インプラントはどれくらい「噛める」の?

松川 眞敏
松川 眞敏
この記事の監修者
医療法人社団「朋優会」理事長。歯科医師・インプラント専門医。国際インプラント学士会(I.C.O.I.)メンバー。米国インプラント学会(A.O.)アクティブメンバー。欧州インプラント学会(E.A.O.)メンバー。O.S.I.アドバンスドトレーニングコース 講師。
https://e-implant-tokyo.com/smile-implant/

歯を失った際にできる治療として挙げられるのが、入れ歯治療、ブリッジ治療、そしてインプラント治療です。

これらの治療は失った歯の代わりになる人工歯を取り付けるという、同じ目的の治療ではありますが、「噛む力」にはそれぞれ違いがあります。

噛む力というのは、食べ物を食べるのに非常に重要な力

しかも、食べること以外にも、この噛む力というのは大切な役割をしています。

 

今回はインプラント治療の噛む力に注目し、どれくらい噛めるのか、噛む力は日常生活においてどのようなメリットがあるのかについて紹介します。

目次

1.インプラントはどれくらい「噛める」?

インプラント治療の噛む力はどのくらいあるのでしょうか。

そのほかの入れ歯治療やブリッジ治療と比較しながらみていきましょう。

1-1.それぞれの治療の噛む力

先述したように、歯を失った際の治療法には入れ歯治療、ブリッジ治療、インプラント治療の3つがあります。

天然歯の噛む力を100%とし、それぞれの治療後の噛む力を比べてみましょう。

 

まず、入れ歯治療には1本から数本だけ入れ歯を入れる「部分入れ歯」と、全ての歯列を入れ歯にする「総入れ歯」の2種類あります。

部分入れ歯の噛む力は30〜40%の力、総入れ歯では10%〜20%程度と言われ、総入れ歯は天然歯と比べると、噛む力は10~20分の1に減ってしまうようです。

 

また、ブリッジ治療の噛む力は60%程度の力だと言われています。

入れ歯治療に比べると、少し噛む力が強いと言えますが、天然歯と比べると6割程度です。

 

それに対し、インプラント治療での噛む力は、ほぼ天然歯と変わらないと言われています。つまり、100%の力で噛めます。

自分の歯と同じ感覚で噛めるということです。

1-2.なぜインプラントはよく噛める?

なぜ、インプラントは天然歯と変わらない噛む力を発揮することができるのでしょうか。

その理由はインプラントの構造にあります。

 

インプラントは人工歯根であるインプラント体、表面に見える人工歯、そしてインプラント体と人工歯を繋ぐアタッチメントという3つの部分からできています。

インプラント体は治療時に顎骨に埋め込まれます。

そのため、天然歯と同じように“噛む”という垂直的な力を、その歯根が支えてくれるので、しっかりと噛めるのです。

 

一方、入れ歯治療やブリッジ治療は構造上、歯根がありません。

両隣の歯で人工歯を固定しているという仕組みなので、垂直的な力は歯茎にかかります。

歯茎は顎骨よりも柔らかく、力をしっかりと支えることができません。

また、入れ歯の場合は自分で取り外しが可能で、自分で入れ歯安定剤を使い、固定させて使います。

そのため、しっかりと固定させられていないと、噛む力がしっかりと発揮されないのです。

2.噛む力があることのメリット

インプラント治療を受けると、天然歯と変わらない噛む力を持てると分かりましたが、噛む力があるとどのようなメリットがあるでしょうか。

日常生活におけるメリットをまとめました。

2-1.バランスの良い食事につながる

まずは噛めるということは、食べ物がしっかりと食べられるということです。

入れ歯治療やブリッジ治療では避けた方が良いとされている食べ物も、インプラントなら我慢しなくてもOK。

 

また、柔らかい食べ物を選んで食べていると、自然に偏食に繋がることがありますが、インプラントの場合、気にせず食べられるので栄養バランスのとれた食事も可能です。

栄養バランスは体全体の健康に影響を与えるもの。

体のことを考えても、様々なものを噛んで食べられるということは、とても大切なことなのです。

 

ただし、インプラント治療直後は固いもの、粘着性のものなどを避けた方がいいと言われています。

治療中は注意事項をしっかり守り、インプラント治療後に、その噛む力を実感しましょう。

2-2.顔の印象が若返る

噛む力というのは、外見にも影響を与えます。

特に顔の印象には大きく関わります。

私たちは噛むことで、顔の筋肉を鍛えているのですが、噛む力が弱く、噛むことが少なくなると、筋肉が衰え、顔がたるんできたり、シワができやすくなったりします。

また、左右どちらかが入れ歯やブリッジのため、入れ歯やブリッジが入っていない方で噛む癖がつくと、顔の左右のバランスに影響が出ることもあります。

 

その点、インプラントなら他の天然歯と変わらずしっかりと噛めるので、噛む度に顎骨に刺激を与え、筋肉も動きます。

その結果、頬のたるみやシワを防ぎ、見た目も若々しく、健康的な印象が取り戻せるかもしれません。

 

その他、しっかり噛める、亀内の違いは、歯茎の色にも影響が出てきます。

咀嚼回数が減り、柔らかいものを好んで食べるようになると、歯茎の血行が悪くなり、歯茎の色が黒く変色することがあるのです。

しかし、インプラントの場合はしっかり噛むたびに、顎骨へ刺激が与えられるので、歯茎の血行が良くなり、歯茎が健康なピンク色を保てます。

口を開けたときも健康的で、かつ審美的にも優れているのはインプラントのメリットと言えますね。

2-3.虫歯や歯周病、口臭予防に役立つ

噛む力が弱くなると、その分唾液の分泌が減ることがあります。

唾液は食べ物を咀嚼することで、分泌が増えるからです。

 

唾液には口内の洗浄作用があり、虫歯や歯周病の原因菌を洗い流したり、口内を清潔に保ち口臭を予防したりする役割があります。

噛む力は虫歯や歯周病から歯・歯茎を守り、口臭予防することにもつながるのです。

2-4.消化吸収が良くなる

食べ物をよく咀嚼して飲み込むことで、消化吸収が良くなります。

そのため、インプラント治療後はこれまでよりも量を食べられるようになったという方も。

消化吸収は健康に欠かせない大切な体の働きなので、結果として健康的な生活につながります。

2-5.免疫力の低下を防ぐ

やはり健康の原点は食べること。

これからの人生、「食べる」という行動は毎日欠かせません。

しっかり噛んで、バランスよく食べることで血行が良くなると、免疫力の低下も防げます。

2-6.脳の活性化につながる

また、よく噛むことは脳の活性化にもつながります。

顔や体だけでなく、脳も老化しにくくなり、より健康的な生活につながるでしょう。

2-7.喉に詰まる事故も減らせる

また、食べ物を喉に詰まらせてしまい窒息するなどの事故も減らせます。

3.しっかり噛めるインプラント!これからの生活も考えた選択を

インプラント治療では、天然歯と変わらない噛む力を手に入れることが可能です。

その他の入れ歯治療やブリッジ治療と比較すると、その噛む力の差は歴然。

 

なぜインプラントはよく噛めるのかというと、インプラント体と呼ばれる人工歯根が理由です。

天然歯が歯根に支えられているように、インプラントはインプラント体に支えられています。

このインプラント体が“噛む”ことで発生する垂直な力を支えてくれるのです。

 

噛むことができると、日常生活において、様々なメリットがあります。

天然歯と変わらず、気にせず何でも食べたい、いつまでも健康で若々しく過ごしたいという方には、インプラント治療が適しているかもしれません。

ただ、失った歯の箇所を治療できればいいと考える方もいるかもしれませんが、歯はこれから一生涯使うものです。

インプラントはそんな大切な歯を、自分の歯のような機能に戻してくれる治療です。

それを考慮した上で、治療費用や治療期間だけで選ぶのではなく、今後の生活のことも考え、長い目で見た治療を選択するといいでしょう。

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