、治療する歯だけを露出させる方法です。

 

ラバーダム防湿とも呼ばれています。

 

ラバーダムをすることで、唾液や滲出液(歯茎から出る液)が根管内に入るのを防いで、細菌感染した部分を確実に除去できます。

 

そのため、根管内が無菌に近い状態で治療を終了でき、再発するリスクが低いです。

2−4:問題点4 以前治療した歯に穴が空いている

根管の細菌感染している部分を除去していると、穴が空いてしまうときがあります。

 

例えば、3つの根管があるうち、1つだけが曲がっている形になっている場合があります。

 

一般的な根管治療で細菌を除去するときに使用するファイルは、ステンレスの素材でできていて、硬くて大きく削れるのが特徴です。

 

ステンレスファイルは、湾曲している根管に適応できず穴を空けてしまう可能性があります。

 

また、一般的な根管治療は、レントゲンや歯科医師の感覚で治療を進めていきます。

 

穴が空いたことに気づかないまま治療を完了してしまうと、穴から細菌感染を引き起こして再発するリスクが高いです。

 

さらに、ステンレスファイルは消毒して再度使うケースが多く、だんだん刃の切れ味や耐久性が弱くなり治療中に根管内で折れる事故が起きやすいです。

 

精密根管治療では、Ni-Tiファイル、通称ニッケルチタンファイルを使用しています。

 

ニッケルチタンファイルは、曲がった根に沿って細菌を除去していくため、歯を傷つけない優しい治療が可能です。

 

他にもニッケルチタンファイルは、刃の質が衰えることがなく細菌を効率的に除去できます。

2−5:問題点5 根管治療後のリスクが高い

一般的な根管治療の1回の診療時間は、約30分が基本です。

 

短い時間で治療を進めていくので、通院回数が増えて、治療期間がどんどん延びやすいです。

 

根管治療は、治療が長引くほど、痛みや腫れなどの症状が出やすく、再発する可能性が高くなり治療の成功率も下がってしまいます。

 

また根管内が細菌感染して痛みや腫れを繰り返すため、長い方だと1年以上治療を続けている方もいます。

 

しかし精密根管治療の1回の診療時間は、約60分〜90分です。

 

通院回数は、2回〜3回で済むケースが多いです。

 

根管の数が少ない前歯の場合は、1回の治療で終わることも少なくありません。

 

精密根管治療は、早期に治療を完了でき、再発するリスクを低くして歯を守ることにも繋がります。

3 精密根管治療の成功率は?

根管治療の成功は、歯の状態によって変わります。

歯の状態には、2つのパターンがあります。

 

ひとつめは、神経がある歯です。

 

虫歯の進行が原因で、初めて歯に根管治療をする歯になります。

 

ふたつめが、根管治療済みの歯です。

 

以前、根管治療を行った歯に対して、もう一度根管治療を行う歯になります。

 

虫歯が原因で精密根管治療を初めて行った歯では、約90%が成功しているのが調査で報告されています。

 

なお、根管処置を行っている歯に対しての精密根管治療の成功率は、約70%ほどです。※1

※1 最先端歯内療法

 

この20%の差の違いは、根管内の違いです。

 

根管治療を初めて行う歯は、正確に細菌を除去していくので、歯への負担が少なくなります。

 

しかし、根管治療を一度している歯は、すでに根管内を清掃している状態です。

 

リーマーは感染した部分だけでなく、根の中の壁を削っていて、慎重に処置をしないと穴を開けてしまう可能性があり、成功率が下がる原因になります。

 

ちなみに保険の根管治療の成功率は、約30%〜40%と低く、根管治療後に再発するリスクが高いといえます。

4 精密根管治療は諦めていた歯を残す治療法

精密根管治療は、抜歯を宣告された歯でも残せる可能性が高い治療法です。

 

それは、精密根管治療で次のような処置をしているからです。

 

・CTの正確な診断で原因を突き止める

・ラバーダムで他からの細菌の侵入を防ぐ

・マクロスコープで根管の状態を把握する

・ニッケルチタンファイルで確実に細菌感染した部分を取り除いている

 

上記のように精密な治療をしているからこそ、歯を残せる確率が高くなります。

それでも、100%成功する治療ではなく、抜歯になるケースもあるでしょう。

 

しかし、抜歯をしてから後悔をしても、歯は生えてきません。

後悔する前にまずは、精密根管治療をしている歯科医院に相談してみましょう。

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