- この記事の監修者
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医療法人社団「朋優会」理事長。歯科医師・インプラント専門医。国際インプラント学士会(I.C.O.I.)メンバー。米国インプラント学会(A.O.)アクティブメンバー。欧州インプラント学会(E.A.O.)メンバー。O.S.I.アドバンスドトレーニングコース 講師。
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インプラントは、失った歯の機能や見た目を天然歯とほぼ変わらないレベルにまで回復できる治療法です。しかし、「高くて手が出ない」と、費用が原因で治療に踏み切れない人も多いのではないでしょうか。
この記事では、インプラント費用の相場やインプラントを安くする方法をまとめています。インプラント費用をおさえたい人は、ぜひチェックしてください。
目次
- 1.インプラント費用の相場はどれくらい?
- 2.インプラント費用が高い理由
- 2-1.基本的に保険が適用されない
- 2-2.インプラントそのものが高価である
- 2-3.設備にお金がかかる
- 2-4.高度な技術が求められる
- 3.インプラントを安くする方法とは
- 3-1.対象者は保険適用でインプラントを受ける
- 3-2.医療費控除を申請する
- 3-3.クレジットカードなどで払ってポイントをもらう
- 3-4.デンタルローンを利用する
- 3-5.オーバーデンチャーやオールオン4にする
- 3-6.複数の歯科クリニックで見積りしてもらう
- 4. インプラントの費用は工夫次第で安くできる!
1.インプラント費用の相場はどれくらい?
インプラント治療のほとんどは、保険が適用されない自由診療のため、歯科クリニックによって費用が異なります。
インプラント費用の相場は、口の中の状態や人工歯に使用する素材などによって異なり、インプラントを入れる本数が増えるほど高額になります。
さらに、あごの骨量が充分にない場合は、骨を増やす処置のために追加で費用がかかります。
インプラント治療後は、年3~4回ほど定期メンテナンスを受けなければいけません。
このように、インプラント治療の費用は高額なうえに、かなりの幅があります。いざ手術を決めたら予想以上に高額だったといった事態を防ぐために、事前に歯科クリニックで見積りを出してもらうようにしましょう。
2.インプラント費用が高い理由
インプラント費用が高い主な理由は下記の通りです。
2-1.基本的に保険が適用されない
一般的な虫歯治療には保険が適用され、3割負担で治療が受けられます。しかし、インプラント治療の多くは、保険が適用されません。
全額自己負担のため、患者が支払う費用は必然的に高額になります。
2-2.インプラントそのものが高価である
インプラントは、歯根の代わりにあごに埋めるインプラント体と上部構造である人工歯、インプラント体と人工歯をつなぐアバットメントの3つのパーツでできています。
インプラント体はチタン、アバットメントはチタンやジルコニア、人工歯にはセラミックやジルコニアを使うのが一般的です。
インプラントを安全に長く使用するためには、高品質の材料でつくる必要があり、費用が高くなってしまいます。
2-3.設備にお金がかかる
インプラント治療を成功させるには、口の中の状態を正確に把握する、徹底的に殺菌するの2点が重要です。そのため、高価な設備や機器が欠かせません。
代表的なものは下記の通りです。
・インプラント専用の手術室
インプラント手術は、細菌感染を防ぐために個室で行うのが望ましいとされています。空気中の細菌を除去するシステムを備えた、インプラント専用の手術室であれば、感染リスクを軽減できます。
・CT設備
歯科用CTで撮影することで、あごの骨の形や厚み、神経の位置など、口の中の状態を立体的に把握できます。その結果、インプラントを埋め込むべき位置が正確にわかるため、成功率が上がります。
・生体管理モニター
インプラント治療は、歯ぐきの切開などの外科処置が伴うため、身体にある程度負担がかかります。生体管理モニターを使用し、脈拍や血圧をチェックすることで、体調の変化にスピーディーに対応できます。
・インプラント専用の道具
インプラント手術では、ドリルであごの骨に穴を開けます。使用するドリルは、インプラント専用のもので、基本的に使い捨てです。その他、インプラントを固定するための道具など全て専用のものを使うため、費用が高額になります
2-4.高度な技術が求められる
インプラント手術は、インプラントや口の中の構造に関する知識や正確にインプラントを埋め込む技術など、高度なスキル・経験が求められる手術です。
また、日々進歩するインプラント治療についていくためには、研修の受講などのスキルアップが不可欠です。
高い技術の対価として、他の歯科治療よりも費用が高くなる傾向にあります。
3.インプラントを安くする方法とは
適切なインプラント治療には、ある程度のお金がかかりますが、下記のような方法で金銭的な負担を軽くできます。
3-1.対象者は保険適用でインプラントを受ける
まれなケースですが下記の条件に該当する場合は、保険適用でインプラントを受けられるので、歯科医師に相談しましょう。
・腫瘍をはじめとする病気や事故による外傷などによって広範囲にわたりあごの骨を失った状態である
・生まれつきあごの骨の1/3以上が連続して欠損している
歯周病や虫歯、事故によって歯が折れたなどの理由では、インプラントは保険適用になりません。適用にならない場合は、他の方法で費用負担を軽減しましょう。
3-2.医療費控除を申請する
医療費控除とは、1年間に支払った医療費の一部を所得から差し引ける制度です。所得額が低くなることで、所得税や住民税の支払い額が減ります。
控除できる金額は、1年間(1~12月)に支払った医療費から10万円または所得総額の5%のいずれか少ない方を引いた額で、上限200万円です。
インプラント費用は高額なので、多くのケースで医療費控除の対象となります。
医療費控除は年末調整などと異なり、自分で確定申告をする必要があります。確定申告書の必要項目を記載し、「医療費控除の明細書」または「医療費通知」を添付して所轄の税務署に提出すれば手続きできます。
ただし、失った歯の機能を補うためのインプラントのみが対象となり、歯並びを美しくしたいといった美容目的での治療は対象にはなりません。
3-3.クレジットカードなどで払ってポイントをもらう
クレジットカードやキャッシュレス決済など、ポイントが還元される決済方法を利用することで、実質的にインプラント費用を節約できます。
還元率の高い決済方法を利用すれば、かなりのポイントが還元され、現金払いよりもお得になります。
ただし、全ての歯科クリニックでクレジットカードやキャッシュレス決済を利用できるわけではありません。事前に決済方法を確認しておくのをおすすめします。
3-4.デンタルローンを利用する
デンタルローンとは、信販会社や金融機関が提供する、使用目的を歯科医療の費用に限定したローンのことです。
インプラント費用そのものを安くすることはできませんが、治療費を分割で支払えるため、金銭的な問題でインプラントを諦めずに済みます。
デンタルローンも医療費控除の対象となる場合が多いので、上手に併用してインプラント費用の負担を軽減しましょう。
ただし、審査結果によってはデンタルローンを組めない可能性がある・ローンの金利によりトータルの費用は高額になる・保証人を求められるケースがあるといったデメリットもあります。
また、デンタルローンではなく、使い道が自由なフリーローンでインプラント費用を借り入れることも可能です。
3-5.オーバーデンチャーやオールオン4にする
一般的なインプラントは、入れる本数が多いほど治療費が高額になります。多くの歯を失った場合は、「オーバーデンチャー」や「オールオン4」といった特別なインプラントの方が費用をおさえられるケースがあります。
・オーバーデンチャー
オーバーデンチャーは、インプラント体を2~4本ほどあごの骨に埋め込み、取り外し可能な入れ歯を装着する治療です。インプラントが歯根の代わりをするため、通常の入れ歯よりも安定性が高く、しっかり噛めます。
・オールオン4
入れ歯のように最大12本分をつなげた人工歯を、4~6本のインプラント体で支える治療法です。斜めにインプラント体を埋め込むことで安定し、見た目も自然です。
ただし、オーバーデンチャーやオールオン4は治療できる歯科クリニックが限られているので、事前にホームページなどで対応可能か確認しておきましょう。
3-6.複数の歯科クリニックで見積りしてもらう
インプラントは基本的に自由診療のため、歯科クリニックによって治療内容や治療費が異なります。複数の歯科クリニックから見積りをもらって比較することで、質が高く、リーズナブルな治療を受けられます。
1本10万円以下の格安インプラントもありますが、歯科医師の技術が低い・検査が不充分・人工歯やインプラントの質が低い・保証制度がないといったケースがほとんどです。
トラブルを防ぐために、あまりにも安い費用で治療している歯科クリニックは避けるのをおすすめします。
4. インプラントの費用は工夫次第で安くできる!
インプラント費用が高額な理由として、基本的に保険適用にならない・インプラント自体が高価である・設備にお金がかかる・高度な技術が必要な治療であるといった点があげられます。
インプラントを安くする主な方法は、条件にあてはまる場合は保険適用で治療する・医療費控除を申請する・クレジットカードなどポイント還元のある方法で支払う・デンタルローンを利用する・オーバーデンチャーやオールオン4にする・複数の歯科クリニックで見積りをしてもらうの6つです。
ただし、1本10万円以下といった極端に値段が安いインプラントには要注意です。歯科医師の技術が低い、インプラントが粗悪といったケースが多く、深刻なトラブルが起きるリスクがあります。
再治療などを考えるとかえってトータルの費用が高くなる可能性があるので、治療費だけではなく、治療やインプラントの質、保証などもしっかりチェックしましょう。