ブリッジとインプラントのちがいは?

虫歯やケガなどで歯を失った場合は、何らかの方法で歯を補う必要があります。歯を補う代表的な方法が「ブリッジ」と「インプラント」です。

 

ですがいざ治療を受けようとすると「どんな違いがあるの?」「どちらが良いかわからない」と悩んでしまうケースも少なくありません。

 

この記事では、ブリッジとインプラントについて比較し、どんな人に向いているのかを解説します。

目次

1.ブリッジとは

ブリッジは、重度の虫歯による抜歯やケガによる破損などで失った歯を補う治療法です。両隣の歯にかぶせる部分と一体化した人工歯をつくり、失った歯の両隣の歯を削って土台にし、橋のようにかけて装着します。

 

ブリッジは、入れ歯よりも安定感があり、噛む力を大幅に回復できます。入れ歯とは異なり取り外す必要がない・保険適用での治療も可能である・入れ歯よりも自然な外見に仕上がるなど多くのメリットがある治療法です。自由診療で高品質な素材を使えば、さらに自然な外見を実現できます。

 

その一方、両隣の健康な歯を削らなければならない・両隣の歯に負荷がかかり虫歯のリスクが高まるといったデメリットもあります。そのためブリッジを入れた後は、それまで以上に歯磨きなどのケアをしっかり行い、虫歯を予防しなければいけません。

2.インプラントとは

インプラントとは、歯根の代わりとなるインプラント体をあごの骨に埋め込み、インプラント体とあごの骨が結合してから、人工歯を装着する治療法です。

 

インプラント体とあごの骨が強く結合しているため安定性が高く、天然歯とほぼ変わらないレベルで、ものを噛むことができます。

 

天然歯と同じく歯ぐきから歯が生えているように見えるため、人工歯の色を周囲の天然歯と合わせれば、自然な見た目に仕上がります。インプラント治療後、10~15年経過しても、9割以上が使用できる状態で残るという調査結果が出ており、寿命が長い点も大きなメリットです。

 

ただし、歯ぐきを切開してあごの骨に穴を開ける外科処置が必要である・ほとんどの場合は保険が適用されない・インプラント体とあごの骨の結合を待つため時間がかかる・治療後に定期メンテナンスに通い続けなければいけないなどのデメリットもあります。

 

定期メンテナンスでは、虫歯・歯ぐきの状態・嚙み合わせ・インプラントの破損の有無のチェックや歯のクリーニング、歯磨き指導などを行います。定期メンテナンスを受けないと、トラブルの発見が遅れ、インプラントが使えなくなる場合もあります。

 

特に注意が必要なのが、「インプラント周囲炎」です。インプラント周囲炎とは、歯周病菌が歯ぐきに感染することで起きる病気で、歯周病と良く似ています。

 

最初は腫れや赤みなど軽い症状からスタートし、次第に歯ぐきやあごの骨が破壊されます。重症化すると、あごの骨量が減りインプラント体を支えきれなくなって、インプラントがぐらついたり抜け落ちたりしてしまいます。

 

歯周病と比較すると進行スピードが非常に早く、インプラントが使えなくなる主な原因の一つにあげられるほどです。定期メンテナンスでのクリーニングによって、歯周病菌を大量に含む歯垢・歯石を取り除くことで、インプラント周囲炎を予防できます。

3.ブリッジとインプラントのちがい

ブリッジとインプラントのちがいを、噛む力や見た目など10項目について比較し、表にまとめました。

 

どちらの治療法にするか検討する際は、ぜひ参考にしてください。

ブリッジ インプラント
噛む力 天然歯の約6割まで回復

※土台になる歯の状態による

天然歯とほぼ変わらない
見た目 保険適用の場合は、ブリッジの色が目立つ場合もある。自由診療の場合は、天然歯に近い見た目に仕上がる 歯の生え方・色ともに天然歯とほぼ変わらない

 

異物感 はじめは違和感を多少覚える場合もあるが、慣れると天然歯とほぼ変わらずに使える ほぼないものの、隙間にものが詰まるなど違和感を多少覚えるケースもある
味覚 天然歯とほぼ変わらない 天然歯とほぼ変わらない
他の歯への影響 両隣の歯を削り、噛む力もかかるため、ある程度は影響がある 他の歯への影響はほぼない
あごの骨への影響 天然歯よりも噛む刺激が少ない分、骨が吸収されやすい 噛む刺激が多く、骨がやせにくい
外科手術 不要 必要
費用/1本あたり 保険適用:1万~2万円

自由診療:8~15万円

30万~40万円くらい
治療期間 1~2週間くらい 数か月~1年くらい
耐用年数 平均8年 10~30年くらい

 

ブリッジとインプラントどちらが良いかは、残っている歯の本数や何を優先するかによって異なります。

 

どちらを選ぶにしても、なるべく早めに失った歯を補うようにしましょう。歯がないまま放置すると、隣の歯や嚙み合わせる上下の位置がずれ、噛み合わせのバランスが悪くなる可能性があります。

 

4.ブリッジが向いている人

ブリッジとインプラントのちがいを踏まえ、どんな人にブリッジが向いているのか紹介します。

4‐1.外科手術を避けたい人

ブリッジは、両隣の歯を支えに人工歯をかぶせる処置なので、外科手術は必要ありません。

 

インプラントは、外科手術が必須です。身体への負担が軽く痛みや腫れが起きにくい手術ではあるものの、抵抗がある人はブリッジが適しています。

 

また、全身疾患によって免疫力が低下し細菌感染のリスクが高い人や、高齢や病気などで外科手術に耐える体力がない人は、ブリッジを選ぶケースが多いといわれています。

4‐2.短期間で治療を終えたい人

インプラントは、インプラント体とあごの骨の結合を待ってから人工歯を取りつけ、治療が完了します。結合するまでの待機期間は、3~6か月ほどと長く、治療完了まで数カ月~1年くらいかかります。治療が終わるまで何度も通院しなければならないのもネックです。

 

ブリッジの場合は、最少2回の通院で治療が終わり、治療期間も1~2週間くらいと短めです。治療期間が短い方が良い人や歯科クリニックに何度も通うのが難しい人は、ブリッジを選ぶメリットは大きいでしょう。

4‐3.費用をおさえたい人

ブリッジを保険適用で入れる場合の費用は、1本あたり1~2万円が相場です。高価な素材を使用するなど自由診療の場合でも、1本あたり8~15万円ほどにおさまるケースが多いでしょう。

 

インプラントは、保険が適用されない場合がほとんどで、何本も歯を失った場合は、総額で100万円以上かかるケースも少なくありません。費用をおさえたい場合は、ブリッジの方が適しています。

5.インプラントが向いている人

下記のような人は、ブリッジよりもインプラントの方が向いている可能性が高いでしょう。

5‐1.噛む力を大幅に回復したい人

ブリッジも入れ歯と比べると、噛む力を大幅に回復できる治療法ですが、天然歯の6割くらいまでしか回復しません。両隣の歯の状態によっては、6割に満たない場合もあります。

 

インプラントはインプラント体を埋め込むことで、天然歯とほぼ変わらないレベルまで噛む力を回復できる治療法です。噛む力が大きければ、硬いものなど食材を選ばずに食べられます。

5‐2.他の歯を削りたくない人

ブリッジは健康な両隣の歯を削って土台にするため、他の歯にダメージを与えてしまいます。削った天然歯は通常の歯よりも弱くなり、寿命が短くなる可能性があります。また、構造上、本来は失った歯にかかる噛む力も両隣の歯にかかり負担になる点もデメリットです。

 

インプラントは1本ずつ独立しているので、基本的に他の歯に負担はかかりません。他の健康な歯を守りたい場合は、インプラントの方が良いでしょう。

5‐3.きれいな仕上がりにしたい人

ブリッジは両隣の歯とつながるようにつくった人工歯をかぶせる治療法です。インプラントは、インプラント体をあごの骨に埋めて上から人工歯を装着するため、天然歯により近い仕上がりになります。セラミックなど天然歯に近い色・つや・透け感の素材を使用すれば、ほぼ天然歯と見分けがつきません。

 

ブリッジでも、自由診療で高品質な素材を使えば自然な仕上がりになりますが、インプラントと比べるとやや劣ります。

5‐4.耐用年数を重視する人

ブリッジの耐用年数が8年くらいなのに対し、インプラントは10~30年くらいです。口の中の状態や適切なメンテナンスができているかどうかによって異なりますが、インプラントの方が長持ちする傾向にあります。一度治療をすれば長く使用でき、再治療の頻度も少ない場合が多いでしょう。

5‐5.再治療・メンテナンスのしやすさを求める人

インプラントはブリッジと異なり、他の歯とつながっていないため、再治療やメンテナンスがしやすい傾向にあります。

 

ブリッジの場合は一部分が破損すると全体を取り外して、再治療・メンテナンスをする必要があります。インプラントの場合は、トラブルが起きた場所だけ再治療・メンテナンスをすることが可能です。

5‐6.あごの骨量の減少を防ぎたい人

骨の細胞も他の細胞と同じく新陳代謝をしており、常に生まれ変わっています。しかし、骨は刺激を与えないと生まれ変わりがスムーズにいかず、やせてしまう性質があります。

 

インプラントは噛む力が大きいので、あごの骨に十分な刺激が伝わり新陳代謝がスムーズに進むため、あごの骨量が減少しにくいといわれています。

6.ブリッジとインプラントにはちがいは大きい!自分に合った治療法を選ぼう

ブリッジとインプラントはどちらも失った歯を補う治療として、広く行われています。しかし、噛む力や見た目など違いが多いため、メリット・デメリットを知り、自分に合った治療法を選ぶことが大切です。

 

外科手術を避けたい・短期間で治療を終えたい・費用をおさえたいといった人は、ブリッジが向いています。

 

逆にインプラントが向いているのは、噛む力を大幅に回復したい・他の歯を削りたくない・きれいな仕上がりにしたい・耐用年数の長い治療を受けたいといった場合です。

 

ただし、治療法を選択する際は、口の中の状態などさまざまな点を考慮しなければいけません。まずは歯科クリニックに相談し、それぞれの治療法やメリット・デメリットを説明してもらい、よく検討しましょう。

この記事が気に入ったら「評価」ボタンを押してください!

★★★★★

評価する