
- この記事の監修者
- 医療法人社団「朋優会」理事長。歯科医師・インプラント専門医。国際インプラント学士会(I.C.O.I.)メンバー。米国インプラント学会(A.O.)アクティブメンバー。欧州インプラント学会(E.A.O.)メンバー。O.S.I.アドバンスドトレーニングコース 講師。
https://e-implant-tokyo.com/smile-implant/

「顎顔面補綴」という言葉を聞いたことがあるでしょうか。
これは歯科医院で行われる歯科治療の1つで、先天奇形、腫瘍、炎症、事故などによる外傷により、歯や顎の骨を欠損してしまった方や口腔癌の手術を受けられた方に対し、お口の機能回復や外見を修復するために行う治療です。
この治療が必要な患者さんの多くは、「食べることや話すことができない」「顔の形が変わってしまったので出かけられない」といった悩みを抱えておられ、日常生活に直結する問題と言えます。
そういった方々のお悩みを解決するのが、「顎顔面補綴治療」なのです。
今回はこの治療について、どのような治療であるのかをまとめました。
目次
- 1. 顎顔面補綴治療とは
- 1-1. 顎顔面補綴治療装置の種類
- 1-1-1.顎義歯(がくぎし)
- 1-1-2.舌接触補助床(ぜつせっしょくほじょ)
- 1-1-3.軟口蓋挙上装置(なんこうがいきょうじょうそうち)
- 1-1-4.顔面補綴装置
- 1-1-5.スピーチエイド
- 1-2. 顎顔面補綴の治療の流れ
- 1-2-1.診察・カウンセリング
- 1-2-2.治療計画を立てる
- 1-2-3.補綴装置の製作または手術
- 1-2-4.装置の装着・調整
- 1-2-5.定期的なフォローアップ
- 2. 顎顔面補綴とその他の治療との比較
- 2-1.治療の内容・目的
- 2-2.治療の特徴
- 3.自分に合った治療法を選ぼう
1. 顎顔面補綴治療とは

顎顔面補綴は、口腔内や顔面における損傷や欠損を修復する治療法の1つです。
口腔内の組織や顎骨が腫瘍、事故、炎症、先天性異常などの影響で損傷を受けた場合に、その損傷を補うために特殊な措置や手術が行われます。
顎顔面補綴は、患者さんの口腔機能の回復や外見の修復を目指し、患者さんの生活の質を向上させることを目的としています。
また、精神的な側面にも影響を与えることがあります。
顎顔面補綴を受けることで、患者さんは自信を取り戻し、社会生活や人間関係に積極的に参加することができるようになる場合があります。
1-1. 顎顔面補綴治療装置の種類
顎顔面補綴治療に使われる装置には、さまざまな種類があります。
患者さんの状態やニーズに応じて、使用する装置を選択します。
場合によっては複数の装置を組み合わせて治療することもあります。
以下が、一般的な顎顔面補綴治療の装置の種類です。
1-1-1.顎義歯(がくぎし)
顎骨や歯が欠損している場合に、人工的に補うもの、つまり入れ歯です。
欠損した歯の代わりに入れ歯を使用し、咬合や噛む力の回復を図ります。
1-1-2.舌接触補助床(ぜつせっしょくほじょ)
舌の機能が低下している患者さんに対して使用される装置で、舌と顎の接触を補助することで飲み込みや発音の改善を図ります。
1-1-3.軟口蓋挙上装置(なんこうがいきょうじょうそうち)
軟口蓋の機能が低下している患者さんに対して使用される装置で、軟口蓋の挙上を補助することで発音や嚥下の改善を図ります。
1-1-4.顔面補綴装置
顔面の損傷や欠損に対して使用される特殊な装置を顔面補綴装置と言います。
事故、けが、手術、疾患などによって生じた顔面の損傷や形状の変化を修正し、患者さんの顎を含む顔の機能と外観を回復させることを目的としています。
1-1-5.スピーチエイド
脳卒中などによる発語障害の患者さんに対して使用される装置で、発語能力を改善するための補助具です。
口腔内や舌の動きを調整することで、明瞭な発音をサポートします。
1-2. 顎顔面補綴の治療の流れ
顎顔面補綴の治療は、以下のような流れで行われます。
1-2-1.診察・カウンセリング
患者さんとまずカウンセリングを行い、口腔内や顔面の損傷を詳しく診察します。
必要に応じて、X線やCTスキャンなどの画像診断を行い、損傷の程度や形状を確認します。
1-2-2.治療計画を立てる
患者さんの状態や希望、治療の目的に基づいて、治療計画を立てます。
補綴装置の選択や手術の必要性なども患者さんと相談し、最適な治療法を決定していきます。
1-2-3.補綴装置の製作または手術
顎義歯や舌接触補助床などの「補綴装置」を製作します。
顎骨の移植や軟組織修復手術などの手術が必要な場合は、手術を実施します。
1-2-4.装置の装着・調整
「補綴装置」が完成したら、装着し、位置やフィット感が適切であるかを確認します。
必要に応じて、装置の微調整を行います。
問題なければ、治療自体はここで完了です。
1-2-5.定期的なフォローアップ
治療が完了した後も、定期的なフォローアップが重要です。
治療の効果や装置の状態を定期的に確認し、必要であれば調整や修復を行います。
2. 顎顔面補綴とその他の治療との比較

口腔内の損傷や歯を欠損した際には、顎顔面補綴意外にも、入れ歯治療やインプラント治療といった治療法が存在します。
それぞれの治療法には異なる特徴があり、患者さんの状態や希望に合わせて治療法を選択します。
顎顔面補綴治療、入れ歯治療、インプラント治療の違いは以下のようなものがあります。
2-1.治療の内容・目的
【顎顔面補綴治療】
口腔内や顔面の大きな損傷や欠損を修復するための治療法です。
事故やけが、手術、疾患などによって生じた顔面の損傷や形状の変化を修正し、患者さんの顔の機能と外観を回復させることを目的としています。
【入れ歯治療】
歯を失った部分を補うための装置を使用して、咬合や噛む力を回復する治療法です。
部分入れ歯や総入れ歯など、患者さんのニーズに合わせて、歯の機能や審美面を改善するのが目的です。
【インプラント治療】
を失った場合に人工歯根(インプラント)を埋め込み、人工の歯を取り付ける治療法です。
欠損歯の機能や見た目を補うための、効果的な治療法として知られています。
4本の人工歯根で総入れ歯のような人工歯列を支える“オールオン4”という治療法、人工歯根を埋め込む手術の後すぐに人工歯を取り付ける“即時負荷インプラント”など、治療法もいくつかあります。
2-2.治療の特徴
【顎顔面補綴治療】
歯科医師が患者さんの状態を評価し、特殊な装置や手術法を使用して治療を行います。
治療期間が長く、複数の手術や装置の製作などが必要な場合があります。
費用が高額であることが一般的ですが、顔面や口腔内の大きな損傷や欠損に対する有効な治療法だと言われています。
【入れ歯治療】
治療期間が比較的短く、手軽に着脱できることから、昔から広く使われている治療法です。
最近では入れ歯治療といっても、さまざまな治療法があり、従来の入れ歯の問題点であった装着感や安定性が改善されてきているものもあります。
【インプラント治療】
口腔外科治療法で、人工の歯根を顎骨に埋め込む外科治療が必要です。
治療期間は比較的短く、数ヶ月から1年程度で治療が完了する場合が多いです。
治療費は一般的に高額ですが、長期間にわたって持続する効果が期待されます。
3.自分に合った治療法を選ぼう

顎顔面補綴治療は、歯の欠損を含む、顎や顔面の異常や損傷に対する治療法です。
患者さん一人ひとりの状態やニーズに合わせた治療計画が立てられます。
しかし、歯の欠損に対する治療法は1つだけではありません。
大きく分けると今回ご紹介した顎顔面補綴治療以外にも、入れ歯治療やインプラント治療などがありますが、それぞれに特徴があり、さらにその中で治療法もいくつかあります。
最終的な治療法の選択は、患者さんの状態やニーズ、予算などを考慮して行われます。
医師と相談し、最適な治療法を選択しましょう。









