インプラントの歯はどう磨く?

松川 眞敏
松川 眞敏
この記事の監修者
医療法人社団「朋優会」理事長。歯科医師・インプラント専門医。国際インプラント学士会(I.C.O.I.)メンバー。米国インプラント学会(A.O.)アクティブメンバー。欧州インプラント学会(E.A.O.)メンバー。O.S.I.アドバンスドトレーニングコース 講師。
https://e-implant-tokyo.com/smile-implant/

まるで自分の歯のような噛み心地が取り戻せる人工歯、インプラント。

入れ歯やブリッジと比べて寿命が長い点も、メリットの1つと言われています。

その寿命は、平均で10〜15年以上と言われています。

 

日本では、このインプラント治療は最近登場した最新の治療という印象を持つ方も多いですが、実は開発されたのは1965年。

スウェーデンで開発され、その当初にインプラント治療を受けた患者さんの口腔内で、50年以上機能しているインプラントもあるようです。

しかしその一方、5年程度で抜けたり、浮いてきたりなど、ダメになるケースも多数存在します。

寿命が短くなる原因は、そもそも安価で質の悪いインプラントを使用した治療をしたことが原因であることも多いですが、そのほかにもインプラントのケアの仕方が悪いことも大きな原因となります。

インプラントの寿命を延ばすためには、インプラントの正しいケアがとても大切なのです。

 

今回はインプラントのケアについて、インプラントの歯の磨き方について紹介していきます。

目次

1.インプラントのケアが間違っているとどうなる?

寿命が長いというメリットのあるインプラントなのに、すぐに使えなくなってしまうことがあるのは嫌ですよね。

なぜ、インプラントのケアが間違っていれば、インプラントの寿命を縮めてしまうことになるのでしょうか。

1-1.ケアが不十分だと細菌感染を起こす可能性がある

まず、ブラッシングなどの日々のケアが不十分だと、細菌感染を起こす可能性があります。

インプラントは人工歯なので、虫歯になることはありませんが、インプラントの周囲に歯周病のような症状が出ることがあります。

これを「インプラント周囲炎」と言います。

インプラント周囲炎は、インプラントの周りの歯茎が細菌感染を起こすことにより、腫れたり、ブラシを当てると出血したりなどの症状が出る病気です。

インプラント周囲炎が進行すると、顎の骨が細菌によって溶かされていきます。

顎の骨にインプラントの人工歯根を埋めているため、最悪インプラントが脱落してしまう恐れがあります。

 

インプラント周囲炎は、一度かかると自然に治ることはありません。

治療をしても完治することも難しく、進行を食い止めるという治療をするしかありません。

 

インプラントは人工物であるため、汚れにも弱く、ケアをしないと汚れがたまりやすいです。

また、インプラントの人工歯根と骨との間には、歯根膜と呼ばれる膜がありません。

そのため、細菌が入り込みやすい状態であるため、十分なケアで、細菌が歯茎の中に入り込むのを防ぐ必要があります。

1-2.歯ぎしり、食いしばり

インプラント治療後は、歯ぎしりや食いしばりにも気をつけなければなりません。

人工物であるインプラントに強い力がかかりすぎると、顎の骨にダメージがかかりやすいからです。

顎骨にダメージがかかると、先述したインプラント周囲炎にかかりやすくもなります。

そのため、歯ぎしりや食いしばりの癖がある方は、マウスピースを用いるなどし、ケアしていくことが必要です。

2.インプラントの正しい磨き方

インプラントは正しくケアしていくことが大切だと分かりました。

ではどのようにケアしていくといいのでしょうか。

インプラント手術後からのケアについて、まとめました。

2-1.インプラント手術直後の磨き方

インプラントの手術が終わったら、しっかりとケアを行なっていきましょう。

ただし、手術直後はまだ術部に腫れや出血、痛みがある場合も多いです。

インプラント部分には触れず、その他の歯をしっかりと磨くようにしましょう。

口の中が気持ち悪いと感じ、うがいを多めにしてしまう方もいるかもしれませんが、血餅という歯茎の治りに必要な働きをするものを、洗い流してしまわないよう、うがいも軽くゆすぐ程度にするといいです。

2-2抜糸までの磨き方

インプラント手術から1週間程度経つ頃、抜糸を行います。

それまでもインプラント手術をした部分を刺激すぎないようにケアするのがポイントです。

痛みがなくなると、食事をとる方も多いと思うので、ブラッシングより、うがいを多めにするのがいいでしょう。

2-3.被せ物が入るまでの磨き方

抜糸してから、被せ物(人工歯)が入るまでは、インプラント術部に汚れが溜まらないようにケアしていきます。

ただし、まだ歯がないところなので、しっかり磨く必要はなく、通常通り磨き、汚れが溜まっていないか確認しましょう。

2-4.インプラント治療完了後の磨き方

被せ物(人工歯)が入り、インプラント治療が完了したら、しっかりとケアしていきましょう。

歯科医院でクリーニングしてもらうことも大切ですが、一番大切なのが毎日の自分で行うケアです。

 

2-4-1.ブラッシング方法

毎日、食後や寝る前にブラッシングをしますが、そのうち1回は念入りにブラッシングをします。

念入りのブラッシングタイムには10分程度かけ、インプラント部位は20ストロークするくらいが目安です。

特に人工歯と歯茎の間に汚れが溜まりやすいので、しっかり歯ブラシの先を当て磨きましょう。

 

歯ブラシは硬いタイプのものではなく、柔らかいもの、普通タイプのものを選ぶのがおすすめです。

電動歯ブラシで磨くのもいいですが、強く当てすぎないようにしましょう。

 

2-4-2.歯ブラシ以外の使い方

歯ブラシ以外のものも使って、丁寧にケアしていくことも必要です。

特に歯と歯の間を磨く歯間ブラシ、デンタルフロスは必須です。

汚れが溜まらないよう、毎日掻き出してケアしていきましょう。

 

また、タフトブラシという、歯ブラシの小さいタイプのものもあります。

歯ブラシよりも小回りが効くので、細かい部分も磨けます。

インプラントや、周囲の仕上げ磨きに使ってみましょう。

 

2-4-3.歯磨き粉は使用する?

インプラントのケアには、歯磨き粉を使うのもOKですが、粒タイプの研磨剤入りの歯磨き粉は避けましょう。

インプラントに傷がついてしまう可能性があります。

3.インプラントの寿命を延ばすために大切なこと

インプラントを長持ちさせるには、口腔内を丁寧にケアし、清潔に保つことが重要です。

以下のポイントを意識してみましょう。

3-1. 天然歯よりも丁寧に磨く

インプラントは、天然歯よりも入念に磨くようにしましょう。

特に歯と歯茎の間に歯ブラシを当て、軽い力で20回程度ストロークしてください。

もちろん天然歯も丁寧に磨き、口内全体に汚れが溜まらないことが大切です。

3-2. 定期的なクリーニングを受ける

定期的に歯科医院でクリーニングを受けることも大切です。

どうしてもセルフケアだけでは汚れが溜まりやすいです。

歯科医院で特別な機器を使ったクリーニングを受けましょう。

 

また、受診の際にはインプラントに問題はないか、チェックしてもらうと安心です。

3-3.できる限り禁煙する

喫煙者は非喫煙者よりも、歯周病にかかるリスクが5倍以上だと言われています。

インプラント周囲炎を避けるためにも、できる限りタバコを吸わないようにしましょう。

また、タバコは歯茎の血流を悪くしたり、免疫機能を下げてしまったりします。

インプラント手術後は、傷の治りを遅くしてしまうことがあるので、手術後は禁煙を心がけましょう。

3-4.体調管理を行う

普段の体調管理も大切です。

特に糖尿病や骨粗鬆症の方は、歯周病やインプラント周囲炎が悪化しやすいというリスクがあります。

糖尿病の方は血糖値をコントロールし、骨粗鬆症の方も通院しながら骨強度を高めていくようにしましょう。

3-5.食生活に気を付ける

食生活も口腔内を清潔に保つための大事なポイントです。

間食が多く、食べる回数自体が多い方や、夜遅くに食べる方は、歯垢が溜まりやすいです。

食事のリズムも整え、食べた後はすぐに歯磨きをする習慣をつけましょう。

3-6.歯ぎしり・食いしばりに気を付ける

歯ぎしりや食いしばりがある方は、歯科院で相談し、インプラントや他の歯に加わる力をコントロールできるようにしましょう。

インプラントと顎骨の間には歯根膜がないので、力がそのまま顎骨やインプラントにかかりやすいです。

結果、人工歯が割れたり、顎骨への負担となり溶けたりすることがあります。

マウスピースで対策をするなどし、インプラントや骨にかかる軽減させましょう。

4.インプラントの寿命には毎日のケアが大切!

インプラントは寿命が長い、とても優れた治療法ですが、普段のケア方法によってはその寿命を縮めてしまうことがあります。

食後、寝る前にはブラッシングを行い、そのうち最低1回は10分程度かけて丁寧にケアするようにしましょう。

歯ブラシ以外の道具を使うのもおすすめです。

また、定期的に歯科医院でクリーニング、メンテナンスを受けることも、インプラントを長く使い続けるのに大切なポイントです。

快適に毎日を過ごすためにも、インプラントのケアはしっかりと行いましょう。

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