- この記事の監修者
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医療法人社団「朋優会」理事長。歯科医師・インプラント専門医。国際インプラント学士会(I.C.O.I.)メンバー。米国インプラント学会(A.O.)アクティブメンバー。欧州インプラント学会(E.A.O.)メンバー。O.S.I.アドバンスドトレーニングコース 講師。
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インプラント治療は、顎の骨に人工歯根を埋め込み、他の歯に負担をかけず失った歯を補える治療です。
その人工歯根を埋め込む際には、外科手術が必要となります。
手術と言っても、入院する必要はなく、手術後とくに問題なければそのまま帰宅ができます。
日帰りで帰れるという点は嬉しいですね。
しかし、反対に術後の体調が不安で、そのまま帰宅するのは心配だという方もいるでしょう。
そんな方のために、術後体を休める「リカバリールーム」を設置している歯科医院もあります。
リカバリールームとはどのようなものなのでしょうか。
今回は、インプラントの手術後に利用可能なリカバリールームについて紹介します。
また、治療後に不具合などを感じた場合のリカバリー治療についても紹介していきます。
目次
- 1.インプラント手術後の「リカバリールーム」とは?
- 1-1.一般的なリカバリールーム
- 1-2.どこの歯科医院でもあるわけではない
- 2.インプラントの治療後のリカバリーとは?
- 2-1.インプラントのリカバリー治療
- 2-2.リカバリー治療が必要になる原因
- 2-2-1.手術時に治療部以外が傷ついた
- 2-2-2.インプラント体を埋め込む場所や位置が悪い
- 2-2-3.術後の治癒が進まない
- 2-2-4.インプラント周囲炎になった
- 3.インプラント手術後のリカバリーは大切!ルームがある場合は利用しよう
1.インプラント手術後の「リカバリールーム」とは?
インプラント治療では、失った歯の部分に人工歯根となるインプラント体を埋め込む外科治療が必要となります。
手術では麻酔を行いますし、患者さんによっては術後、体調を崩すこともあるでしょう。
自分は大丈夫だと思っていても、長時間に及ぶ手術なので、体は思った以上に疲れています。
そのような際に、すぐに帰宅するのではなく、歯科医院でしばらく待機できたら安心できますよね。
何か体調に変化があったり、術部に違和感があったりすれば、すぐに医師に相談ができる環境も安心に繋がるかもしれません。
そのような患者さんに配慮し、術後に安静にして体を休めながら、体調の回復を待ったり、術後の様子を見たりするための部屋を「リカバリールーム」と言います。
どの歯科医院にもあるわけではありませんが、インプラント治療を行う歯科医院の中には、このリカバリールームが設けられている場合があります。
また、麻酔や鎮静剤の効果が切れるまでは、安全に帰宅できるかどうか心配な場合もあるでしょう。
その際にも、リカバリールームでしばらく体を休められるといいですね。
ただし、リカバリールームで安静にしていれば、患者さん自身での運転で帰宅できるというわけではありません。
公共交通機関等が安全に利用できるようになるまで、休む部屋です。
1-1.一般的なリカバリールーム
設置されているリカバリールームは、歯科医院によって違いはありますが、次のような部屋を設けているところが多いようです。
・個室
・他の患者の出入りはない
・ベッドが設置されている
比較的静かな場所で、ゆったりと安心して過ごすことができる部屋をリカバリールームとしているようです。
また、病院によっては高気圧酸素ボックスを導入している病院もあります。
より効率的な体や傷の回復に効果が期待されます。
ただし、ペースメーカーを使用中の方や耳抜きができない方は、酸素ボックスは使用できませんのでご注意ください。
1-2.どこの歯科医院でもあるわけではない
リカバリールームは、インプラントを受けられる歯科医院ならどこでも設置されているというわけではありません。
スペースの問題等で、部屋を設けていない医院も多くあるようです。
術後の体調に不安がある方は、予めリカバリールームの有無で治療を受ける歯科医院を検討するなどするといいでしょう。
2.インプラントの治療後のリカバリーとは?
インプラント治療後、インプラントや術部周辺に不具合や違和感があった際に行う治療を「リカバリー治療」と言います。
手術後に身体を休めるリカバリールームとは違い、このリカバリーは治療のことです。
手術後だけでなく、治療後の不調があればリカバリー治療や再手術を受けることをおすすめします。
早めに適切な治療をうけることで、大きなトラブルや大掛かりの再手術につながるリスクを減らせます。
2-1.インプラントのリカバリー治療
インプラントが不調、不具合がある時のリカバリー治療は、まず検査から始めます。
他院のインプラント手術も対応している歯科医院もあります。
・インプラントから膿は出ていないか、出血や腫れがないか
・歯垢・歯石はあるか
・インプラント周りの虫歯はあるか
これらを確認し、原因に沿ったリカバリー治療を始めます。
必要があれば、インプラント体を一度取り除き、再手術となることもあります。
2-2.リカバリー治療が必要になる原因
インプラント治療後、リカバリー治療が必要となる原因はなんでしょうか。
2-2-1.手術時に治療部以外が傷ついた
インプラントの治療をした際に、何らかの原因で術部以外のところが傷ついてしまった場合、その傷ついた部分の治療が必要です。
必要な治療は傷ついた程度、箇所によっても異なります。
早めに対処しないと痛みや腫れが大きくなることがあるので、治療した部分以外のところの痛みを感じたらすぐに診てもらいましょう。
2-2-2.インプラント体を埋め込む場所や位置が悪い
インプラント体を埋め込む場所や位置は、インプラント治療において非常に重要なポイントです。
様々な精密検査により、埋め込む場所を決めますが、その位置が手術の際にずれてしまうと噛み合わせや噛み心地に支障が出ることがあります。
長くインプラントを使うためには、噛み合わせや噛み心地はとても大切です。
違和感があれば、リカバリー治療で位置を調整したり、埋め込む治療を再度行ったりしてもらいましょう。
2-2-3.術後の治癒が進まない
術後、術部の傷の治癒がなかなか進まない場合も、リカバリー治療で、なぜ治癒しないのか確認し、治療してもらいましょう。
2-2-4.インプラント周囲炎になった
インプラント周囲炎とは、インプラントの周辺で炎症を起こす症状のことです。
歯周病に似た症状が出て、重度になるとインプラントがゆれたり、抜け落ちてしまったりすることがあります。
自覚症状が少ないので、定期メンテナンス等で見つかることが多いです。
インプラント周囲炎になった場合にも、リカバリー治療で進行をできる限り止める治療をしていきましょう。
3.インプラント手術後のリカバリーは大切!ルームがある場合は利用しよう
インプラント手術後すぐは、手術による疲れや体調不良などで、すぐに帰宅するのが難しい場合も多いです。
その際に帰宅できるくらいの体調になるまで、歯科医院で安静にして休んでから帰るようにしましょう。
医院によっては、体を休めるためのリカバリールームを用意しているところもあります。
ゆったりとした気分で休めますし、何かトラブル等あった時にすぐに相談できるので安心です。
また、手術後はインプラントに違和感があったり、トラブルが起こったりしたら、リカバリー治療をできるだけ早く受けるのがおすすめです。
インプラント生活を快適に送るためにも、術後の安静や早期のリカバリー治療を受けるようにしましょう。